Menu
(0)

Search

クリス・エヴァンス母が『アベンジャーズ/エンドゲーム』に涙した理由 ─ 息子のキャプテン・アメリカ就任秘話

クリス・エヴァンス Chris Evans
David Gabber /Landmark Media 写真:ゼータ イメージ

俳優クリス・エヴァンスをハリウッドのトップスターに押し上げたのは、言わずと知れた、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のキャプテン・アメリカ役だ。それ以前にも、クリスは『ファンタスティック・フォー』シリーズや『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ集団』(2010)などの話題作に出演していたが、キャプテン・アメリカ役への就任後、そのキャリアは明らかに一変した。

しかし、クリスはキャプテン・アメリカ役のオファーを2度断っている。マーベル・スタジオ側の熱心なアプローチを受けながらも、しばらくの間、断固として首を縦に振らなかったというのだ。その時、彼はどんなことを考えていたのか……。米Esquireは、クリスの母親であるリサ・カプアーノ・エヴァンスによる貴重な証言を得ている。

この記事には、映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』のネタバレが含まれています。

リサによると、クリスが俳優業を志したのは高校時代。クリスは演劇にのめり込み、授業で読むウィリアム・シェイクスピアやルイジ・ピランデッロ、ダリオ・フォといった劇作家の戯曲に惚れ込んでいたという。「それほど若いころから、クリスは自分の読んでいる台本を理解しているようでした。いつも、予想とはちょっと違った形で役を演じていましたよ。すごく面白かったですね」

ある日、クリスは母に向かって、「今後の人生でやりたいことがわかった」と宣言。人脈を伝ってニューヨークでエージェントを見つけ、2000年にドラマ「オポジット学園」に出演した。その後、クリスは『あるあるティーン・ムービー』(2001)や『セルラー』(2004)などを経てキャリアアップを図っていく。その矢先に届けられたキャプテン・アメリカ役のオファーは、オーディションなしで突如舞い込んできたものだ。

なぜクリスは、当初キャプテン・アメリカ役を断ったのか。過去のインタビューでは、大作映画のプロモーションに参加した際に「まるで裁かれているよう」だと感じ、「自分が何者なのか見失いかけた」ためだと語っている。当時、クリスは友人や恩師に相談していたというが、もちろん母親のリサも例外ではなかった。

「彼が一番恐れていたのは、無名でなくなってしまうことでした。“今は自分が本当にやりたいことをやれている。犬の散歩もできるし、誰も僕も気にしない”と言っていたんですよ。誰も自分と話したがらないし、行きたいところにはどこでも行ける、そういうものが失われるのが怖いんだって。よく電話がかかってきて、アドバイスを求められましたよ。私からは、“今後ずっと演技をやりたいんでしょう? この役を引き受けたら、そのチャンスがもらえるってことじゃないの。家賃の心配をしなくても済むようになるよ”と話しました。あなたが決めるべき、その役を受けることで私の人生に悪影響はないんだからって。良い影響はあるんだろうけど。」

その後、クリスはアイアンマン役のロバート・ダウニー・Jr.から激励の電話を受けるなどして、ようやくオファーを引き受けている。あらゆるプレッシャーが襲いかかったのだろう、当時、クリスは大人になってから初めてセラピーに駆け込んだのだそうだ。

それから約10年後、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)でクリス・エヴァンス演じるキャプテン・アメリカの物語には、ひとつの幕が下ろされた。母のリサにとっても、その結末には思わぬサプライズがあったという。同作のラストでは、クリス演じるスティーブ・ロジャースが年老いて登場するが、その姿がリサ自身の父親と瓜二つだったのだ。息子が父親そっくりの見た目でスクリーンに登場するのを見て、リサの目には涙があふれたという。

あわせて読みたい

Source: Esquire

Writer

アバター画像
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。