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ノーラン最新作『TENET テネット』と『インセプション』は「親戚関係」、精神的続編となるか

インセプション
© Warner Bros. Pictures 写真:ゼータ イメージ

クリストファー・ノーラン監督による最新作『TENET テネット』は、謎のベールに包まれ、そしてそれゆえにファンの好奇心をかきたてる作品だ。本作は“時間の逆転”がカギを握るスパイ・スリラーだが、ノーランが“時間”というテーマに真っ向から挑んだ作品には『インセプション』(2010)がある。予告編を観るかぎり、作風にもどこか共通点がありそうだ。

Esquireのインタビューでは、主演のジョン・デヴィッド・ワシントンが「『TENET テネット』は『インセプション』の続編なのではないか?」というファンの仮説に対し、言葉を選びつつ、慎重に答えている。

「僕に言わせると、(『TENET テネット』は)『インセプション』とは親戚関係。血は繋がってます。感謝祭とか、家族のバーベキューとか、そういうところで会うような。それから、片方はヨーロッパに住んでるけど、もう片方はコンプトン(米カリフォルニア州)に住んでるみたいな。」

ここから察するに、本作は、『インセプション』の物語を引き継ぐ“言葉通りの続編”ではなさそうだ。しかし少なくとも、ノーラン監督の創作面や、監督のフィルモグラフィ上での共通点、あるいは発展性があることは十分に考えられる。ノーランの大ファンを公言するワシントンが「親戚」同士の作品だと形容するあたり、“精神的続編”ともいうべき仕上がりにも期待できそうだ。その一方、ワシントンは「(ノーランの)映画はよく知っていますが、今回はどこかが違う」とも述べているだけに、明確な独自性があることも確かだろう。

またノーラン自身は、本作について「自分史上もっともアクションが多い映画」だと語っている。アクションが前面に押し出されていることも、『インセプション』との共通点。もっとも、元アメリカンフットボール選手であり、秀でた身体能力を有するワシントンさえ、撮影のハードさには「やり遂げられないのではないかとすごく不安になった」とのこと。アメフト時代を思い出す精神状態で、時にはベッドから起き上がれないこともあったと語るワシントンは、撮影終了後は身体的に疲弊しており、約1ヶ月にわたって走ることができなかったのだそうだ。

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Source: Esquire(1, 2

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。