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『ジュラシック・ワールド/炎の王国』その後描く短編映画が公開中 ─ 絶叫不可避、第3作に繋がる新たな恐竜ワールドを体感せよ

https://www.youtube.com/watch?v=C7kbVvpOGdQ

『ジュラシック・ワールド』シリーズの第3作『ジュラシック・ワールド/ドミニオン(原題:Jurassic World: Dominion)』では、それまでテーマパーク「ジュラシック・ワールド」の存在により人間と恐竜が共存していた世界に変化がもたらされることだろう。未だその多くが謎に包まれている最新作に関する唯一の手がかりは、前作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018)から1年後の世界を描いた短編映画『ジュラシック・ワールド:バトル・アット・ビッグ・ロック(原題:Jurassic World: Battle at Big Rock)』だ。

2019年9月15日(米国時間)に本国でテレビ放送されたのち、オンラインでも世界配信された約8分の本作は、『炎の王国』以降の世界を伝え、かつ『ドミニオン』に繋がる橋渡し的作品。本記事では、『バトル・アット・ビッグ・ロック』の内容紹介、そして本作が製作されるまでに至った経緯を、監督・脚本を務めたコリン・トレボロウによる言葉を頼りに解説していく。

この記事には、『ジュラシック・ワールド』『ジュラシック・ワールド/炎の王国』のネタバレが含まれています。

『炎の王国』までのおさらい

前作『炎の王国』までのおさらいをしよう。まずは第1作『ジュラシック・ワールド』(2015)。マスラニ社に買収されたインジェン社は、かつて人気を博したテーマパーク「ジュラシック・パーク」の跡地であるイスラ・ヌブラル島に、新たなテーマパーク「ジュラシック・ワールド」を建設。これが成功を収め、世界各地から恐竜の世界を体験すべく、多くの観光客が訪れていた。

しかし、遺伝子操作によって命を宿した新種のハイブリッド恐竜インドミナス・レックスの脱走により、パーク内は混乱。恐竜飼育員のオーウェン(クリス・プラット)とパークの運営責任者クレア・ディアリング(ブライス・ダラス・ハワード)は、インドミナスの暴走を阻止すべく協力していく。激闘の末、インドミナスとの闘いは収まったものの、パークは廃墟と化してしまった。

第1作から3年後の2018年が舞台となる『炎の王国』では、パーク崩壊後、取り残された恐竜たちを救出すべく、クレアが恐竜保護団体「Dinosaur Protection Group(DPG)」を設立。オーウェンとDPGメンバーを連れてイスラ・ヌブラル島を再び訪れる。クレアたちはロックウッド財団と提携するも、財団の経営者イーライ・ミルズは、島に残された恐竜を最恐の兵器として高値で売りさばくオークションを画策していた。これを阻止すべくオーウェンやクレアはまたも奔走。そして物語は、ロックウッド家の少女メイジーによってT-レックスなどの恐竜たちが外界へ解き放たれるという衝撃的な結末で幕を閉じた。

『バトル・アット・ビッグ・ロック』内容紹介

『バトル・アット・ビッグ・ロック』では、『炎の王国』から1年後、ロックウッド邸から約32キロ離れたカリフォルニア州の北に位置するビッグ・ロック国立公園で起こる出来事が描かれる。

本作の主人公となるのは、カリフォルニア州オークランドからキャンプ・トリップにやってきた夫婦、子ども3人の5人家族。キャンピングカーを止めた場所一帯は野営地となっている。

些細なことですぐにケンカを始める子どもたちを、妻は「もう家族になって2年なんだから」とたしなめる。「今ここで一緒に過ごせて、私はすごく感謝しているんだよ」。続けて夫も、「まだ新しいけど家族なんだ、贈り物だよ。お互いをちゃんと見ていないとな」と声をかける。すると娘が、家族の友人グレッグからクロスボウを教えてもらったことを明かした。これを聞いた夫は、「グレッグ、8歳の子どもにクロスボウを撃たせるなよ!」と外を見ると、誰もいなくなっていた。

「みんなはどこ?」「あれはクマなの?」異変を感じ始める家族の目の前に飢えた様子の草食恐竜ナーストケラトプスが現れる。「ここまでどうやって来たんだ?」「しっかり落ち着いて、どこかに行くまでここで待つんだよ」。固唾を呑んで恐竜を見守る家族の視線の先には、母親にピッタリくっつく子どものナーストケラトプスがいた。

するとそこに、一回りも二回りも大きい肉食恐竜アロサウルスが咆哮を上げながらナーストケラトプス親子の元に近づいてきた。キャンピングカーから事態を心配する家族の傍ら、アロサウルスは容赦なく子どものナーストケラトプスに襲いかかる。「大丈夫、これは自然の摂理だよ」。父親は焦りながらも子どもたちを落ち着かせる。恐竜同士が激しい闘いを繰り広げる緊迫の場面に父親ナーストケラトプスが駆けつけ、アロサウルスを威嚇。闘いはどうにか収束する。

「僕たちは大丈夫だよ。彼らも平気」。父親が子どもたちをなだめ、家族はその場をやり過ごそうと引き続き身を潜める。しかし、幼い息子が泣き出してしまい、アロサウルスに気づかれてしまう。慌てて身をかがめる家族。なおも泣き続ける息子に母親は歌でなだめようとするも、アロサウルスはキャンピングカーに激突、その衝撃でひっくり返ってしまう。

衝撃によって意識を失っていた夫婦は目を覚まし、椅子に固定されて泣き続ける幼き息子を狙うアロサウルスを目の当たりにする。凶暴な刃で窓を突き破り、小さな人間を喰らおうとゆっくりと近づくアロサウルス。夫婦は息子を慌てて救出、間一髪で襲撃を交わし、狭いキャンピングカーからの脱出を試みる。取り残されてしまった夫婦は幼い息子を守りながら、依然襲いかかるアロサウルスを前に消化器や鉄骨で対抗。しかし、遂に追い詰められてしまう。

もう駄目かと思われたその瞬間、矢が次々とアロサウルスの目元に命中。負傷したアロサウルスは弱々しいうめき声を出しながらその場を立ち去ってしまった。矢を放ったのはグレッグからクロスボウを教わった幼い娘だった。こうして恐竜の襲撃から無事全員生き残った家族が、身を寄せ合うところで物語は幕を閉じている。

ポストクレジットシーンでは、小型恐竜から泣きながら逃げ回る少女、車道を歩く恐竜との衝突を避けようとハンドルを切った車が崖に転落する様子、川べりに恐竜がいる中、ボートを漕ぐ男たち、と「恐竜と住む世界」が映し出されている。

「恐竜と人間による初めての大きな衝突」描く短編

『バトル・アット・ビッグ・ロック』の脚本・監督を務めたのは、『ジュラシック・ワールド』(2015)を手がけ、『ドミニオン』にて監督復帰を果たすコリン・トレボロウ。共同脚本に、『ドミニオン』をトレボロウ監督と共に執筆するエミリー・カーマイケルが参加している。

トレボロウ監督は本作を「恐竜と人間による初めての大きな衝突」だと形容している。『炎の王国』を経て、『ジュラシック・ワールド』シリーズのキャラクター以外にも物語の世界が広がった後の「新たなリアリティ」を描きたかったのだそう。「(恐竜が世界に解放されれば)いろんな出来事があちこちで起こり、あるカオスのパターンを作り出すはず。そういう出来事のひとつを観てみたいと思いました」と監督。つまり、短編で描かれているのは恐竜が世界の至る所に放たれた、いわば“ニュー・ノーマル”のほんの一部に過ぎないということだ。

またトレボロウ監督は、世界の至るところに飛び出した恐竜たちの姿が描かれた『炎の王国』ラストシーン、ポストクレジットシーンについても言及している。人間にとって、今まで娯楽として親しんでいた檻の中の恐竜が、いざ放たれれば恐ろしい存在でしかないだろう。しかし、トレボロウ監督いわく「恐竜たちに街を脅かす動機がない」という。「私が楽しみにしているのは、車の前や霧がかった裏道を恐竜が走り抜けるような世界観。食べ物を求めて、キャンプ場に忍び込んできたりとか」と語っている。したがって、『バトル・アット・ビッグ・ロック』に登場する恐竜たちは、監督によるこの発言が表すように、新たな環境に適応しようと地上を徘徊しているだけなのだ。

『バトル・アット・ビッグ・ロック』では、夫役を『グローリー/明日への行進』(2014)『ムーンライト』(2016)のアンドレ・ホランド、妻役を『エンド・オブ・ウォッチ』(2012)「アンダー・ザ・ドーム」(2013-2015)のナタリー・マルティネスが演じた。撮影は2018年夏、アイルランド・ダブリンにて5日間のみ実施。少数で結成された撮影チームのモチベーションは非常に高く、シリーズ作品に並ぶ8分間を生み出すべく、出演者も全力を投じたそう。トレボロウ監督は「まさに家族のようで、自分たちの仕事を信じていました。巨大なアニマトロニクスを除けば、インディーズ映画のようでしたね」と振り返っている。

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Source: Collider

Writer

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SawadyYOSHINORI SAWADA

THE RIVER編集部。宇宙、アウトドア、ダンスと多趣味ですが、一番はやはり映画。 "Old is New"という言葉の表すような新鮮且つ謙虚な姿勢を心構えに物書きをしています。 宜しくお願い致します。ご連絡はsawada@riverch.jpまで。