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『アベンジャーズ/エンドゲーム』監督、スパイダーマンのMCU離脱でソニーに忠告 ─ 「ケヴィン・ファイギと同じことができると思ったら大間違い」

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム
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ディズニー/マーベル・スタジオとソニー・ピクチャーズが『スパイダーマン』映画の契約条件をめぐって対立、スパイダーマンがマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)を離脱すると報じられている件について、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)のアンソニー&ジョー・ルッソ監督が改めてコメントした。今回、ジョー監督はソニーに対して厳しい忠告を発している。

Toronto Sunの取材にて、ディズニー/マーベルとソニーの対立について問われたアンソニー監督は、先日のコメントと同じく、そもそもスパイダーマンをMCUに登場させることは非常に難しいことだったのだと再び強調。マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長が「なんとかやってのけた」のだといい、「素晴らしい経験をさせてもらいましたし、観客もすごく喜んだと思います。だけど、もとより非常に難しい結婚だった」と述べた。

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マーベルとソニーの事業提携に際し、ルッソ兄弟はビジネスマンとして契約交渉の最前線に立ったわけではない。しかし『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)や『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)、『アベンジャーズ/エンドゲーム』を手がけた当事者であるためだろう、ジョー監督は本件についてやや感情的になっていることを隠さなかった。

「(マーベルとソニーの提携は)全体を通じて、不安定かつ緊張感のある協力関係だったと思います。ですが、少し引いた目で見て、なるべく客観的であろうと努めて言えば、最高の物語を描き、長年にわたって素晴らしい成功を続けてきたケヴィンの方針と同じことができるとソニーが思っているのなら、それは悲劇的な間違い。大間違いだと思います。」

ジョー監督が直接言及せず、しかし明らかに釘をさしているのは、ソニーが計画する自社独自の「スパイダーマン・ユニバース」構想だろう。ソニー・ピクチャーズの会長兼CEOであるアンソニー・ヴィンシクエラ氏は、2019年9月5日(米国時間)、ディズニー/マーベルとの話し合いがひとまず終了していることを認め、『スパイダーマン』シリーズのほか、『ヴェノム』(2018)続編、ジャレッド・レト主演『モービウス(原題:Morbius)』、さらにテレビシリーズ5~6作品を計画していることを明かしたのだ。このままスパイダーマンがMCUを離脱する場合、スパイダーマンとヴェノムがソニー独自のユニバース内で共演する可能性も高い。

『アベンジャーズ/エンドゲーム』でMCUが大きな区切りを迎えた2019年、ケヴィン・ファイギ社長はその実績を称えられ、SF/ファンタジー作品を対象とする「サターン賞」にて、故スタン・リーの名前を冠した「ワールド・ビルディング・アワード」を受賞。秋から冬にかけて、映画業界は激しい賞レースに突入するが、そこでプロデューサーとしての才能と手腕がさらに認められることも期待されている。ジョー監督は、ケヴィン社長による仕事は並大抵の業績ではなく、真似しようと思って真似できるものではないのだと忠告しているわけだ。

マーベルのライバルとして扱われがちなワーナー・ブラザース/DCコミックスも、一時はユニバース構想を追いかけていたが、現在は独立した作品を連続的に発表するスタイルへと方針を切り替えた。人気ヴィランのオリジンを描く『ジョーカー』(2019年10月4日公開)は、その結果として第76回ベネチア国際映画祭で金獅子賞(最高賞)を受賞し、マーベルとは異なる成果を挙げることに成功。同作のトッド・フィリップス監督は、ワーナーに『ジョーカー』を提案する際、「マーベルは怪獣です、勝てません。彼らにはできないことをやりましょう」と進言していたという。

本当にスパイダーマンがMCUを去ってしまうのかどうか、結論はマーベルとソニーのどちらからも正式に発表されていない。しかし離脱が決定した場合、ジョー監督の忠告に一定のリアリティがあることは否定できないだろう。

映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』ブルーレイ&DVDは2019年12月4日(水)リリース

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Source: Toronto Sun

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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