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『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』監督は「ガルパン」を見たか ─ 「機会があれば自分で作りたい」

T-34 レジェンド・オブ・ウォー
© Mars Media Entertainment, Amedia, Russia One, Trite Studio 2018

ロシアNo.1メガヒット、超絶ダイナミック戦車アクション映画『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』が2019年10月25日(金)に公開された。早くから戦争映画ファン、戦車映画ファン、そしてアニメファンを巻き込んで大きな話題となっていた本作を手がけたのは、アレクセイ・シドロフ監督。このたびTHE RIVERでは、シドロフ監督への直撃インタビュー原稿を入手。なんと、「あのアニメは見ましたか?」との質問にも真っ向から答えてくれている。

T-34 レジェンド・オブ・ウォー
© Mars Media Entertainment, Amedia, Russia One, Trite Studio 2018

『T-34』監督は「ガールズ&パンツァー」を見たか

──非常にエンターテインメント性に富んだ作品だと思いました。戦争映画というと暗いイメージがあったり、メッセージ性が強すぎたりしますが、本作はそれらと一線を画すものがありました。意図的にエンタメに特化された理由を教えてください。

私たちロシア人はソ連時代から戦争映画を観て育っています。当時の戦争映画といえば、たくさんの人が死に、暗く悲しく、涙を誘うものばかりでした。しかし戦争が終わり数十年が経過した今、いつまでも涙を誘う暗い映画を作るのではなく、少し方向性を変えてみようと思ったんです。すなわち、私たちは多大な犠牲を払い、苦難があったけれども、それにもかかわらず私たちは勝利したということを描きたかったのです。

──本作を製作するに至った経緯を教えてください。

今から35年以上も前、10代の頃に、当時上映されていたソ連映画『鬼戦車 T-34』(1965、原題『Жаворонок(ひばり)』)を観ました。この映画は本作と同じように、ソ連兵が収容所から戦車で脱走を試みる話なのですが、最終的には死んでしまうんです。観た時にはすごく泣いてしまいましたね。35年以上の時を経た今、『鬼戦車 T-34』を、主人公が別のエンディングを迎えるという形で蘇らせたいと思ったんです。

──なるほど、『鬼戦車 T-34』から強い影響を受けていらっしゃるんですね。

はい。ただ、『鬼戦車 T-34』が大きな影響を与えたかというと語弊があるかもしれません。もともとの出発点が『鬼戦車 T-34』なので、あらすじや伏線には若干の共通点がありますが、造りとしては全然違う映画になっていると思っていただいた方がよろしいかと思います。

T-34 レジェンド・オブ・ウォー
© Mars Media Entertainment, Amedia, Russia One, Trite Studio 2018

──撮影中、キャストの方々が軍の規則にならって行動していたと聞いたのですが、どんな規則だったのでしょうか?

本や文献で知りえた軍の規則すべてです。戦術などもそうですね。俳優たち自身も本などから学び、その通りに映画の中で行動しています。俳優たちは、実際に戦車T-34を操縦していますしね。

──戦車は実際に操縦されていたのですね!出演者のみなさんは、どれくらいトレーニングを積んだのですか?

2か月以上かかったと思います。そもそも、実際に操縦するというのは撮影当初から大きな課題でした。軍事関係者は俳優自身が戦車を操縦することに反対していましたからね。けれども(俳優たちの)覚えの速さ、的確な操作を見て、これなら任せても大丈夫だということになりました。撮影が終わる頃には、軍事関係者の方も、操縦のあまりの素晴らしさに非常に感激してくださいましたよ。

──主演のアレクサンドル・ペトロフはどんな俳優でしたか?

アレクサンドル・ぺトロフはロシアのスター俳優で、非常に人気があります。スター俳優の中には、ちょっと傲慢な方もいらっしゃるんですが、彼はまったくそんなところがありません。非常にシンプルで、深みのある方です。エピソードはたくさんありますが、そのうちのひとつをご紹介しましょう。

ペトロフは撮影中にいろんなアイデアを出してくれていて、その中には、実際に私が採用したものもあります。たとえば、映画のラストにイェーガーとイヴシュキン(ペトロフ)がある行動に出るのですが、そのシーンは彼自身の発案なんです。その提案を受けた時、私はずいぶん悩みましたが、最終的には彼の案を採用しました。なぜなら、もしも別の場所で出会っていたら、彼らはいい兄弟になったかもしれないと思ったからなんです。

T-34 レジェンド・オブ・ウォー
© Mars Media Entertainment, Amedia, Russia One, Trite Studio 2018

──日本では「ガールズ&パンツァー」という戦車を描いたアニメが有名で、本作の映像を観たファンの間では「監督は絶対にガルパンを観ている!」と言われているんです。実際のところ、ご覧になっていますか?

面白い質問をありがとうございます。ただ、残念ながらその作品のことは存じ上げませんでした。だけど、女の子と戦車のアニメというアイデアはすごく面白いですね。もし私に機会があれば、そのアニメを撮ってみたいと思います(笑)。なんにせよ、今日、家に帰ったらさっそく観てみたいと思います。

『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』

第二次大戦下、ソ連の新米士官イヴシュキンは初めて出撃した前線で戦いに敗れ、ナチス・ドイツ軍の捕虜となった。戦車の指揮官であるイヴシュキンは、ナチスによる戦車戦演習のため、ソ連の最強戦車T-34を操縦するよう命令される。捕虜の仲間と隊を組むイヴシュキンだったが、演習では弾を装備することはおろか、ナチスの戦車軍から逃げ回ることしかできない。命令に背いても、立ち向かっても、そこに待つのは“死”のみ。しかしイヴシュキンは仲間のため、そして収容所で出会った愛する人のため、無謀な脱出計画を実行に移す……。

T-34 レジェンド・オブ・ウォー
© Mars Media Entertainment, Amedia, Russia One, Trite Studio 2018

第67回アカデミー賞外国語映画賞受賞『太陽に灼かれて』(1994)のニキータ・ミハルコフ監督がプロデュースした本作は、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)を抜いてロシア映画史上最高のオープニング成績を樹立し、最終興行収入40億円超、800万人動員という驚異的な記録を叩き出して全露No.1の社会現象的メガヒット。観客のド肝を抜く〈戦車アクション・エンターテインメント〉が、遂に日本に上陸する。

映画『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』は2019年10月25日(金)より新宿バルト9ほか全国ロードショー

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THE RIVER編集部THE RIVER

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