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『ブラック・ウィドウ』もDisney+配信となるか、『ムーラン』米配信決定で予想広がる

ブラック・ウィドウ
(c)Marvel Studios 2021

2020年8月5日、米ウォルト・ディズニー・カンパニーは、実写映画版『ムーラン』を米国などで配信リリースすると発表した。全世界で劇場公開予定だった『ムーラン』はコロナ禍からの業界の復活を告げる一本ともみられていたため、ディズニーの決断は少なからぬ衝撃をもたらしている。配信対象の国と地域では、やむなく劇場公開が断念されるのだ。

ディズニーが次に控える大作映画は、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の新作映画『ブラック・ウィドウ』。本作は2020年11月6日(金)に日米同時公開予定だが、『ムーラン』の米国配信決定を受けて、ファンの間では「『ブラック・ウィドウ』も配信リリースになるのではないか」という予想と噂が広がっている。実際のところ、こちらはいったいどうなってしまうのか。

ウォルト・ディズニー・カンパニーのボブ・チャペックCEOは、『ムーラン』の配信リリース発表にともない、投資家向けカンファレンスで現在の方針を語っている。チャペック氏は『ムーラン』を観客に届けられることを喜びつつ、今回の対応については「配給の新たなビジネスモデルであると宣言するのではなく、今回限りのもの」だと述べたのだ。あくまでも、新型コロナウイルスの影響を受けての度重なる公開延期、いまだ先行きの見通せない状況を受けての決断だということだろう。今回の決定を継続的な取り組みとする意志を示してはいないのである。

ただしその一方で、ディズニーの動きはさらなる展開も予感させる。『ムーラン』はDisney+独占配信だが、同サービスが定額制動画配信サービスであるところ、『ムーラン』では同社初のPVOD(プレミアム・ビデオ・オン・デマンド)方式が採用され、価格も29.99ドル(米国)と挑戦的。これにはチャペックCEOも「我々のプラットフォームでの実験」「新たなプレミア公開の方法を設計したい」語り、今後の可能性を見据えていることを隠していない。米The Vergeの記者ジュリア・アレクサンダー氏も、Disney+の関係者から「今回限りではない仕事量だった」との証言を得ている

一連の流れから考えられることは、少なくとも現時点で『ブラック・ウィドウ』は劇場公開予定であり、配信リリースの予定はないということだろう。しかし未曾有の社会情勢を受けては、いずれ計画が覆る可能性もある。なにせ『ムーラン』についても、これまでディズニーは世界での劇場公開を目指すとの声明を発表し続けてきたのだ。

なお『ムーラン』の米国配信が発表されたのち、TwitterにはDisney+の偽アカウントが出現している。ここから「『ブラック・ウィドウ』も配信リリースとなる」との内容が世界的に拡散されているが、あくまでもこれらはフェイクニュースであり、事実ではない

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Sources: Deadline, Julia Alexander, Collider

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。