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1年365日、毎日ひとりで映画ポスターを作り続ける『A Movie Poster A Day』プロジェクトの全貌!

気になっている最新映画に関して、劇場公開前に何とかその映画の情報を詳しく、そしていち早く知りたいと思うのが映画愛好家の悲しい性である。

まあ中には、映画を観るのに事前情報などいらない!映画鑑賞とは事前に何の情報も知識も頭に入れずに、ぶっつけ本番でその瞬間を楽しんでこそ、真の快楽に浸れるというものだ!と豪語する、屈強な映画硬派な方もいらっしゃるとは思う。実はぼくも、どちらかと言えば、事前情報はあまり頭に入れずにまっさらな状態で映画に望みたいと考えている派である。

インターネットなどというものが存在しなかった頃は、映画の最新情報と言えば、テレビの映画番組などで流れる予告編またはテレビ・コマーシャルでの予告編や、月刊の映画雑誌における最新情報などにほぼ限られていたので、タイムリーな最新情報が知りたくても、なかなかそう簡単には手に入らなかったから、わりとまっさらな状態で映画にぶち当たることが当たり前だった気がする。

ちなみにぼくが好んで読んでいた映画雑誌は「ロードショー」、ネットによる情報が氾濫し出してからはめっきり買わなくなっている間に、2008年11月21日発売の2009年1月号を最後に残念ながら廃刊となってしまった。1980年代には約35万部も売れていたロードショーは、最終的にはその数が約5万部にまで減っていたということである。それと双璧をなしていた「スクリーン」は今でも刊行されているようだが、ロードショー派だったぼくとしては、ロードショーが廃刊になったのは購入をやめてしまったぼく自身にも大いにその責任の一端があると感じて、暗い気分になったこともあった。まあ、時代は良かれ悪かれ変ってゆくのであるが・・・。

さて、そういった最新の映画情報を知るための手段は、現在ではネットをはじめに多種多様に色々あるのだが、やはりその中でも群を抜いて重要なものが二つあると、勝手ながら思っている。それは前述にもある通り、「予告編」というもの、そしてもうひとつは映画公開に先駆けて世に出回る「映画ポスター」というものであろうと考える。そしてやはり後者の映画ポスターというものは、いつの時代でも、もちろん今でも心ときめくものである。

今回は、そんな映画ポスターをコンセプトにした、『A Movie Poster A Day』というアート・プロジェクトあるいはアート・チャレンジとも呼ぶべきものをご紹介したいと思う。

『A Movie Poster A Day』とは

グラフィック・デザイナーのピート・マジャリッチ(Pete Majarich)さん、カタカナ表記あってるかな・・・、彼がはじめたこのプロジェクトは、この2016年の間、毎日欠かさず、一日一つ、既存の映画における代替用の映画ポスターを作成するというなかなか壮大なものなのである。当然現在でも継続中のため、今までに約300種類の映画ポスターが完成している。一日一つと聞くと、なんだか簡単そうに聞こえるかもしれないが、いやいやそんなことはない。一年間、毎日欠かさず梅干しを一日一粒食べるという、誰にでも出来るお手軽健康プロジェクトとはワケが違うのである。

A Movie Poster A Day
http://amovieposteraday.tumblr.com/

それではそんな数ある映画ポスターの中から、ぼくの独断と偏見でのチョイスをいくつかご紹介しよう。

パルプ・フィクション

まずはプロジェクトの初日、記念すべき第一作品目は、クエンティン・タランティーノの『パルプ・フィクション』(Pulp Fiction)である。細かいコメントを言い出すと長くなりそうなので、コメントは軽めにして、出来るだけ直感的に楽しんでいただこうと思う。この映画の象徴とも言うべき名シーンのチョイス。

 

A Movie Poster A Day
http://amovieposteraday.tumblr.com/

 

シャイニング

スタンリー・キューブリックの『シャイニング』(The Shining)、あの庭園の迷路をイメージしたものであろう、こんなにデカい迷路じゃなかった気がするけど。

 

A Movie Poster A Day
http://amovieposteraday.tumblr.com/

 

ゾンビ

ジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』(Dawn of the Dead)、なんだかちょっとピザハットを思い出したのはぼくだけだろうか、あれはトマトソースかなあ・・・。

 

A Movie Poster A Day
http://amovieposteraday.tumblr.com/

 

バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2

ロバート・ゼメキスの『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』(Back to the Future Part II)、80年代の最後を飾るにふさわしいバリバリのクラシック・デザイン。

 

https://theriver.jp/wp-content/uploads/2016/10/20161021_003.jpg
http://amovieposteraday.tumblr.com/

セブン

デヴィッド・フィンチャーの『セブン』(Se7en)、ああ・・・、あの衝撃の・・・、この映画たしかエンドロールが上下逆回しでちょっとビビった記憶がある。

 

A Movie Poster A Day
http://amovieposteraday.tumblr.com/

羊たちの沈黙

ジョナサン・デミの『羊たちの沈黙』(The Silence of the Lambs)、美味しそうなやつだ・・・、レクター博士の遅めのランチかな。

 

A Movie Poster A Day
http://amovieposteraday.tumblr.com/

悪魔のいけにえ

トビー・フーパーの『悪魔のいけにえ』(The Texas Chain Saw Massacre)、このチェーンソー、普通のやつより痛そう・・・、まあどっちにせよ切られ出しちゃったら痛いも何も、もうおしまいだけどね。

 

A Movie Poster A Day
http://amovieposteraday.tumblr.com/

 

アメリカン・ビューティー

サム・メンデスの『アメリカン・ビューティー』(American Beauty)、このシーン頭に焼き付くよなあ、ずいぶん昔だけど真似したもんな、ここ。

 

A Movie Poster A Day
http://amovieposteraday.tumblr.com/

 

ゴッドファーザー

フランシス・フォード・コッポラの『ゴッドファーザー』(The Godfather)、馬の首のシーンは何度観ても、あんなことされたら気が狂うなって思う。

 

A Movie Poster A Day
http://amovieposteraday.tumblr.com/

 

ファーゴ

そして最後は、地味な感じで、ジョエル・コーエンの『ファーゴ』(Fargo)、コレは意外と映画にストレートに向き合ってる感じかな。

 

A Movie Poster A Day
http://amovieposteraday.tumblr.com/

 

とまあこんな感じに、毎日毎日、映画のポスターを作り続けているわけである。これたぶん365枚完成したら、達成感あるだろうなあと思う。もちろん「A Movie Poster A Day」のウェブサイトでは、現時点までの映画ポスターをすべて閲覧できるので、なおかつその映画ポスターを購入することも出来るようなので、興味のある方はぜひ、訪れてみて欲しい。

 

A Movie Poster A Day

 

まあ実際にぼくは当然すべての映画ポスターにざっと目を通したのだが、ものによっては同じようなデザインの使いまわし感があったり、クオリティにばらつきがあったりと、やっつけ仕事な時期もあるのかなっていうのが若干見え隠れするのは否めないのである・・・。まあしかし、それでもなかなか誰でもが出来ることじゃないと思うので、ずいぶんと意義はあるだろう、おもしろいデザインのものもたくさんあるし。

というわけで、もしこのプロジェクトに感化された人は、来る2017年度、例えばジャンルに特化したこの手の一日一映画ポスター制作プロジェクトを始動させてみるのもいいのではないだろうか、日本映画縛りとか、ホラー映画縛りとか、あるいは365枚すべて『スター・ウォーズ』縛りとかね。

そんな新たなるチャレンジャーの登場を期待する。自分でやってみようかな・・・。

Writer

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MujinaMujina Tsukishiro

普段はあまり摂取しないコーヒーとドーナツを、無駄に欲してしまう今日この頃。You know, this is - excuse me - a damn fine cup of coffee.