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『アベンジャーズ/エンドゲーム』予告編、新事実と新たな疑問を読み解く ─ あのキャラクターはどこへ?

https://www.youtube.com/watch?v=KunCDzXlXLI

2018年12月7日、映画『アベンジャーズ/エンドゲーム(邦題未定、原題:Avengers: Endgame)』の予告編が全世界同時公開された。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)に続くシリーズ第4作の映像は、世界中のファンが今か今かと待ちわびていたもの。公開日についてはあらゆる噂が流れる中、本映像は事前告知なし、サプライズでの発表となった。

本記事では、いよいよ本格的に描かれはじめた“指パッチン後”、『アベンジャーズ/エンドゲーム』の予告編をつぶさに見ていくことで、作品に関する新事実と新たな疑問を整理していきたい。

この記事には、映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『アントマン&ワスプ』のネタバレが含まれています。

トニー・スタークのメッセージ

『アベンジャーズ/エンドゲーム』の予告編は、破壊されたアイアンマンのヘルメットにトニー・スタークが手を伸ばす場面から始まる。ヘルメットを起動すると、トニーはおもむろに語りかけるのだ。

「ちゃんと動いてるかな。やあ、ミス・ポッツ。この録画を見ても、悪く思わないでほしい。旅の一部が終わるんだ。実は宇宙を漂流してて、助かる見込みはない。思ったより楽しいよ。食料と水は4日前になくなって、酸素も明日の朝には使い切って、それで終わり。でも、眠る時には君の夢を見るよ。いつも君のことを考えてる。」

トニーはヘルメットのスイッチを切る。トニーが乗っているのは、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でガーディアンズ・オブ・ギャラクシーが乗ってきた宇宙船ベネター。サノスの指パッチン(正式名称は「The Decimation(大量虐殺)」)によって乗組員たちは塵と消えてしまったが、惑星タイタンにベネター号は残されていた。サノスによる「月落とし」でも致命的な破損は免れたのだろう、トニーはベネター号に乗ってタイタンを離れたとみられる。しかし、その旅路は残念ながら容易なものではなかったようだ。

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』サノス
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』© Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータイメージ

サノスの“その後”

マーベル・スタジオの10周年記念ロゴが塵と消えていく、思わず心が痛む数秒間につづいて登場するのは、サノスが『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で着用していたアーマーによるカカシだ。このカカシは、原案コミック『インフィニティ・ガントレット』(ShoPro Books刊)でジム・スターリン&ジョージ・ペレスが描いたものをモチーフとしている。

前作のラストにおいて、全宇宙の生命を半分にすることに成功したサノスは、どこか未知の惑星で安堵の表情を浮かべていた。『アベンジャーズ/エンドゲーム』では、“その後”のサノスが描かれることになる。本映像でサノスの表情は見えないが、その左腕には、“指パッチン”の影響で焼け焦げたガントレットが未だに装着されていた。全ての望みが達されたはずの今、なぜサノスはガントレットを着けていなければならないのか?

地球に残されたアベンジャーズ

「サノスは、自分がやると言っていたことを本当にやった。全生命の50%を消したの」。前作に続いてブロンドの髪で登場したナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウは語る。
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)からの逃亡生活を経て、スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカとブラック・ウィドウはアベンジャーズ基地に戻ってきた。しかし、そこにはトニー・スタークの姿もなければ、バッキー・バーンズ/ウィンター・ソルジャーや、サム・ウィルソン/ファルコン、ヴィジョンやスカーレット・ウィッチもいない。

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』キャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』© Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータイメージ

スティーブは涙を流し(前作で印象的だった髭を剃り落とされている)、ハルクに変身できないブルース・バナーは、「MISSING(行方不明)」の赤文字が光る顔写真を確認している。モニターに映し出されるのは、スコット・ラング/アントマン、シュリ、ピーター・パーカー/スパイダーマンだ。

ところが気になるのは、ティ・チャラ/ブラックパンサーの妹であるシュリが行方不明となっていることだ。サノスの“指パッチン”でシュリがどうなったかは前作の劇中で明示されておらず、アンソニー&ジョー・ルッソ監督は、シュリの動向に関しては「ネタバレになる」として明言を避けていた。その一方、『ブラックパンサー』(2018)でラモンダ役を演じたアンジェラ・バセットは、シュリが“指パッチン”を生き延びたとも語っている。シュリは消えたのか、生きていてどこかに姿を隠しているのか。さて、真相はいかに……。

ブラックパンサー
『ブラックパンサー』©Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータ イメージ

そして仇討ち(AVENGE)へ

「俺たちは失った、全員が失ったんだ。友達、家族、仲間たちを」。スティーブの言葉とともに映し出されるのは、アスガルドの民やロキを失い、それでも生き延びたソーと、同じように姉ガモーラやガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのメンバーを失い、トニーと同じくベネター号に乗り込んでいるネビュラ、そして日本で新たなスーツに身を包み、刀を手にして現れるクリント・バートン/ホークアイだ。

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で、クリントは『シビル・ウォー』での展開を経て、司法取引によって自宅に戻っていた。その後の経緯は不明だが、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)に登場した彼の妻子が“指パッチン”の犠牲となってしまった可能性は高いだろう。私たちのよく知るホークアイとは異なる姿で登場したクリントは、以前からの噂通り、戦士ローニンとして活躍することになるのだろうか。ちなみにクリントの足元に倒れているのは、2017年9月に出演報道のあった真田広之だと思われる。

「これは俺たちの生命の戦いなんだ」。スティーブは『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)当時のスーツに身を包み、ペギー・カーターの写真を見つめる。ナターシャが「きっと成功する」と声をかけると、スティーブはこう答えた。

「わかってる。…もし成功しなければ、どうしていいのかわからないから。」

アントマン、量子世界から帰還

『アベンジャーズ/エンドゲーム』のタイトルロゴが、まるで塵が再び集まってくるかのようにして現れたあと、もうひとりの“欠席者”が姿を見せる。「ねえ、誰かいる?スコット・ラングだよ。何年か前、ドイツの空港で会ったでしょ。超デカくなってさ」

モニターに映し出されたスコットを見て、スティーブは「これ、昔の映像?」と思わず立ち上がる。ナターシャも「これ、うちの玄関でしょ」と驚くのだった。スコットは「アントマンだよ、知ってるでしょ。俺だよ、入れてもらっていいかな?」と話し続けている。

ここで注目しておきたいのは、スコットが映し出されているモニターの右上には「ARCHIVE(アーカイブ)」との文字が映し出されており、これがリアルタイムの映像とは限らないということだ。アベンジャーズの基地をスコットはいつ、どういう状況で訪れたのか。『アントマン&ワスプ』(2018)の結末で量子世界に飛び込み、帰ってこられなくなってしまったスコットは、どうやって元の世界への帰還に成功したのか。スコットの後ろにあるバンは、同作のポストクレジットシーンで量子実験に使用されたものと同じバンだと思われるが……?

アントマン&ワスプ
『アントマン&ワスプ』MARVEL/PLANET PHOTOS 写真:ゼータ イメージ

まだまだ残されている謎

『アベンジャーズ/エンドゲーム』の予告編が公開されたことによって、これまでわからなかった事実が明らかになり、同時に新たな謎も生まれた。
ここまでで触れてきた疑問以外にも、たとえば“指パッチン”の生還者であるジェームズ・ローディ・ローズ/ウォーマシンロケット・ラクーンはどこで何をしているのか(もっといえばエムバクも)、なぜスティーブは『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』当時のスーツを着なければならないのか、そして残されたヒーローたちが挑むことになる計画とは何なのか。

また、本当にシュリが消えてしまったのだと仮定する場合、出演者による過去の証言から新たな可能性が生まれてくる。バッキー役のセバスチャン・スタンは、以前、本作に存在するという“全員が登場するシーン”の撮影で、ニック・フューリー役のサミュエル・L・ジャクソン、ハンク・ピム役のマイケル・ダグラス、ジャネット・ヴァン・ダイン役のミシェル・ファイファーと共演したことを明かしていた。またシュリ役のレティーシャ・ライトは、ピーター・クイル/スター・ロード役のクリス・プラットと共演したと話していたのだ。
シュリが消滅したとすれば、これらの証言で名前が出てくる人物は、全員が“指パッチン”で消滅してしまったキャラクターなのである。“全員が登場するシーン”とは、文字通り全てのキャラクターが共演するシーンなのか、それとも消えてしまったキャラクターたちが全員揃うシーンなのか……。

さらにいえば、もはやマーベル・シネマティック・ユニバースの隠し球として控えているキャロル・ダンバース/キャプテン・マーベルがどのように物語に関わってくるのかも大きなポイントだ。宇宙を漂流するトニーを救える人物として考えられるのは、キャプテン・マーベル、『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)のヴァルキリー、あるいは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のクラグリンだろう。

しかしながら改めて確認しておきたいのは、『アベンジャーズ/エンドゲーム』のアンソニー&ジョー・ルッソ監督は、本編の内容を伏せるためならば予告編の映像をためらいなく変更するクリエイターであることだ。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の予告編には劇中に存在しないカットが複数含まれ、劇中のワカンダ戦に一度も登場しなかったハルクの姿も映し出されていた。おそらく今回の場合も、本来ならば存在するキャラクターが削除されていたり、あるいは描き足されていたりする可能性は十分にあるだろう。さて、何をどこまで信じていいものか?

映画『アベンジャーズ/エンドゲーム(邦題未定、原題:Avengers: Endgame)』は2019年4月26日(金)全国ロードショー

『アベンジャーズ/エンドゲーム(原題)』公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/avengers4.html

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。