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ブラッド・ピット最新作『アド・アストラ』ベネチア映画祭で絶賛の嵐 ─ 「最高傑作」「宇宙版・地獄の黙示録」「素晴らしい演技」

アド・アストラ
(c)2020 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

世界的ハリウッドスター、ブラッド・ピットが初めて宇宙に挑み、『メン・イン・ブラック』シリーズのトミー・リー・ジョーンズら豪華キャストが出演することで話題の『アド・アストラ』が、2019年8月29日(現地時間)、第76回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門にて世界初披露となり、早くも大絶賛を浴びている。

物語の主人公ロイ・マグブライドは、宇宙で活躍する“英雄”の父親を見て育ち、自らも宇宙士の仕事を選んだ男。父は地球外生命体を探索する宇宙船に乗ってから16年後、43億キロ離れた太陽系の彼方で行方不明になったとされる。しかし、父は生きていた――。

『アド・アストラ』が初披露されるや、英The Guardianは5つ星のレビューを公開し、「最高傑作!驚異的な映像で観る者を圧倒する」と記した。比較に挙げられているのは、『2001年宇宙の旅』(1968)や『インターステラー』(2014)といった宇宙映画の傑作たち。観るものを宇宙へ誘ってくれる、「ズバ抜けた」完成度だと評している。

IndieWireは、本作について「黙想的かつ内省的」だとしながら「まぎれもない冒険映画」であり、「不思議なことに『惑星ソラリス』に次いで楽観的な宇宙大作だ」とも記した。ともすれば作品のなかで矛盾しかねない要素をまとめ上げたのは、『エヴァの告白』(2013)や『ロスト・シティZ 失われた黄金都市』(2016)のジェームズ・グレイ監督。同誌はグレイ監督にも、従来以上に「力強く、かつ洗練された」仕事ぶりだと賛辞を送っている。

そんな『アド・アストラ』に「宇宙版『地獄の黙示録』」との形容を与えたのは米Varietyだ。アクション以上に登場人物のエモーションや関係性にフォーカスを当てているという作品に「ブラッド・ピットの演技や作り込まれた映像を除けば、古き良きSFだ」とも記しているのである。

それにしても特筆すべきは、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でも高い評価を受けたばかりのブラッド・ピットが、本作でも各所で絶賛されていることだろう。Varietyはピットの存在感こそが映画全体を支えていると記し、米The Hollywood Reporter「キャリア史上最高の『ワンス~』に並ぶ演技」であり、ピットは「素晴らしい効果を生むために細やかな仕事をしている」とした。The Guardianは「非常に手際よく、ほとんど大騒ぎすることなく役柄を体現している。非常に抑制された演技で、まったく芝居をしていないかのようですらある」とすら述べているのだ。その演技の強度たるや、早くもアカデミー賞最有力候補との声が上がっているほどである。

アド・アストラ
(C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

『アド・アストラ』初披露となったベネチア国際映画祭の会場では、ブラッド・ピット、リヴ・タイラー、ルース・ネッガ、ジェームズ・グレイ監督がレッドカーペット・セレモニーに参加し、記者会見にも登壇した。大勢のマスコミとファンが詰めかけた会場では、ピットをはじめとする出演者たちが丁寧なファンサービスを示して、大きな盛り上がりを見せたという。プレミア上映ではスタンディングオベーションも起こったという。

主演・製作を務めたピットは、本作について「これまで手がけた作品でも最もチャレンジングな作品だったと言わざるをえません」と語った。「3年前、最初に監督と話していた方向性そのままの作品が出来上がりました。大変満足のいく出来となっています」。主人公ロイの恋人役を演じたリヴ・タイラーは「ロイの記憶や夢の中に登場する役です。ロイと父との関係がしっかりと描かれている物語ですよ」と話した。

アド・アストラ
(C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

ちなみに、ピットは第64回ベネチア国際映画祭にて『ジェシー・ジェームズの暗殺』(2007)で最優秀男優賞を受賞。ジェームズ・グレイ監督も『リトル・オデッサ』(1994)で本映画祭の“銀獅子賞”を受賞していることから、“金獅子賞”への期待も高まっている。

映画『アド・アストラ』は2019年9月20日(金)全国ロードショー

『アド・アストラ』公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/adastra/

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Sources: IW(1, 2), THR, Variety, The Guardian, Syfy

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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