ストーリー性と引き換えに失ったキラキラ感『アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅』レビュー

前作から3年後。すっかり逞しい船長へと成長したアリスは、長い航海から帰還した。
しかし、ロンドンでのアリスを取り巻く状況は一変していた。
前作で結婚を断ったアスコット卿の息子ヘイミッシュがすべてを牛耳り、
アリスの家と引き換えに、父の形見である船を売れと言いだしたのだ。
困惑するアリスの眼前にアブソレムが現れ、アリスは再びワンダーランドへと誘われる……。

私はティム・バートン監督の1作目が大好きだ。
大好きなのだが、正直、前作のストーリーは冗長だったと思う。
しかし、キャラクターのに造形とか、ディテールの可愛さとか、こだわりとか……。
ひっきりなしに画面に出てくる仕掛けと世界観に、とにかくウットリワクワクした。
ハッキリいってストーリーは二の次だったし、私としてもどうでもよかった。

宝箱をひっくり返して魔法をかけたような、ひたすらキラキラした作品。
それが『アリス・イン・ワンダーランド』に対する私の印象だった。 

ティム・バートンが製作を担当し、ジェームズ・ボビン監督に交代となった
今回の続編『アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅』の方が、
全体のストーリーは分かりやすいし、ドラマチックだ。

しかし、アリスたちの衣裳はほとんど変わらないし、シーン毎の世界観も変わらない。
時間を遡ったり、現実世界に戻ってきたりするだけだ。

前作から3年が経ったという設定なのだが、
まず、アリス役のミア・ワシコウスカが逞しくなりすぎて【アリス感】が減ってしまった。

また、アリスならではの小ネタも減っている。
体が小さくなる薬も、大きくなるケーキも出てこない。
わけが分からない遊びの会話も出てこないし、
チェシャ猫は単なる仲間のひとりにすぎない。
要領を得ない不思議な世界は、どこにもない。 

要は、前作で感じたキラキラ感が全然感じられなかったのだ。
過去を見つめるファンタジーなら、
『ヒューゴの不思議な発明』の方がずっとワクワクしたし、心が動いた。
数少ない新キャラも見せ場がほとんどないし、魅力がない。 

おまけに、下手にドラマ性のあるエピソードのせいで、
白の女王の印象が悪くなってしまったり、
「結局あれはどうなったのかな?」「え、それで納得するの?」と、
モヤモヤしたものばかりが残ってしまう。

「これだけキラキラして楽しい世界なら、細かいことはどうでもいいや!」
と思えた前作のディテールが、ことごとく奪われてしまった。 

3作目が製作される可能性は低いと思うが、
万が一作られることがあるならば(アリスの娘とか)、
前作のように、ディテールにこだわりぬいた作品にしてもらいたいと切に願う。

前作から失われたファンタジー…『アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅』レビュー

About the author

ホラー以外はなんでも観る分析好きです。元イベントプロデューサー(ミュージカル・美術展など)。

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