【ネタバレ】「エイリアン:アース」第7話、最も恐れていたシーンの裏側 ─ 「演技とわかっていても、現実と錯覚してしまう」

この記事には、「エイリアン:アース」第7話『脱出』のネタバレが含まれています。

「エイリアン:アース」第6話『ザ・フライ』ラストでは、ウェイランド・ユタニ社のモロー (バボー・シーセイ)に脅されていたスライトリー(アダーシュ・ゴーラヴ)が、“ロストボーイズ”の父親的存在でもある技術者のアーサー(デヴィッド・リズダール)を、フェイスハガーの餌食にする展開が描かれた
第7話『脱出』では、そのフェイスハガーを“ビーチで受け渡す”任務を前に、親友のスミー(ジョナサン・アジャイ)に見つかってしまう。スライトリーはスミーに事情を話し、「アーサーは死なない」と約束したうえで、彼を運び出す手伝いをしてもらうことになる。
外に出ると、いつの間にかフェイスハガーははがれ、意識を取り戻したアーサーは記憶を失っていた。スライトリーとスミーはウソをついて誤魔化そうとするが、中身は子供ゆえ見破られてしまう。「何があったか知らないが、君たちは恐れている」と心配し、助けを申し出るアーサー。研究所に戻るため二人の手を取った瞬間、腹からチェストバスターが突き破り、死亡してしまうのだった。
映画『エイリアン』シリーズのファンであれば、フェイスハガーに寄生された者は死に至ることを知っている。しかし作中の三人はそのことを知らない。アーサー役のリズダールによれば、この状況こそが「とても面白い」ポイントだという。
「視聴者が先を知っているからこそ、ペースを落とすんです。彼らは“ああ、これから来るぞ”と分かっているので、僕らは“その直前を最も感情的なシーンにしよう”と考えました。父親的な存在と二人の少年の関係性を深く掘り下げ、シーズンきっての父性あふれるシーンにしよう、とね。そうすることで、死の衝撃がより大きくなるんです。」
こうして生まれたのが、三人が手をつなぎ、本物の親子のようにビーチを歩くシーンだ。もとも脚本にはなく、製作者のノア・ホーリーが撮影2日前に加筆したものだという。「僕たちはこの瞬間をじっくりと掘り下げ、ゆっくりと進めています。急いで描いたら意味を失ってしまいますからね」。
また、スライトリー役のゴーラヴは、自身のキャラクターについて「シングルマザーのもとで育ち、父親像を欠いたまま成長したため、ネバーランドでは常に父親の代わりとなる人物を探し続けている」と解釈を語る。ビーチのシーンでは「デヴィッドが非常に美しく、誠実に演じたおかげで、僕たちが手をつないで歩き出す瞬間がとても自然なものになった」と振り返っている。
こうしてキャラクターへの感情移入が高まったことで、死亡シーンの「ショックと恐怖もリアルに感じられた」そう。撮影の裏側について、次のように語っている。
「実物大のアニマトロニクス製ボディが使用され、腹部の穴や空洞、噴き出す血も見えていました。演技だと分かっていても、“これは現実だ”と錯覚する部分も多くて、ジョナサンと僕はその“現実”に完全に没入していたんです。僕らは血が飛び散るのを見て、本当に恐怖に震え、顔中が血まみれになりました。」
「エイリアン:アース」はディズニープラス スターで配信中。
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