「エイリアン:アース」における『ピーター・パン』比喩の背景 ─ 「ほぼサイコパス」

この記事には、「エイリアン:アース」第1話『ネバーランド』のネタバレが含まれています。

ドラマ「エイリアン:アース」の舞台は、シリーズ第1作『エイリアン』の2年前にあたる2120年の地球。世界は5つの巨大企業に支配されており、人間の体の一部をマシン化した “サイボーグ”、人工知能体(AI)“シンセ”、シンセに人間の意識を取り込んだ“ハイブリッド”が存在していた。
第1話『ネバーランド』では、巨大企業のひとつ・プロディジー社の“ネバーランド研究島”で、病気の少女マーシーがハイブリッド第1号となる実験を受ける。シンセの体に人間の意識を移すには、大人ではなく柔軟な子供の意識が必要なのだという。

実験の最中、天井にはディズニーのアニメ映画『ピーター・パン』(1953)が映し出される。マーシーは自分の意識が取り込まれる身体について、『ピーター・パン』に登場する「ウェンディみたい」といい、融合後は“ウェンディ”を名乗る。続くハイブリッドたちもそれぞれ“迷子(ロストボーイズ)”の名を与えられ、“永遠の少年・少女”として生まれ変わっていく。
このアイデアが生まれた背景について、ホーリーは「“子どもの成長”を象徴する古典的なメタファー(比喩)として、ピーターパンを直感的に思いつきました」と語っている。さらに『ピーター・パン』の物語を掘り下げる過程で、新たな側面に気づいたという。
「原作を読み直して、“これはホラー・ストーリーじゃないか”と気づきました。とてもダークなんですよ。ピーター・パンはほぼサイコパスです。」
実際に、他の昔話と同じく、『ピーター・パン』も原作に潜む残虐性やホラー性が語られることは少なくない。ピーター・パンは無邪気さと冷酷さを併せ持つ存在でもあり、成長を拒むという姿勢も含め、ホーリーはサイコパス的な側面を感じ取ったのだろう。
またホーリーは、ピーター・パンが「成長したくない迷子」である一方、ハイブリッドたちは、謎の生命体が襲来した地球で「生き残るために成長する必要がある」と語っている。第3話までに描かれたハイブリッドたちは、外見こそ大人だが、中身はまだ子どものまま。この先、いかなる成長を遂げるのか注目される。
「エイリアン:アース」はディズニープラス スターにて配信中。
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Source:Den of Geek