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映画『アスファルト』レビュー 偶然の出会いが必然のように、互いの心を埋めていく人間ドラマ

映画『アスファルト』評価・感想

フランス郊外
廃れた団地を軸に出逢う3組の男女の物語
思い通りにならない現実を 思い通りにならないからこそ得られる喜びを描いた作品だ。

生きていると、うまくいかないこと イヤなこと やりたくないこと ムカつくこと 目を背けたくなること 逃げ出したくなること 死にたくなること
たくさんたくさんあると思う
むしろ、そういったことの方が多い気がする。


あなたにとっても ぼくにとっても 登場人物達にとっても

そんな人生の中で、自分の想いを押し通すことの方が大切な時
他人の言葉を聞き入れ考えを改めることの方が大切な時

どちらもある。

どちらを選ぶことが正解で不正解なのか
本当に押し通さなければならないことは何なのか
それらを見誤った時、人は痛い目に 取り返しのつかない状況に陥るのかもしれない。

突如車椅子生活になった中年男性×夜勤勤務の独身看護師

母子家庭で基本一人で生活している少年×落ち目の女優

団地に不時着したNASAの宇宙飛行士×息子が服役中の移民女性

それぞれの出会いは偶然であったが、まるで必然の出逢いであったかのように 互いの心に欠けたモノを埋めていく。

ウソ
年齢差
言葉の壁

それぞれに障害がありながらも、ゆっくりと 時に臆病になりながら 不安に駆られながらも相手と関わっていく。

思い通りにならない現実
それはとてもマイナスな言葉に受け止められがちだが、人生において本当に大切なことを学べる時っていうのは 決まって思い通りに事が運んでいない時ではないだろうか。

その寄り道のようなルートで得たモノこそ、より良い人生を築くための道標に 価値のあるモノになってはいないだろうか。

ぼくの言葉は、結局のところ 都合の良い綺麗事なのかもしれない
自分の志した道をすんなりと歩めなかった者の言い訳に過ぎない
敗北者の言葉でしかない。
何も成せていない者の言葉でしかない。

すべてをクールにキメ、華麗に人生を送っているヤツだって世の中にはいるのかもしれない。

でも、そんなこと知ったことではない
それでも生きていくしかないのだから

綺麗事だと 自分の都合の良いように考えているだけだと 上っ面の言葉だと
そう言われても 実際にそうであっても、人生に絶望することなく生きていけるのなら何だっていい。

希望を失わずに生きていけるのなら。

人はひとりでは生きていけない

これこそ綺麗事代表のような言葉に聞こえてしまうことがある。
ひとりで生きていくことだってきっとできる
悲惨な道を辿ることを厭わないのであれば。

この言葉が本当に意味するところ
それは、より良い人生を歩むためのヒント・指針なのだと思う。

人が何かの想いに駆られる時
そこには必ず自分以外の誰かの存在がある

その存在が起爆剤となり、あなたもぼくも一歩踏み出すための力を得ているはずだ。

それが前向きな想いであっても
後ろ向きな想いであっても

それが原動力となってぼくらは前を向く。

そのキッカケとなる相手に登場人物達は巡り逢うことができたのだと思う。

上手くいっていないと思っても、それはまだ道の途中
ゴールに辿り着くためにはまだ何かが欠けている。

それを得ること 得ようとする意志こそが肝心
上手くいっていないという自覚があるからこそ人は努力する
前に進もうと 這い上がろうと 現状を打破しようとする。

あれこれ考えながらスクリーンを眺めていた。

登場人物達の心を 彼らの辿る道を
自らの心を 自らが辿ってきた道を

人生は難解で迷路のようだと。

だが、本当はもっとシンプルなのかもしれない。
シンプルでもいいのかもしれない。

あのラストシーンが示していたのはそういうことだったのだと思う。

とても心地の良い作品でした。
ぜひ劇場でご覧ください。

Eyecatch Image:http://www.hollywoodreporter.com/review/macadam-stories-asphalte-cannes-review-796238

Writer

ミヤザキタケル
ミヤザキタケル

映画アドバイザー 元俳優 ライター 映画イベントMC。Instagramを中心に最新映画から懐かしの映画まで幅広く紹介。「ファイトクラブ」 「GO」「男はつらいよ」がバイブル。好きな監督はウディ・アレン。お仕事のご依頼はa.safety.pin.storm@gmail.comまでお願い致します。

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