難解すぎ?『ボーはおそれている』理解されずアリ・アスター監督ヘコむ

『ヘレディタリー/継承』(2018)『ミッドサマー』(2019)などで知られるアリ・アスター監督が、最新作『ボーはおそれている』が理解されないことを嘆いている。3,500万ドルの製作費に対し、全世界累計興収は1,148万ドル。極度の不安症を患う主人公の物語も大きな物議を醸した。
本作は、ホアキン・フェニックス演じる男ボーの幻覚的な冒険物語。父親は自分が着床した日に絶頂で急死し、巨大企業を築き上げたビジネスウーマンの母親に育てられた。犯罪多発エリアで一人暮らしする中年のボーは、父親の命日に母親と会うべく空港へ向かおうとするが、数々のハプニングが襲い、物語は思わぬ方向へと向かう。
2時間59分という長尺の本作では、解釈に困るような表現やある人にとっては不快に感じるような描写が詰め込まれている。アスター監督は米Vanity Fairで『ボーはおそれている』への反応が「二極化することがわかっていましたし、対立を生むように仕向けていました」「変化のない男の物語であることが私にとっては大切で、その時点で特定の人々を遠ざけるような作品になっていました」と語っているが、封切り後に実際に飛び交った賛否両論では、こんなことにも気づいたという。
「公開され、観客は二分化されましたが、そこでこう思ったんです。“あれ、ちょっと待て。みんなが映画を観に行くこと自体を妨げているように作用してしまっていないか”と。」
その結果、興行成績は冒頭の通り赤字着地。映画の仕上がりを「誇りに思っている」という監督だが、「観客の映画への関わり方にはガッカリしました」と本音も漏らしている。「この映画はいろんな意味で実験なんです。[中略]皆さんは期待はずれだと言うシーンもありましたが、あれはジョークなんです!そう解釈してください」。
また、監督によれば「映画では、まだ議論されていない、いくつかのものが埋められている」とのこと。該当のシーンへの言及は避けられているが、監督が意図した演出が上手く伝わっていなかったようにも感じられる。なお、アスター監督は「『ボーはおそれている』のような映画はもう作らない」とも語っている。
ちなみに『ボーはおそれている』は巨匠マーティン・スコセッシ監督によって絶賛されていた。スコセッシは、「作風とペースがとても好き」と語っており、映画のペースを最新作『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』の参考にしたと明かしていた。
映画『ボーはおそれている』は2024年2月16日(金)全国公開。
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Source:Vanity Fair