ディズニー×スピルバーグの最強タッグ、なのに何故?映画『BFG』レビュー

映画『BFG: ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』評価・感想

イギリスの児童文学作家 ロアルド・ダールの作品「オ・ヤサシ巨人BFG」の映画化。
ロンドンの孤児院に暮らす少女 ソフィー(ルビー・バーンヒル)は、真夜中 街を彷徨う巨人(マーク・ライランス)を目撃する。
人間にその存在を知られるわけにはいかない巨人は、ソフィーを巨人の世界へと連れ去るのであった。
ひとりぼっちの少女と巨人の出逢いがもたらす勇気を描いた作品だ。

ディズニー×スピルバーグの最強タッグ!
にも関わらず、こうも胸に響くモノを感じられないのは何故だろう。

ぼくが子ども心を失ってしまったのか
それとも、作品として穴だらけなのか

後者だと信じたいが、設定の甘さばかり気にかかるぼくがちっぽけな大人になっただけのオチかもしれない。

けれど、あまりにも当たり前のことが当たり前に描けていなかった
上辺の面白さはあったりもするが、人の想いが 葛藤が感じられない。

こちらの想像力で補いながら観ていけば、ストーリーの軽さを補完できないこともない。

だが、本来あるべき良き作品の在り方とは
自然にこちらの想像力を刺激し ありとあらゆる考えに至らせてくれるモノのはずではないだろうか。

子ども向けだから分かりやすくしてあるだとかの話ではない。

かつての「E.T.」をはじめとしたスピルバーグ作品にあったはずのモノが感じられない。
ファンタジーの中にあるリアリティも感じられない。
子ども 大人関係なく伝えるべき大切なことも描かれていない。

冒頭のソフィーのシーン
それは彼女の孤独を観客に理解させ、彼女と巨人の遭遇が特別な出逢いであったことを示すための大事なシーン

孤独に過ごしてきた人間世界でのソフィー
巨人に出逢ったことで変化していく巨人世界でのソフィー

その対比を成立させるため、冒頭のシーンは重要であった。

真夜中に孤児院を彷徨う彼女は、自由を 自らの意志による選択を求めていたのかもしれない。
早くに両親を亡くし孤児院で育った彼女には、一般家庭の女の子と比べてできること・やれることの範囲が限られている。

皆が眠った真夜中にひとり起きていること
それだけが、彼女自らの意志で 誰にも指図されることなくできる唯一の行動であったのかもしれない。

だが、そんな孤独の示し方より 同じ孤児院の子ども達と打ち解けられない姿等を描いた方が もっとシンプルに伝わるモノがあったのではないだろうか。

真夜中に孤児院を彷徨う=孤独には直結しにくい。

そして、今作一番のファンタジー要素
今作一番の穴だらけ要素
巨人世界の設定

ドラゴンボールには「気」が
NARUTOには「チャクラ」が
エヴァンゲリオンには「活動限界」が
HUNTER×HUNTERには「制約と誓約」が
グレムリンには「水」が
美女と野獣には「真実の愛」が
シザーハンズには「ハサミ」が

挙げたらキリがないが、ありとあらゆるファンタジー要素を含む作品には必ずルールが設けられている。
そのルールがなんでもありのファンタジーに制限を、現実と遜色のないリスクを生む。

だからぼくらは違和感なく受け入れられる。

巨人の世界にリアリティは感じられただろうか
否、断じて感じられない。
こちらの想像力で補わなければキツい部分ばかりだ。

古の時代より地球と共にあるという巨人
いつからか人間を喰うようになったという
かつてはそんなことをしていなかったという

劇中で語られるエピソードから察するに、過去に人間と巨人の対立があったことは明白だ。

それがあるから、人間に見つかることを恐れていた
人間を喰うべき対象として捉えていたのではないだろうか。

そこについて触れるのかと思いきや、語られることは何もなかった。

ソフィーが出会った巨人は、以前にも別の子どもを連れてきたことがある。
その子どもが彼を「BFG」と名付けた。
それ程の関係を結んだ子どもが巨人達に喰われたという。

そんな過去を持つ彼が、再び子どもを連れてくるだろうか
そんな仲間しか持たない彼が、巨人の安寧を重視するだろうか

巨人のためと言っていたその男が最後に取る行動、そこには矛盾しか感じられない

なんのための時間だったのだ。

夢を人間に与えるという素晴らしい仕事をしていた彼だが、巨人世界の成り立ちが ルールが曖昧なために魅力を感じられない。

数える程しか存在しない巨人達において、1人は夢を人間に与え 残りは皆人間を喰う

意味不明だ
しかもイギリス人にしか夢を与えてくれないのかよ!

ラスト
そんな終わり方でいいのか

理解の及ばないモノにはフタをする
互いに理解し合う道を模索などしない
完全シャットアウト

この先の未来を築いていく子ども達に示す大人の姿が、果たしてこんなモノでいいのだろうか。

何の道理もないファンタジーの恩恵を得たソフィーのサクセスストーリーにしか感じられなかった。

姪っ子 甥っ子、いつか生まれてくるかもしれない自分の子どもに観て欲しいとはこれっぽっちも思えなかった。

About the author

映画アドバイザー 元俳優 ライター 映画イベントMC。Instagramを中心に最新映画から懐かしの映画まで幅広く紹介。「ファイトクラブ」 「GO」「男はつらいよ」がバイブル。好きな監督はウディ・アレン。お仕事のご依頼はa.safety.pin.storm@gmail.comまでお願い致します。

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