日本版予告編に難あり?ハゲたジョニー・デップで注目の映画『ブラックスキャンダル』レビュー

『ブラック・スキャンダル』
ハゲていようがジョニー・デップはカッコいい そして恐ろしい。

実際に起きた事件を描いた作品だ。
役者の演技には申し分ない。

が、日本の宣伝がやらかしている。
ここまでやらかしているのもめずらしい。

ボストンでは誰もが知る犯罪者でも、日本人には 少なくとも1986年生まれのぼくにはその事件がピンとこないので ぼくより若い人にはもっとピンとこないんじゃないだろうか。

予告を観る限りでは、幼馴染3人が成長し ギャング FBI 政治家に。
裏で3人が共謀し 悪事を働くストーリーだと思っていた。

blackmass

しかし、蓋を開けてみれば手を組むのはジョニー・デップ演じるギャングのバルジャーと ジョエル・エドガートン演じるFBIのコノリーだけ。

ベネディクト・カンバーバッチに関しては出番もあまりない。
誤った認識により「ベネディクト・カンバーバッチはどの段階で深く介入してくるんだ?!」と常に身構えていたのですが 結局そんなシーンは訪れず。

事件の詳細を知っている人からしたら予告の時点で違和感を感じていたのかもしれないが、何も知らないぼくは名俳優3人の濃厚でエグい絡みを 悪事を働く3人が堕ちていくスリリングさを楽しみにしていたのだが そんな作品ではなかった。

そもそも「ブラック・スキャンダル」という邦題が「BLACK MASS」という原題の意図するところから大幅に逸れてしまっている。

作品に対して誤った入り方をしていたため 真っ当なレビューが書けないなと悩みましたが、誤った入り方なりのモノを書こうと思いますのであしからず。

冒頭、バルジャーの部下がFBIに事情聴取されているシーンから始まる。

この時点で事はすでに終息を迎えた後であり、部下が語るバルジャーを通して 事の始まりを描いていくのは物語の導入として非常に自然で入り込みやすい。

一般人からしたらギャング FBI 政治家のリアリティを感じるのは難しいが、皆で食べるナッツを自己中で汚く食べるヤツにイライラするシーンや 野球についてアツく語るシーン 家族との関わりなど、誰にでも通ずる感覚を描いているため 3人とも自分と変わらない人間なのだと理解できる。

その自分と変わらない普通の人間が悪事を働き上り詰め そこから堕ちていくからこそ面白くなるのだが、この見せ方の緩急がイマイチ物足りないものだったように感じる。

実話を描いているため それが事実だからと言われたらどうしようもないが、多くの金を手に入れ人間性が変わっていく様だったり 息子と母を亡くして変わっていく様だったりと 描かれているには描かれているが、その変化の度合いがイマイチ伝わってこない。

それらが起きたからこそこうなったという説得力に、普通の人間が変わっていってしまうコワさの説得力に欠けていたように思う。

冒頭で事の結末を明かしてしまっているからこそ、ひとつひとつ積重ねてゴールに向かっていく快感やカタルシスが必要なのだが、確かなものが蓄積されないまま最後までいってしまうので 不完全燃焼感が否めない。

バルジャーがやりたい放題やってるシーンが多く、描いているシーンに偏りがあったようにも思う。

今作の監督 スコット・クーパーの「クレイジー・ハート」「ファーナス 訣別の朝」とどちらも大好きだったのですが 今作はそこまで響かず。

それもこれも誤った入り方をしていたからなのかもしれませんが。
ご覧になる方は余計な情報をシャットアウトし、フラットな状態で臨むことをオススメします。

3.2
総合評価:C

ブラックスキャンダル

原題  BLACK MASS
製作年 2015年
製作国 アメリカ
配給 ワーナー・ブラザース映画
上映時間 123分

青春
4
2
エロ
2
サスペンス
6
ファンタジー
2

About the author

映画アドバイザー 元俳優 ライター 映画イベントMC。Instagramを中心に最新映画から懐かしの映画まで幅広く紹介。「ファイトクラブ」 「GO」「男はつらいよ」がバイブル。好きな監督はウディ・アレン。お仕事のご依頼はa.safety.pin.storm@gmail.comまでお願い致します。

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Comments

  • @takeru0720 2016年2月21日 at 11:42 AM

    日本版予告編に難あり?ハゲたジョニー・デップで注目の映画『ブラックスキャンダル』レビュー | oriver.cinema https://t.co/NdtbWvAKFr

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