Menu
(0)

Search

人種差別「ブラックフェイス」に「なぜダメなんだ?」と黒人俳優が主張 ─ 「役者はなんでもやれるべきだ」

Billy Dee Williams by Super Festivals https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Billy_Dee_Williams_Photo_Op_GalaxyCon_Raleigh_2023_(cropped).jpg

黒人以外の俳優が黒人の役を演じるために顔を黒く塗る「ブラックフェイス」または「黒塗りメイク」は、現代では人種的な観点から絶対的なタブーとされる。ところが、黒人俳優であるビリー・ディー・ウィリアムズ(『スター・ウォーズ』ランド・カルリジアン役など)は、演出上の「ブラックフェイス」は許されるべきものと考えているようだ。

「ブラックフェイス」の有名な例の一つには、映画『バビロン』でもフィーチャーされた『ジャズ・シンガー』(1927 )がある。長い歴史の中でブラックフェイスは議論の対象となり、やがて人種差別的であるとして批判の的となった。

『ジャズ・シンガー』(1927)のアル・ジョルソン

一方、アフリカ系アメリカ人の俳優ビリー・ディー・ウィリアムズが、演出上のブラックフェイスを擁護する発言を見せたことで話題になっている。ウィリアムズはゲスト出演したポッドキャスト番組で、1965年の映画『オセロ』を挙げ、「あれを観た時は笑い転げました」と懐古。この映画では、イギリス人俳優のローレンス・オリヴィエが黒塗りメイクを施してオセロー役を演じている。

当時この作品を観たウィリアムズは、黒人の特徴を模倣したオリヴィエの演技が可笑しかったらしい。「彼はケツを突き出して歩いていた。黒人はケツがデカいからね」「最高だ」と、楽しそうに話している。「ああいうのが大好きなんです」。

これを受けて番組ホストが、「今では絶対に許されないことですよね」と答えると、ウィリアムズは「どうして?」と疑問。番組ホストが「ブラックフェイスですよ?」と身を乗り出して驚くと、引き続きウィリアムズは平然とした様子で「どうしていけないんだ?」と返す。「別にいいじゃないか!

白人である番組ホストが少し困ったような様子で「それは、あなたの目線では……」と指摘すると、ウィリアムズは「俳優なんだから、やりたいことをやるべきだ」と主張。

番組ホストは「素晴らしい考え方ですが、(そんなことをしたら)劇場はオシマイですよ」といなすのだが、ウィリアムズはなおも続ける。「役者として、自分がやれると思うことは、なんだってやれるべきなんです」。

議論は続く。番組ホストが「あなたの痛いところを突くつもりはありませんが、あなたは自分が演じるべき役を演じられない時代に生きたのですよ。素晴らしい姿勢だと思いますが、しかし、今もそうなのです」と返すと、ウィリアムズは「それはそうですが、要点はこうです」と、次のように語っている。

「“自分は被害者だ”という気持ちで人生を生きるな、ということですよ。“ムカつく”と世界に言いながら生きるなんて、私はゴメンだね。24時間ずっとムカついているつもりはない。」

これを聞いた番組ホストは「全くその通りだ!それを言いたかったんだ!」と合意。ひとまず同じ着地点に落ち着いたようで、ウィリアムズが「あなたはとても病的な人だ。いや、とても面白い人だ」と笑いながらワイングラスを手に取ると両者は笑い合い、話題は次のものへと移っていくのだった。

ブラックフェイスは黒人に対する差別的な背景を持ち、その歴史の中で、多くの人々が議論し、やめるように訴えた経緯が存在する。ウィリアムズは寛容な態度を示したが、あくまでも一つの意見であるということに留意すべきだろう。

Source:Club Random with Bill Maher

Writer

アバター画像
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

Ranking

Daily

Weekly

Monthly