もしディズニーがデータを重視していたら『ブラックパンサー』は生まれなかった?元会長が語る創造精神

2021年末をもって米ディズニー・ウォルト・カンパニーの期限付き取締役会長の任期を終えたボブ・アイガーが、“スーパーヒーロー”というジャンルにおいて数々の功績を残した映画『ブラックパンサー』を生み出すきっかけとなった創造精神を明かしている。この考え方が無ければ「『ブラックパンサー』は作られなかった」とまでアイガー氏を言わしめるものとはいったい……?
故チャドウィック・ボーズマン主演、ライアン・クーグラー監督のタッグで製作された『ブラックパンサー』は、テクノロジー技術が発達したアフリカの超文明国家“ワカンダ”の人々を描いた作品。スーパーヒーロー作品として初めてアカデミー賞作品賞にノミネート入りを果たし、アフリカン・アメリカンコミュニティへのエンパワーメント作品としても注目を浴びた。
2005年から2020年までディズニー社のCEOを務めたボブ・アイガー氏は、『ブラックパンサー』をビジネスパーソンの立場から成功に導いた人物。2021年末をもって取締役会長の座を退いたばかりのアイガー氏は、米The New York Timesとの取材でキャリアを振り返り、作品作りにおける“教訓”を明かした。
「ビジネスにおけるクリエイティブな側面に50年間ほど携わってみて、私には年々明白になってきたことがありました。データは、とても重要な役割をすでに果たしているという一方で、どの物語が伝えられるべきかということの決定要素に使われてはいけないということです。もし、黒人のキャストでアフリカ未来主義を描くスーパーヒーロー映画を作るかどうかの決定を下すために、当時持っていた全てのデータを解析していたとしたら、たぶんデータはこう診断したでしょう。“作るな”と。そして、『ブラックパンサー』も決して作られることはなかったでしょうね。」
このアイガー氏の発言は、エンタメ界のみならずビジネス界を牽引するディズニー社の創造精神を具体的に言い表したものだと言えそうだが、一方で社内全体に浸透しきった共通認識ではない模様。アイガー氏は、ディズニー社を去る直前に「今後の(作品作りの)進め方に関するアドバイスを残そうと考えて会議を開いた」と明かしている。つまり、上述の考え方はあくまでアイガー氏の私見であり、むしろアイガー氏はディズニー社に今後の課題を残したといえる。
アイガー氏は、ディズニー社を去ることを発表した2019年、キャリア最高の成功例として『ブラックパンサー』を挙げていた。この時、アイガー氏は同作のプレミアイベントでの経験を回顧し、「観客の皆さんと初めて一緒に座ったのですが、そこで自尊心と達成感を強く感じました」と語っている。まさにこうしたデータで測れない生の経験こそ、『ブラックパンサー』のような作品を生み出す“力”となっているのだろう。
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Source: The New York Times,ABC News