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ブラピ&ディカプリオ、『ブロークバック・マウンテン』のオファーを断っていた ― もしヒース・レジャーが出演していなかったら?

レオナルド・ディカプリオ ブラッド・ピット
Siebbi / DoD News Features

1960~1980年代を舞台に、惹かれ合う二人の男性を描いて非常に高い評価を得た映画『ブロークバック・マウンテン』(2005)。この映画で主人公のカップルを務めたのは、本作での演技が絶賛された故ヒース・レジャーと、『ナイトクローラー』(2014)など現在に至るまで数多くの作品に出演しているジェイク・ギレンホールだった。

アン・リー監督が手がけたこの映画は、当初『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997)や『ミルク』(2008)などのガス・ヴァン・サント監督、『トーク・トゥ・ハー』(2002)などのペドロ・アルモドバル監督のもとにオファーが届いていたという。実際にキャスティング作業を進めていたガス監督が、米IndieWire誌にて思わぬ事実を明かした。

ブラッド・ピット、レオナルド・ディカプリオが出演していたら?

『ブロークバック・マウンテン』の企画に参加していた当時、ガス監督は同作にスター俳優を起用する心づもりだったという。実際に完成した作品は、まだスターとは言えなかったヒース&ジェイクを起用した、そうした方向性とはまるで異なるもの。2018年になった今、ガス監督は自分のビジョンが間違っていたと語っている。

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「誰も(『ブロークバック・マウンテン』に)出たがらなかったんです。あの映画に関わっていた時、有名な俳優だとか、本当に強力なキャストが必要だと思っていました。それはうまくいきませんでしたね。よくキャスティングに名前が上がる、レオナルド・ディカプリオやブラッド・ピット、マット・デイモン、ライアン・フィリップを希望したんですが、全員が“ノー”でした。」

『ブロークバック・マウンテン』で脚本・製作を担当したダイアナ・オサナ氏は、ガス監督の証言が事実だと認めて「彼らにはいろんな理由で断られましたね」と振り返っている。ダイアナ氏いわく、ガス監督は『ブロークバック・マウンテン』に非常に前向きだったという。しかし監督は、残念ながらプロジェクトを離脱するに至ったのだ。

「出演者に無名の俳優を選ぶこと、主演俳優の人選を恐れないことは僕にもできただろうし、そうすべきだったのかもしれません。でも(当時は)その準備がなかった。どうしてなのかはわかりませんね。」

その後プロジェクトに参加したアン監督ほか製作チームは、ヒース&ジェイクを二人の主人公に抜擢した。ヒースが演じたイニス・デル・マー役のキャスティングについて、ダイアナ氏は「本当にハードルが高かった」と述べているが、その成果はいまさら事細かに語るべくもないだろう。

もしも当時、ガス監督の望み通りにブラッド・ピットやレオナルド・ディカプリオが『ブロークバック・マウンテン』に出演していたら、ヒース・レジャーがこの映画で賞レースに数多く名前を連ねることもなかったことになる。
歴史に“もしも”はないが、そうすればヒースの出世は遅れていたかもしれないし、その後、世界に衝撃を与えた『ダークナイト』(2008)のジョーカー役を演じることもなかったかもしれない。そうするとヒーロー映画の状況すら現在とはまるで変わっていたかもしれないし――少なくともDCコミックスと映画の状況は大きく違っていただろう――クリストファー・ノーランという映画監督への評価にも影響が生じていたかもしれないのだ。

映画界において、フィルムメーカーが“実現しなかったキャスティング”を明かすことは極めて珍しい。しかし『ブロークバック・マウンテン』の例を知るだけでも、一本一本の映画がいかなる奇跡の上に成立しているか、それが未来の映画にいかなる影響を与えうるかということがわかる。とはいえ、ブラッド・ピット&レオナルド・ディカプリオ主演、ガス・ヴァン・サント監督による『ブロークバック・マウンテン』、実現したら一体どんな映画になっていたんだろう……?

Source: IndieWire

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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