『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』マーティが「腰ぬけ」呼ばわりに怒るようになった理由

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズでは、第2作『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』(1989)以降、マーティが「腰ぬけ(チキン)」と言われてカッとなる描写が登場する。この設定が誕生した経緯について、脚本家・プロデューサーのボブ・ゲイルが米Cinema Blendに明かしている。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』では、マーティが1985年から2015年にタイムスリップする様子が描かれる。ドクから未来で「余計なことをするな」と警告されるも、ビフの孫・グリフに「腰ぬけ(チキン)」と言われるや、怒りのあまり冷静さを失うマーティ。「俺を“腰ぬけ”と呼ぶな(Nobody calls me chiken)」と挑発に乗り、大騒動を起こしてしまう。
“腰抜け”がマーティの怒りのトリガーとなる描写は、その後も繰り返し登場するが、第1作では描かれていなかった。一体なぜこの設定が追加されたのか?その背景について、ゲイルはこう語っている。
「続編を製作する段階で、マーティには克服すべき “性格上の欠点” が必要だと気づきました。第1作で成長を遂げたのはジョージ・マクフライでしたから、(マーティの)真の欠点についてあまり掘り下げませんでした。
しかし、マーティの短気な一面は確立されていました。学校のカフェテリアやカフェのシーンで、ビフが威圧的な態度をとると、マーティはすぐに揉めてしまう。そこで僕たちは、 “これを活かそう。マーティの短気な一面を性格上の欠点にしよう” と考えました。それを言葉で表現するために、“誰にも腰ぬけとは言わせない” というセリフが誕生したのです。誰かに“腰ぬけ”呼ばわりされことが、彼の弱点になりました。」

もっとも作中では、マーティが“腰ぬけ(チキン)”と言われてキレるようになった理由は描かれていない。そのため、一部ファンの間では、“チキン”という言葉が英語圏や1980年代において侮辱的な意味を持つとする、文化や時代背景に基づく解釈もされていた。
しかしゲイルによれば、マーティというキャラクターを掘り下げるために加えられた設定だったようだ。実際に、この描写は第2作・第3作を通して繰り返され、最終的にマーティは大きな変化を見せる。製作陣が意図したように、マーティの成長を象徴する要素となったといえるだろう。
ちなみに、ドクの決め台詞「Great Scott!(なんてこった)」はロバート・ゼメキス監督が考えたものとのこと。ドラマ「スーパーマン」(1952-1958)に登場した「Great Caesar’s Ghost!」というセリフが元になっているという。
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Source:Cinema Blend