『バットマンvsスーパーマン』は神殺しと神の誕生を描いた物語だ 〜ブルースとレックスの悲劇から読み解く神の救済〜

注意


この考察には、『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』のネタバレを含む内容が書かれています。
映画を未観の方は、鑑賞されてからお読み頂く事をお薦めいたします。

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バットマンvsスーパーマンは神殺しの物語

http://www.thefashionisto.com/batman-v-superman-dawn-of-justice-trailer-movie-stills/batman-v-superman-movie-picture-still-lex-luthor-jesse-eisenberg/

悪魔は空からやってくる

『バットマンvsスーパーマン』でレックス・ルーサーは「悪魔は空からやってくる」と発言している。
これは『マン・オブ・スティール』にてクリプトンからの侵略者が”空”からやってきたことが原因だろう。ゾッド将軍とスーパーマンの激突によりメトロポリスは壊滅状態へと陥った。
その戦いを見たからこそ、レックスは「悪魔は空から来る」と考えるに至ったのだ。

人々はスーパーマンをヒーローと呼び、神のようにとらえている。劇中でもスーパーマンの”神性”が描写されている。超人的な力を駆使して、災害や事故に巻き込まれた人々を救っている。ゾッドと言う本物の悪魔から地球を救っているため、彼は神同然に観られても不思議ではないのだ。
だが、レックスは彼を悪魔と捉えている。幼いころに父から殴られても誰も助けに来てくれなかった。だから神は存在しないと思うに至ったのだろう。

不平等な神

時を経て大人になったレックスの目の前に”神”が現れた。厳密には神に最も近い男だ。それがスーパーマンである。異星人の侵略から地球を守り、それどころか火事から少女を救い、災害から人を救っている。他の人は救われているのに、なぜ自分は救われなかったのだろうか。その不公平さがレックスの妄執となり、スーパーマン殺害を決意するまでに至ったのだ。わざわざクリプトナイトを密輸してまで、彼を倒さねばならぬと決意した。

これはバットマンことブルース・ウェインも同じだ。路地裏で理由もなく突然殺された両親を神は助けてくれなかった。人々が神と崇める男は社員を殺し街を戦場にしたのだから、悪魔に見えて当然だろう。
だからこそ、両者はスーパーマンを脅威と捉え倒す決意をしたのだ。

だがバットマンは救われる。幼いころは母親『マーサ』の死を見ていることしかできなかった。大人になったバットマンはスーパーマンの母親『マーサ』を救うことが出来た。つまり、バットマンは過去のしがらみから解き放たれたのだ。憎きスーパーマンが彼を救ったのだ。バットマンにとってスーパーマンは神のように思えただろう。

しかし、レックスは救われない。スーパーマンは神がかりな力で人々を救うが、時間を遡ることは出来ない。幼少期のレックスを救済することは出来ないのだ。だから彼は救われない。スーパーマンを倒すことだけを考えている。
バットマンの怒りを利用してまでスーパーマンを倒そうとしたのだ。人間の力で人々が神を崇める存在を屠ることで、己のアイデンティティを守り、同時に人間の強大さを知らしめる意図があったのではないのか。
人間が神に最も近い男を殺す。それが実現できれば、今後発生するだろう異世界からの侵略者にも勝てる可能性を見いだせるのだ。
レックスはスーパーマン対策を「惑星の安全保障」と発言していることから、人間の手でスーパーマンを倒すことが必要だと考えていることが垣間見える。

http://www.hollywood.com/movies/lex-luthor-gets-fortune-magazine-profile-to-promote-batman-v-superman-60442474/

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ドゥームズデイを誕生させる際に、自分の血を分け与えたのも同じだ。地球は人間が守らねばならぬとの考えに憑りつかれている。だから人間でも神を殺せるということを示したかったのだろう。ドゥームズデイに血を分け与えたのも、人間という点を少しでも強調したかったのではないのか。
神に最も近い男を人間が倒せば、それは神殺しを成功させたことと同意義だ。つまり、人間の強さを宇宙へと知らしめることが出来る。レックスは地球を守るために神殺しを果たしたかったのだろう。

転落と復活、神の誕生

だが、ドゥームズデイは倒されてしまう。同時にスーパーマンも死亡してしまう。
レックスは「悪魔は空から来る」と言っていたが、それは裏返すと「神は地からやってくる」ということになる。
冒頭でブルース・ウェインが穴に落下して、コウモリの大群を見る。そして肉体が上昇して光に包まれた。これはバットマンの誕生を意味する場面だ。
ブルースがバットマンとして目覚めたのは”一度地に落ちた”からだ。絶望や恐怖を乗り越えてバットマンになったことを“肉体が上昇する”という描写で示したのだ。

スーパーマンの死はそれに対なす描写である。スーパーマンが本物の神になるためには”一度地に落ちる”必要があった。ブルースの肉体が上昇し光に包まれたことシーンは、彼がバットマンへと目覚めるオリジンを特殊な表現で示しているのだ。
ラストでスーパーマンの棺にかけられた土が浮き上がるが、これはブルースの肉体が浮き上がったことと同意義だろう。つまりスーパーマンの復活を示している。ブルースと違うのは一度死んでいる点だ。キリスト教の考えでは一度死んで復活した男は神となるからだ。

そして”神は地からやってくる”というキーワード。スーパーマンの棺は墓穴に置かれている。地面よりも深い場所にある。スーパーマンが復活するときは”地から現れる”ことになるのだ。超人的な力を持つスーパーマンは文字通りの神となって復活することを意味している。次にスーパーマンが姿を現すとき、彼は”本物の神”になっているはずだ。
皮肉にもレックスはスーパーマンを殺すことで本物の神を生み出してしまったことになる。

物語は『ジャスティス・リーグ』の結成へと動き出した。神の存在を前に超人的な力を持った者達はどのような動きを見せるのだろうか。

次の記事は・・・

スーパーマンは『ジャスティス・リーグ』で悪役になるか? 悪夢から読み解く『インジャスティス』な未来

BATMAN v SUPERMAN : DAWN OF JUSTICE

バットマン vs スーパーマン : ジャスティスの誕生

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Comments

  • @main0top12 2016年4月4日 at 12:29 PM

    『バットマンvsスーパーマン』は神殺しと神の誕生を描いた物語だ 〜ブルースとレックスの悲劇から読み解く神の救済〜 – ORIVER cinema (ブログ) https://t.co/xteeTeXoZB

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  • ワラビー (@kobo97) 2016年4月4日 at 6:29 PM

    『バットマンvsスーパーマン』は神殺しと神の誕生を描いた物語だ 〜ブルースとレックスの悲劇から読み解く神の救済〜 https://t.co/1oR6LNFMNh

    Reply
  • oriver_cinema (@oriver_cinema) 2016年4月4日 at 7:20 PM

    【ネタバレあり考察】『 #バットマンvsスーパーマン 』は神殺しと神の誕生を描いた物語だ 〜ブルースとレックスの悲劇から読み解く神の救済〜 https://t.co/AvDf2GhWwi

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  • @Sanyontama 2016年4月5日 at 9:15 PM

    こんな記事も寄稿してます。
    『バットマンvsスーパーマン』は神殺しと神の誕生を描いた物語だ 〜ブルースとレックスの悲劇から読み解く神の救済〜 https://t.co/9mbsHRVNy6

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