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マーベル・エンターテインメント C.B.セブルスキー氏インタビュー ─マーベル採用舞台裏、若手アーティストへの助言まで

マーベル 副社長 C.B.セブルスキー氏 インタビュー

やりとりは大量のメール。これが一番楽なやり方ですね。図式やグラフ、チャート、それに深夜の電話も大量に。

中谷異国の地で信頼できるビジネス・パートナーを探さなければならないわけですが、ポイントは?

セブルスキー氏皆さん信頼できる方たちですよ。常に直接お会いするのが一番だと思っています。よく言われますように、結婚の前にはデートしないとね、ということです。相手となる企業の規模や認知度に関係なく、まずは小さなプロジェクトからスタートします。そこで、契約書はちゃんとすぐ作ってくれるかとか、支払いに遅れはないかとか、商品や成果物の質などを見極めて、問題がなければさらに大きなプロジェクトに進んでいくようなプロセスになります。

マーベルは今ではディズニー・ファミリーの一員です。私たちも初めてのことが多く、特にアジア圏において私たちはまだまだ新顔。対してディズニーには長年の経験があって、良いパートナーを知り尽くしています。映画、アニメ、ゲーム、グッズにおいても、ディズニーの同僚たちと共に進められるので、ビジネスとしては非常にやりやすいですね。

「子供たちの表情を見るのが何よりも嬉しい」

中谷アジア圏にマーベル文化を広めていくにあたって、一番嬉しい瞬間はなんですか?

セブルスキー氏一番嬉しい瞬間は…、世界中どこにいても同じなのですが、子供達の顔を見た時ですかね。コミックを読んで、映画館に出かけて、ゲームを楽しんで、それこそ、「マーベル展」に来てくれた子供達も。入場して、5メートルの大きなアイアンマンを見上げて、子供達が口をアングリ開けて見入っているんですよ。これこそ最高の瞬間です。スパイダーマンのコスチュームが展示してあるエリアでも、子供達が”スパイダーマンだぁ!うわぁ〜!”って駆け寄っていて…。私はそういう瞬間が見られるのが最高に幸せなんですよ。子供達にとって忘れられない瞬間になってくれて、生涯マーベルのファンになってくれたらいいな。

中谷では逆に、一番難しいこととは?

セブルスキー氏:成長速度に限度があることです。すべての国にはその国独自の文化が根付いています。多くの国々はローカル文化に集中しているので、外から持ってきた文化に対してあまりオープンではありません。本当はもっとマーベルを各国のテレビや劇場などで展開していきたいのですが、その国で生まれたコンテンツへの愛着の方が強いので、”マーベルよりもお国のコンテンツを”という風潮は感じています。

これは私たちに責任があると思っているので、啓発活動が必要だと考えています。マーベルって、派手なコスチュームを着て、スーパーパワーを持っているヒーローの物語だとよく誤解されてしまうのですが、それだけではないんですね。コスチュームの下の人間の物語なんです。ピーター・パーカーにトニー・スターク、スティーブ・ロジャース…彼らはみな人間で、心や人間性がある。ここをご理解いただければ、各国でももっと受け入れて頂けるんじゃないかと思います。難しいことだとは思いませんが、”挑戦”と捉えています。「マーベル展」を通じて、日本の皆さんにもマーベルの深奥さや歴史を知って頂ければ嬉しいです。

中谷僕が子供の頃、ピーター・パーカーは親友でした。

セブルスキー氏(感慨深げに)おぉ…。

中谷日本でももっとマーベルの楽しさが広まって欲しいと願っています。でも、僕の周りでもあまり映画やポップカルチャーを楽しんでいる人は少ないような気がしていて…。

セブルスキー氏他のみなさんはいつも何をしてるんですか?

中谷うーん、仕事をしているんじゃないでしょうかね。

セブルスキー氏だからカロウシになっちゃうんですね、働きすぎだ(笑)。解決策ができましたね、“カロウシになるな、マーベル映画を観に行け”ってね(笑)

世界が日本カルチャーに注目している

中谷日本人はグローバルに弱いのは英語が話せないからだと言われていますが、それよりも日本人が生真面目すぎて、海外の方と語るべき”共通の話題”を持っていないのが一番の問題だと思っているのですが…。

セブルスキー氏私は違う意見を持っていますよ。今や世界中が日本に注目しているじゃないですか。世界中の人々が日本を訪れているでしょう。日本がユニバースの中心だと思います。みなさんが思っている以上に、たくさんの人が日本を理解していますよ。私たちの間ではこんなジョークがあります。日本人とレストランに出かけると、“寿司って知ってる?お箸の使い方わかる?”と必ず聞かれるという。(注:つまり日本人が思っている以上にお寿司やお箸は欧米人にとって親しまれている、ということの例え)日本人はもっと、世界で自分たちの文化がどれだけ深く受け入れられているのかを自覚すべきです。日本の企業も海外ですごく根付いていますよ。古くはソニーが、今は食文化で言えば一風堂なんかも。どこ行っても一風堂がありますからね。ニューヨークでは”いきなりステーキ”がオープンして、ニューヨーカーたちが二時間半並んでるんですよ(笑)。こういう成功事例を、日本の企業や役者がもっと追随してくれることを願っています。

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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