『バットマン』『007』人気映画のキャスティング、観る前からの批判は「病的」だと英俳優 ─ 「これは文化全体にはびこる病」

たとえばスパイダーマン、バットマン、ジェームズ・ボンド。ハリウッドを彩る人気キャラクターを継承する俳優たちは、そのつどファンからの厳しい視線にさらされる。キャスティングの第一報が届いた時点、すなわち実際の演技が披露される数年前から批判の声が飛び交うこともざらだ。
この風潮に対し、「先に判断するのはクソみたいに病的だ」と声を上げた俳優がいる。『ベルファスト』(2021、日2022)でゴールデングローブ賞の助演男優賞候補となったジェイミー・ドーナンだ。
ジェイミーはベストセラー小説を映画化した『フィフティ・シェイズ』シリーズにメインキャストで出演。同時期にキャリアアップした友人のアンドリュー・ガーフィールドは『アメイジング・スパイダーマン』シリーズで、ロバート・パティンソンは『THE BATMAN―ザ・バットマン―』(2022)でともに批判を受けた経験を持つ。米Esquireにて、ジェイミーは自身の考えをこう語った。
「(前もって判断することは)文化全体にはびこる病です。もちろん僕自身の職種でもそう。一般的に、人間は他人をクソみたいなことで判断するもの。本当に悲しいことです。ロブ(ロバート)がバットマン役に決まったときのリアクションを見たでしょ? 90%がネガティブだった。ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンド役に起用された時は……当時は100%ネガティブでしたよね、ひどいことを書かれて。」
ジェイミーのコメントは、俳優が事前に批判を受けることのストレスをよく知るがゆえのものだろう。「キャスティングに対して悪意や怒りをぶちまけている人を見ると動揺する」と率直な言葉も口にしたジェイミーだが、もちろん、周囲の評判がまるであてにならないこともよく理解している。「その後どうなったかって、ダニエル・クレイグは超すばらしくて、ボンドのエネルギーそのものを変えてみせた。ロブのバットマンには(当時の)反対派もみんな夢中になりましたよね」。
そもそもロバートの場合、バットマン役よりも前に『トワイライト』シリーズに出演し、大作シリーズを先に経験したことから、その後は長らくメジャー作品に戻ってこなかったことで知られる。インディペンデント映画から中規模作品で活躍したロバートは、クリストファー・ノーラン監督『TENET テネット』(2020)で久々にスタジオ映画に復帰。また『アメイジング・スパイダーマン』の打ち切りという仕打ちを受けたアンドリューも、その後は小中規模の作品でキャリアを培った。ふたりが大作に戻るまでに長い時間がかかるほど、役者のプレッシャーやストレスは大きいのだろう。
ジェイミー自身も『フィフティ・シェイズ』シリーズの後は中規模の作品で活躍しており、大作にはカムバックしていない。しかしながら一部では、ダニエル・クレイグの後を継ぐ“次期ジェームズ・ボンド候補”に彼の名前を挙げる声もあるようだ。もっともジェイミー自身は、この件について「そういう話に混ぜてもらえるのは楽しいし良いもの。その時々で勢いのある人の名前しか出ないのは確かだから」と冗談めかして答えるのみだった。
Source: Esquire