『シビル・ウォー アメリカ最後の日』から立ち直るのに2週間かかったとキルスティン・ダンスト ─ 戦場シーンで本物の恐怖を感じる

A24製作、大ヒット戦争スリラー映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』。近未来、テキサスとカリフォルニアの同盟からなる“西部勢力”と政府軍の内戦により、各地で武力衝突が繰り広げられるなか、4人のジャーナリストが大統領への取材を行うため、ニューヨークからワシントンD.C.を目指して危険な旅をする──。
この映画で報道カメラマンのリー・スミス役を演じたのが、『スパイダーマン』シリーズや『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(2021)のキルスティン・ダンストだ。監督・脚本のアレックス・ガーランドから私物のカメラを送ってもらい、本職のカメラマンの仕事現場に同行し、常にカメラを持ち歩いてシャッターを切るなど入念な役づくりを重ねた。実在の戦争ジャーナリストを追ったドキュメンタリー映画『メリー・コルヴィンの瞳』(2018)は、リサーチのなかでも特に役立ったという。
米Deadlineにて、ダンストはガーランドの演出を「すべての瞬間を本物らしく、リアルに感じられるようにしていました。アレックスの撮り方には本物のリアリティがあり、まるで演劇のようだった」と振り返る。自らもリアリティを感じられる現場が好きだと語るダンストだが、今回は「本当に恐ろしい瞬間もあった」という。
「洗車場で首を吊る男たちや、炎の中を運転するのは怖かったですね。安全だとわかっていても、強い危険を感じました。“周りは火花が飛び散ってるけど、私たちは車の中だから”と思っていたし、怖くないはずだったのに、怖い思いをしたんです。[中略]それから、銃声も大変でした。あれだけの銃声を聞くのは不安になるし、アレックスは空砲を半分ではなく全弾使っていたから、すごく音が大きいんですよ。あれほどの銃声には慣れていないので、身体に影響が出ました。」

劇中のシーンはほぼ時系列順で撮られたため、撮影の終盤では約2週間にわたり銃撃戦が続いた。「あまりに激しかったので、銃声にせよ、感情的なシーンにせよ、身体と心に負担がかかるんです」とダンストは言う。「撮影から立ち直り、普通の感覚を取り戻すのに2週間はかかった」と。
「家に帰っても、“子どもたちとランチに行ったぞ、公園に行ったぞ”ということがちょっと奇妙に思えて、現実感がなかったんです。身体を落ち着けなければいけないと思いながらも、どうしていいのかわからない。とにかく、普通の生活に戻るしかないんですよね。一部の映画は(撮影から)立ち直るのが難しいものですが、この映画は少し時間がかかりました。」
こうした体験ゆえだろう、ダンストは完成した映画を観ても「ホームビデオを見ているような気分になった」という。「どこで撮影したか、その日に何があったか、何を食べたのか、ということばかり考えてしまうんです。バカバカしく聞こえるかもしれないけど、テントの簡易ベッドで何時間も横になっていたなとか」
もっとも、この作品をまとめあげたガーランドの手腕には感銘を受けたそう。「予想外のものを観ていると思えたし、映画の結末も、映像的な展開も大好きでした。非常に独特な映画で、自分自身のことも誇りに思っています。それに、成功したという事実もある。必ずしもそうなるとは限らないので、映画館でヒットしたことを嬉しく思います」。
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』は2024年12月6日(金)よりPrime Videoにて見放題独占配信。
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Source: Deadline