春に向けて『素晴らしきかな、人生』で愛と人生を見つめ直すススメ

冬の寒さも少しずつ和らぎ春の兆しを感じる。

そんな凍てつく季節から解放される瞬間を切り取ったような作品が公開間近だ。

2月25日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーを筆頭に順次全国公開を予定する『素晴らしきかな、人生』。『プラダを着た悪魔』の監督デヴィッド・フランケル監督の最新作とあって期待に胸が高鳴る。

©2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.,  VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT, LLC

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人生を振り返るきっかけになる作品

主人公はウィル・スミス演じるハワード。広告代理店で成功を納め、優秀でカリスマ性あふれる男だったが娘を亡くしたショックから立ち直れず自分の人生に自問し始める。次第に仕事も日常生活さえままならなくなり、同僚たちにも心配される始末。同僚のホイット、クレア、サイモンもそれぞれの人生があり、それぞれが壁にぶつかっている最中会社とハワードのために奮闘する。そんな彼らの前に不思議な舞台俳優が現れる。彼らとの出会いで同僚たち、そしてハワードにも徐々に変化が現れる…。

同僚たちとして脇を固める俳優はエドワード・ノートン、ケイト・ウィンスレット、マイケル・ペーニャ。そして舞台俳優にキーラ・ナイトレイが名を連ねる。

©2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.,  VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT, LLC

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主人公ハワードの抱える問題の傷の深さに、人生の絶望を見る。誰もが、もう二度とハワードは全ての傷を癒えてまた順風満帆な暮らしに戻れるとは思わないだろう。そんな悲劇を支える同僚たちにもまた、それぞれのトラブルがある。それでも人は力強く生きていく。

ビジネスを人生として描く力

デヴィッド・フランケルの前作『プラダを着た悪魔』でもその手腕は光っていた。

成功することや夢を叶えることに止まらないビジネスの描き方は今作でも魅力の一つとなっている。人生と並行して”仕事”がある。そこに向けるエネルギーや意識、執着を描くことで主人公の人生を透かしていく演出が心を打つ。

”仕事”さえ身が入らないことが人生には待ち受ける。そして”仕事”をすることで日常を思い出すヒントを得る。

決して「成功してめでたし」で終わらない描き方は、映画と違いその後も仕事と付き合い続ける観客の人生によりリアルな感情を与えるだろう。自分にとってのビジネスが何なのか。おのずと自問したくなる。

受け止めきれない愛情が傷つける

自分にとっても相手にとってもそうなのだ。愛とは受け止めきれない時、傷を受ける。

ハワードは娘を亡くした時、娘への愛情で潰される。

©2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.,  VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT, LLC

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『素晴らしきかな、人生』を観て、傷つくほど愛している人の存在に気づくか。はたまた誰かは、傷つくほど私を愛してくれていると気づくか。

この作品の中では誰かが倒れそうになればまた誰かがスッと出てきて支えてくれる。繋がることを恐れなければ、人は再起できることが描かれている。

人は一人では生きられない

そんなシンプルでありふれた言葉さえ、デヴィッド・フランケルが描けば壮大でロマンティックな作品へと作り変えられる。

私たちは自分の壁にぶつかった時に、自分の問題だけで頭がいっぱいになるだろう。誰だってそうだ。この作品の中の人物も皆、自分の問題は自分だけのものだと思っている。

しかし実際は自分を取り囲むように他人が存在している。ふとした会話から、何気無い挨拶からでさえ、再起する可能性やエネルギーをもらっていると気づく。揺るぎない愛や信頼していた信念は新たに書き換えられ、また新しい自分へと移り変わってゆく。

愛情を受け入れることを恐れない、そんな強いメッセージがこの作品にはある。

冬が終わり、やがて春へ

凍てつく季節を終えて、やがて氷の溶け出す春へと移ろう。そんな変化を描くように、作中ではフォーカスでの演出が見事だ。撮影監督にマリース・アルベルティを据え美しいニューヨークの街を多方面から描き出す。ハワードの心や登場人物の心情に寄り添いそっと変化するフォーカスに心を掴まれる。周りが見えない時、そして余裕のないときは少しばかりぼやけた世界にゆらりと光がにじむ。そんな、「少し生きづらい」世界を映像だけで強く表現している。

画面手前にオブジェクトが多いことや、俯瞰からのショット・低い位置からのショットが入り混じる不思議なカット割りは映像美と心理描写を一手に引き受け、リアルでほろ苦いストーリーを暖かいヒューマンストーリーに綺麗に落とし込む。

映画は誰も傷つけない、そんな暖かさで生々しいストーリーをカバーする。

©2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.,  VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT, LLC

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VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT, LLC

監督、キャスト、スタッフに豪華陣営を揃え、いよいよ公開が迫る。
観たら人生の大きな決断をする決心がつくかもしれない。一歩先へ進む勇気をくれる。
少なくとも私にとっては大きな決断をするきっかけとなってくれた。家族や人生を大きく左右する決断ができた。

誰かが誰かを救うように、映画があなたを救うかもしれない。

『素晴らしきかな、人生』

2月25日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー他 全国ロードショー

配給:ワーナー・ブラザース映画

About the author

映画とロックが好きなフリーライター♡

ギークな映画ボーイやクールな映画ガールとカクテル片手に話すようなことを記事にしていきたいです。好きな映画は『ロッキーホラーショー』。

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