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豪華キャストで贈る感動のヒューマンドラマ、映画『素晴らしきかな、人生』その魅力を余すところなくお届け!

主演を務めるウィル・スミスをはじめ、エドワード・ノートン、ケイト・ウィンスレット、マイケル・ペーニャら、錚々たる顔ぶれが揃った、豪華キャストで贈る感動のヒューマンストーリー、映画『素晴らしきかな、人生』

人生最大の苦難に直面する主人公ハワード(ウィル・スミス)を、周囲の仲間が支え合いながらも互いに試練を乗り越えていく、心あたたまる感動作だ。メガホンを取るのは映画『プラダを着た悪魔』(’06)、ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』(’01-’03)などで有名なデヴィッド・フランケル監督。

本作の注目すべきところは、誰にでも一度は訪れるであろう“人生のドン底”の乗り越え方を、スクリーンを通して観客ひとりひとりに問いかける、芯の通った強いメッセージ性。そして、もっとも注目したいのは、実力派が勢揃いした豪華すぎるキャスト陣だ。冬の寒さで冷えた心も一気に温まる、そんな本作に詰まった沢山の“魅力”を筆者の視点でたっぷりとお届けしよう。

映画『素晴らしきかな、人生』あらすじ

http://www.imdb.com/title/tt4682786/mediaviewer/rm3813737472
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ニューヨークの広告代理店に勤めるハワード・インレット(ウィル・スミス)は、社の共同設立者として成功を収めていた。凄腕広告マンとしてのエキサイティングな日々を送る彼は、仕事も家庭も順風満帆のように見えた。しかしある日、最愛の娘を難病で亡くしたハワードは、深い喪失感と底知れぬ悲しみに襲われる。我が子を失ったことによる彼の傷心は、仕事にも多大な影響を与える結果となり、大口の契約を次々に打ち切られていく。

会社の将来を危惧する同僚のホイット(エドワード・ノートン)、クレア(ケイト・ウィンスレット)、サイモン(マイケル・ペーニャ)は、筆頭株主のハワードに経営能力がないことを認めさせるべく、苦渋の決断を下すことになる。そんな時、まるで世捨て人となったハワードの前に、自らを「愛」「時間」「死」と名乗る男女三人が現れる。奇妙な出会いを繰り返すハワードにも徐々に変化が表れ…。

オスカー受賞・ノミネートの豪華すぎるキャスト陣

主演を張るのは、映画『スーサイド・スクワッド』(’16)でフロイド・ロートン/デッドショットを演じ、今もなお幅広い活躍を見せる、ハリウッド切ってのドル箱俳優ウィル・スミス。『インデペンデンス・デイ』(’96)や『メン・イン・ブラック』シリーズ(’97,’02,’12)、『アイ・アム・レジェンド』(’07)など、多くのSF映画に出演している彼が、本作では6歳の娘を亡くした悲観の男を見事に演じ切っている。

過去の出演作では“お喋りキャラ”の印象が強いウィル・スミスだが、今回は主演でありながらも非常に少ないセリフ量で挑み、これまでの役とは真逆の印象を与えている。人生の苦難に悶えながらも次第に事実を受け入れていくさまを、彼の持つ独特のオーラで儚くも静かに演じている。

(C)2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT, LLC
(C)2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT, LLC

そんなハワードを気にかける同僚の3人(ホイット、クレア、サイモン)にも豪華キャストが起用され、ビジネスパートナーのホイット役には『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(’14)でアカデミー助演男優賞ノミネートのベテラン俳優エドワード・ノートンが抜擢。

顧客担当のクレア役は映画『タイタニック』(’97)でローズ・デウィット・ブケイター役を好演したイギリスの女優ケイト・ウィンスレットが務め、近年では『スティーブ・ジョブズ』(’15)でジョアンナ・ホフマン役を演じ、ゴールデングローブ助演女優賞、英国アカデミー助演女優賞を受賞した。

また、マーベル映画『アントマン』(’15)で主人公の親友ルイスを演じ、『フューリー』(’14)や『オデッセイ』(’15)ではそれぞれブラッド・ピット、マッド・デイモンと共演し、名脇役との呼び声も高いマイケル・ぺーニャが顧問のサイモン役を演じた。

http://www.imdb.com/title/tt4682786/mediaviewer/rm2454782976
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ほかにも、『クィーン』(’06)でアカデミー主演女優賞を獲得し、2003年には英国女王から“デイム”の称号を授与された名優ヘレン・ミレンや、『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』(’03)でエリザベス・スワン役を演じ、一躍ブレークを果たしたキーラ・ナイトレイ。最近では『メイズ・ランナー』(’14)に出演し、シンガーとしても活躍する若き新星ジェイコブ・ラティモア、更に『007 スペクター』(’15)のナオミ・ハリスが脇を固めている。

胸に響く言葉の数々

人生には多くの課題が待ち受け、誰しもが一度は挫折や逆境を味わい、それを乗り越えて立ち直ろうとする。今アナタが失意のどん底であるとしてもスッと心に染み渡る、そんな言葉が多く散りばめられているのが本作の魅力だ。例えば冒頭、社内の若き従業員に対し、ハワードは熱いスピーチでこう語った。

「君の『なぜ』への答えはなんだ? なぜ今朝も起きた? なぜ朝食を食べた? なぜその服を着た? なぜここへ来た? 会社へ来るのは、つながるためだ。人生は『人』がすべて。」

職場は働くため、学校は学ぶための場だが、それと同時に人との出会い、人との繋がりを広げる場であると、ハワードは真剣な顔つきでそう説いた。ハワード自身も“繋がり”を常に意識しながら生きてきたことは間違いないだろうし、今こうして広告代理店の共同経営者に就いたのも、そういった“繋がり”の賜物であると言える。このスピーチには彼自身の“人生論”も含まれており、それが観客の人生と結びついていくような、強いメッセージ性を感じ取ることができる。言葉の影響力を改めて実感できる、印象的なシーンだった。また、ハワードはこのように続けた。

「広告は人に伝えることがすべてだ。いかにその商品やサービスが暮らしを豊かにするかを。では、どう伝える? 『愛』と、『時間』と、『死』。この3つが地球上のすべての人をつなげる要素だ。誰もが求めたり避けたいもの、誰もが買ってしまうもの。なぜなら人は常に、愛を渇望し、時間を惜しみ、死を恐れるからだ。『愛』と、『時間』と、『死』。そこから始めよう――」

この場面で語った「愛」「時間」「死」は、本作の最大のテーマとも言える重要な要素であり、この概念が映画の至る所に登場する。希望に満ちたハワードが、目の前の従業員に対して熱心に訴えかけるこのシーンは、彼が最愛の娘を失う前の出来事であり、この頃はまだ「愛」「時間」「死」を、“地球上のすべての人をつなげる要素”だとして高く評価している。

のちに彼は娘の死をきっかけに、「愛」「時間」「死」を全く信用できなくなってしまうのだが、そんな彼もまた、奇妙な出会いや人との繋がり、そして胸に響く言葉によって、ゆっくりとその心を動かされていくのだ。セリフの一つ一つにも耳を傾けながら、じっくりと観ていただきたい作品だ。

人を繋げる三つの概念「愛」「時間」「死」

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http://www.imdb.com/title/tt4682786/mediaviewer/rm2572223488 (C)2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT, LLC

心を病んだハワードの前に、「愛」「時間」「死」と名乗る3人の男女が現れる。それはかつてのスピーチにおいて、地球上のすべての人をつなげる要素だとして、自らが希望を見い出していた重要な概念だった。しかし、我が子を失った彼にとっては、その概念は疾うに信用できないもとなっており、かつての輝かしい希望は既に消え失せていた。

彼の前に現れた、この「愛」「時間」「死」と名乗る3人の男女は、同僚の3人が金で雇った場末の舞台役者であり、ハワードを救うための“ある策略”の一環であることは、ストーリー序盤ですぐに明かされる。本来ならばハワードを救うべくして雇ったこの役者たちは、次第に雇い主でもある同僚の3人にも深く関わる、非常に重要な存在となっていく。

「愛」「時間」「死」というこの抽出的な概念は、本作で扱われる最大のテーマとして描かれており、これからの人生の教訓となるような、人生のヒントが多く隠されている。「愛」「時間」「死」についての考え方が変わるはずだし、人との繋がりをより一層意識するのは間違いないだろう。「愛」「時間」「死」に扮した舞台役者たちと出会い、そして繋がることによって、ハワードも徐々に考え方が変わり、そして心も変化していった。観終えた後にはきっと今までの人生を振り返らずにはいられないだろう。

周りの仲間も悩みを抱える逆説的ストーリー

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我が子を失い悲観に暮れるハワードを、周りの仲間が支え合って人生への再起を遂げる。表面的には正統派のヒューマンストーリーなのだが、実はその仲間たちもそれぞれ私生活にジレンマを抱えており、彼らも期せずしてその苦難を乗り越えていくという、逆説的なストーリー展開に仕上がっている。

ホイットは自らの浮気が原因となり離婚。娘との関係もうまくいかず悩む毎日。まさに親子の愛を渇望していた。クレアは若いころから仕事命の日々を送り、結婚もせずに今も独身。子供が欲しいクレアは人工授精に頼るべきか、人生の岐路に立たされていた。まるで時間を惜しむかのように。そしてホフマンは息子が生まれたばかりにも関わらず、かつて苦しんだ深刻な病を再発してしまう。家族にも打ち明けずに死を恐れていた…。そう、ここにも「愛」「時間」「死」という3つの概念が深く関わってくるのだ。

単にハワードを救うだけの話に留まっていないのが本作の魅力だと感じたし、なによりラストにはあっと驚くサプライズも用意されているので、ぜひ多くの方々に観て頂きたいと思う。悩みを抱えるそんなアナタにオススメの一本が誕生した。

素晴らしきかな、人生:(C)2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT, LLC

Writer

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Hayato Otsuki

1993年5月生まれ、北海道札幌市出身。ライター、編集者。2016年にライター業をスタートし、現在はコラム、映画評などを様々なメディアに寄稿。作り手のメッセージを俯瞰的に読み取ることで、その作品本来の意図を鋭く分析、解説する。執筆媒体は「THE RIVER」「映画board」など。得意分野はアクション、ファンタジー。