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『コロンバス』日本公開決定、小津安二郎にオマージュ捧げる ─ 新進監督が切り取る「建築」と男女の機微

コロンバス
©2016 BY JIN AND CASEY LLC ALL RIGHTS RESERVED

映画界注目の新進監督による、巨匠たちの建築へのラブレター。「建築」をめぐる2人の男女を美しい映像で描き、各国の映画祭で高評価を得ている『コロンバス』が、2020年3月より渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開されることが決定。このたび、ポスタービジュアルと場面写真も到着した。

1920年代に機能主義の建築として成立し、ル・コルビュジエをはじめ、現在も建築デザインに多大な影響を与え続けているモダニズム建築。本作の舞台は、エーロ・サーリネンによるミラー邸(アレキサンダー・ジラルドの内装)やノース・クリスチャン教会をはじめ、巨匠建築家による代表作が建ち並ぶ“モダニズム建築の宝庫”インディアナ州コロンバスだ。

コロンバス
©2016 BY JIN AND CASEY LLC ALL RIGHTS RESERVED

韓国系アメリカ人のジンは、講演ツアー中に倒れた高名な建築学者の父を見舞うためにコロンバスを訪れる。父の容態を見守るため、この街に滞在することになったジンは、地元の図書館で働く、建築に詳しい女性ケイシーに出会う。ジンは父親との確執から建築にも複雑な思いを抱えており、コロンバスに留まることを嫌がる。かたや、ケイシーは薬物依存症の母親の看病を理由にコロンバスに留まる。どこまでも対照的な2人は、出会い、建築をめぐって語ることで、それぞれの新しい人生に向かって歩き出していく。

コロンバス
©2016 BY JIN AND CASEY LLC ALL RIGHTS RESERVED

監督を務めたのは、これまでロベール・ブレッソンやアルフレッド・ヒッチコックのドキュメンタリー作品を撮り、小津安二郎作品に欠かせない脚本家の野田高悟に因んで「コゴナダ」と名乗る新進監督だ。本作が長編デビュー作となり、奥行きを生かした画面の構図や間の取り方など、小津の芸術性を研究し尽くして“映画の教科書”のような構図を実現。一躍注目され、2020年にはコリン・ファレル主演、A24製作の新作『After Yang(原題)』が公開される。すでに本作はサンダンスをはじめ23の映画祭にノミネートされ、8冠を獲得。是枝裕和監督が監督賞に2度輝いたクロトゥルーディス賞では、『君の名前で僕を呼んで』(2017)をおさえ撮影賞を受賞。米Rotten Tomatoesでは97%フレッシュを記録している(2019年11月25日現在)。

コロンバス
©2016 BY JIN AND CASEY LLC ALL RIGHTS RESERVED

主人公ジン役は『スター・トレック』シリーズや『search/サーチ』(2018)のジョン・チョー。ケイシー役には『スプリット』(2016)『スウィート17モンスター』(2016)の若手女優ヘイリー・ルー・リチャードソン。さらに“インディーズ映画の女王”と称されるパーカー・ポージー、マコーレー・カルキンの実弟ロリー・カルキン、ミシェル・フォーブスらが出演。また、“建築が人を癒す効果”を描く本作では、街中にあふれる建築物こそが第二の主人公。ポストロック・バンドのハンモックによる美しい音楽にも注目したい。

『コロンバス』ギャラリー

映画『コロンバス』は2020年3月、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

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THE RIVER編集部THE RIVER

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