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コッポラ監督、マーベル映画を「浅ましい」との批判は「誤解」 ─ 仏メディアの報道に不快感、発言の意図を明かす

フランシス・フォード・コッポラ
Photo by Gerald Geronimo https://www.flickr.com/photos/g155/5980409834/ Remixed by THE RIVER

『ゴッドファーザー』3部作や『地獄の黙示録』(1979)などで知られる巨匠フランシス・フォード・コッポラが、マーベル映画を批判したことについて、自身の発言がフランスの現地メディアによって正しく伝えられなかったとして、発言の真意を明らかにした。

コッポラによる批判は、『タクシードライバー』(1976)などのマーティン・スコセッシが「マーベル作品は映画じゃない」「最も近いのは、良くできたテーマパーク」と発言したことを受けたもの。2019年10月18日(現地時間)、フランス・リヨンでのリュミエール賞授賞式にて、コッポラはスコセッシに同意して、以下のように語ったとされた。このコメントを伝えたのはフランス通信社(AFP)だった。

「マーティン・スコセッシが“マーベル映画は映画(cinema)じゃない”と言ったのは正しいですよ。我々は、映画から何かを学ぶことを期待するからです。何かを得たいと思うし、啓蒙を、知識を、刺激を受けたいと思うから。同じ映画を何度も、繰り返し観ることで、得られるものがあるのかどうかが私には分からない。マーティンが“映画じゃない”と言ったのは親切だったと思いますよ、“浅ましい”とは言わなかったので。私はそのように言いますが。」

特に物議を醸したのは、「浅ましい」「卑劣」を意味する“despicable”という言葉を用いたことだ。これには、マーベル・スタジオを擁するウォルト・ディズニー・カンパニーのボブ・アイガーCEOも正面から反論するに至っている。

コッポラ監督の真意とは

このたび、コッポラは米Deadlineの取材に対し、“自身の発言がマーベル映画を非難するものだと誤解されている”との不快感を示したと伝えられている。「スーパーヒーローについてどのように考えますか?」との問いかけに対し、コッポラは新たなコメントを発しているのだ。

「個人的に“シリーズ”という考え方が好きではないんです。金銭的な利益のため、根本的には同じ映画を作り直し続けるのは、言い換えれば、型にはまった取り組みをするということ。経済的なリスクを減らすためだと解釈されるものでしょう。だけど私は、リスクファクター(危険因子)こそが、ときに映画を素晴らしいものにするのだと思います。型通りの映画はとても多くの財産を生み出す一方で、大胆な企画を減らし、多様性を失わせることになります。

ある意味で、私は映画を食べ物と同じように考えているんです。もちろん、食欲をそそったり、美味しくしたり、楽しめるものにするために何かを加えることはできるけれども、本物の食べ物であることを保証するだけの栄養価がなくてはならないと。」

すなわちコッポラは、マーベル映画そのものではなく、シリーズ映画を多数製作する傾向にあるスタジオの姿勢などを視野に入れていたということだ。シリーズ映画に重きを置くことで、企画や作品の多様性が損なわれてしまうという点に関しては、スコセッシの主張とも概ね一致している。

なおDeadlineでは、以前問題となった、コッポラによるフランスでの発言が全文掲載されている。

──「アメリカン・ニューシネマ」といわれる作品が今では作られていないのはどうしてでしょうか。あなたの言うところの「政治的混乱」の情勢を鑑みてのものでしょうか?

「(映画を作る上で)リスクを取ることが不足しているからでしょう。マーティン・スコセッシが“マーベル映画は映画(cinema)じゃない”と言いましたが、彼は正しい。なぜなら我々は、映画から何かを学ぶことを期待するからです。何かを得たいと思うし、啓蒙を、知識を、刺激を受けたいと思うから。議論の余地はあるけれども、同じ映画を何度も、繰り返し観ることで、得られるものがあるのかが私には分からない。マーベル映画のような作品にね。つまり、そこにはリスクがないんですよ。前にも言ったけれども、リスクのない映画作りなんて、セックスせずに子どもを作るようなもの。リスクが映画を面白くするのだし、だから(映画が)作られた時に多くを学べるんです。

もちろん裕福な人々にも、それが正しいにせよ正しくないにせよ、哲学はあります。そのお話をすることはとても重要ですね。不当に利益を得るということは、ただ使うだけで、貢献しないということ。裕福であることとは、ただ裕福であるだけでなく、さらなるものを社会にもたらすということです。映画も同じです。本物の映画は社会に何かを、素晴らしい贈り物を与えるもの。金を稼ぎ、人々を裕福にするだけではありません。そんなのは浅ましいことです。だから、マーティンが“映画じゃない”と言ったのは親切だったと思いますよ。“浅ましい”とは言わなかったので。私はそのように言いますが。」

ここで論点となるのは、コッポラが問題としている、マーベル映画を含む“シリーズ映画”が、コッポラの定義する「本物の映画」にあたらないかどうかだろう。シリーズ映画は社会に貢献していないのか、「素晴らしい贈り物」を与えていないのか。真意が明確になったことで、一連の議論はさらに深まるはずだ。

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Source: Deadline

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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