Menu
(0)

Search

王道ラブストーリーに飽きたあなたに!カルト的恋愛映画にあえて浸ってみるススメ

筆者は”恋愛映画”が大好きなのだが、少々ひねくれているために『君に読む物語』や『あと1センチの恋』など、キャーキャー言われがちな王道な作品を観るとこんなことを考えてしまう。

「いやいや、こんな自分のこと何年も好きでいてくれて、しかも家まで作ってくれる男の人いないでしょ…てか、こんな美男美女が出会ったらそりゃ付き合うって」
「まずこんなイケメンの幼馴染がいるっておかしくない?それで今まで好きにならないのもおかしくない?」

いや、この王道作品も大好きだし憧れる恋愛なのだが、共感はできないのだ。でも逆に『ブルー・バレンタイン』や『ムード・インディゴ〜うたかたの日々〜』といった美しくも悲恋を描いた作品を観ると、「やっぱり現実って厳しいんだわ…」と悲しくなってしまう。

「こじらせすぎだろ」という突っ込みの声が聞こえてきそうだけれど、でもきっとこの気持ちに共感してくれる方がいるはずなのだ!そしてこれから述べる次の項目に当てはまる方は、今回お話する映画が絶対に好きであると思うのだ。

  • 人と違うところで、”ロマンチック”だと思う
  • どうせなら毒か薬になる恋愛映画が観たい
  • あんまり好きな事を共有しあえる人が少ない
  • 普通の恋愛映画も好きだが、物足りなさを感じる
  • 1度ハマったものはずっと好きでいる
  • 人付き合いが苦手な方だ

みなさんはご覧になったことがあるだろうか。1994年公開の『トゥルー・ロマンス』と2002年公開の『パンチドランク・ラブ』を。どちらも王道ラブストーリーではない、異色な恋模様を描いた作品だ。

『トゥルー・ロマンス』は公開から20年以上、『パンチドランク・ラブ』も10年以上の月日が流れているにも関わらず、両作品とも”カルト的恋愛映画”として話題に出されることが多い。
これらの作品は、なぜ”カルト的人気を誇る恋愛映画”として注目し続けるのだろう?

『トゥルー・ロマンス』

監督トニー・スコット、脚本クエンティン・タランティーノというなんともものすごい作品である。
ゲイリー・オールドマンが安定のキレっぷりをかましてくれたり、若きブラット・ピットのちょい役加減だったり、千葉真一の『激突!殺人拳』が登場したりと、この作品を楽しむ要素があげたらキリがない。

この映画で恋をする2人は、クリスチャン・スレーター演じるクラレンスとパトリシア・アークエット演じるアラバマ。

”びっくり!冴えないボクの前に現れたのは、とびきりキュートなコールガール!翌日に結婚したはいいものの、彼女のポン引きを殺して大逃走!”ざっとまとめると『トゥルー・ロマンス』はこんなストーリーである。

クラレンスとアラバマ、決して2人は精神的に病を抱えているわけでも、とんでもない癖を抱えているわけでもない。しかし、2人が愛を育んでいく道のりは”殺人””獰猛”なんて言葉が溢れたバイオレンスに満ちたものだ。

http://www.imdb.com/title/tt0108399/mediaviewer/rm582554624
http://www.imdb.com/title/tt0108399/mediaviewer/rm582554624

周りの人がバタバタ殺されいく中で「まさか殺したの?なんてロマンチックなの!」とバカップル具合を発揮している2人はやっぱりちょっとイカれている。そしてバイオレンスシーンとロマンチックなシーンのシークエンスが押し寄せるたびに、私たちはすっかりこのマッドな恋愛の虜になってしまう。

冴えない男とコールガール、相容れなそうな2人が本能的に惹かれあい、自分たちだけの世界で愛を深めていく。いろいろ問題を起こしまくりの2人、普通ならば揃って最後には死んでしまいそう。しかしこの『トゥルー・ロマンス』ではは生き残るのだ。最高に痛快なハッピーエンド。きっとクラレンスとアラバマが死んでしまっていたら、この映画はここまで熱狂されなかったに違いない。

『パンチドランク・ラブ』

この『パンチドランク・ラブ』とは、”強烈な一目惚れ”の意味である。そう、この映画ではエミリー・ワトソン演じるリナが、アダム・サンドラー演じるバリーになぜか”強烈な一目惚れ”をするのだ。ちなみに『50回目のファースト・キス』で”タマゴ頭”といじり倒されていたアダム・サンドラーの髪型は『パンチドランク・ラブ』でも見ることができる。

主人公、バリーはなかなかとっつきにくい人物だ。根は悪くないのに感情をコントロールできず、たびたびキレてしまう。人付き合いがとにかく下手なのだ。そんなバリーに、優しく”普通”と思われるリナは恋に落ちる。

バリー役が2枚目俳優だったらまた話は違ったかもしれない。しかし演じているのは”タマゴ頭”でコミカルな役が似合うアダム・サンドラーなのだ。明るい役のイメージが強い彼なだけに、バリーがますます異常な人物に思えてくる。

また『パンチドランク・ラブ』は映像も一風変わっていてかっこいい。途中で不思議な映像が何度か挟まれる。青やピンク、オレンジや黄色など様々な色が入り混じったような、マーブル模様のようなぼやっとした映像。幻想的であり、夢と現実の境目も思い起こさせる。

http://www.imdb.com/title/tt0272338/mediaviewer/rm4185102592
http://www.imdb.com/title/tt0272338/mediaviewer/rm4185102592

主人公たちの服もとても分かりやすい。バリーはずっと青いスーツ、リナはカーディガンもワンピースも赤という出で立ち。リナがバリーに一目惚れするシーンは派手なものではないが、この服の色で「この2人が恋に落ちるんだ」ということはすぐに分かる。

恋愛映画には珍しく感じる映像や構図。これがまた、異色なラブストーリーとして『パンチドランク・ラブ』が取り上げられる理由だろう。

両作品に通じるもの

さて、ストーリーもキャラクターも全く異なるこの両作品だが、共通していることもある。それはクラレンスも、アラバマも、バリーも、リナも、”世間とはなかなか相容れない””お互い理解しあえる人を見つけるのが難しい”というところだ。

http://www.imdb.com/title/tt0108399/mediaviewer/rm689833728
http://www.imdb.com/title/tt0108399/mediaviewer/rm689833728

人はみなそれぞれ違うものであるから、他人同士が完璧に理解しあえることは少ないだろう。また”皆が普通にできていることなのに、自分はできない””社会で生きていかなきゃいけないけど、自分は溶け込み方が分からない”そのような感情を抱くこともあるだろう。”こんな自分を好きになってくれる人は果たしているのか””自分とうまくいく恋人はいるのか”そんな恋の悩みを持つこともあるだろう。

この映画の主人公たちは各々個性抜群な”はぐれ者”。しかし、彼らは”自分にぴったりな人”と出会っているのだ!

現実はそう甘くないだろうし、逃避行もできないだろうし、毎日青いスーツを着ていたらかなり周りから疎まれるだろう。
”真実の愛は見つけにいくもの”だと教えてくれる映画もあるが、実際最初はどこに探しに行けばいいか分からないじゃないか。

でもこの『トゥルー・ロマンス』ではアラバマが映画館に来てくれるし、『パンチドランク・ラブ』ではリナが一目惚れしてくれる。愛が向こうから来てくれるのだ。とてもロマンチックなおとぎ話ではないだろうか。

そして世間とはうまくいかずとも、自分にとって最高な人がいれば強くなれるということを教えてくれるのだ。この” カルト的”ラブストーリーは。

なかなか理想の相手と出会わない悩むあなた、ただのラブストーリーには飽き飽きしてしまっているあなた、”はぐれ者”だと感じることがあるあなた、観たことある方もぜひ『トゥルー・ロマンス』『パンチドランク・ラブ』を観返してみてほしい。甘い狂気に満ちたロマンチックさに、奇妙な元気が出ること間違いなしなのだ。

Eyecatch Image:http://www.imdb.com/title/tt0108399/mediaviewer/rm2753802240

Writer

アバター画像
Moeka Kotaki

フリーライター(1995生まれ/マグル)

Tags

Ranking

Daily

Weekly

Monthly