スパイク・リー最新作『ザ・ファイブ・ブラッズ』予告編 ─ 『ブラックパンサー』チャドウィック・ボーズマン出演、ベトナム戦争の埋蔵金を捜せ

『ブラックパンサー』(2018)のチャドウィック・ボーズマン出演、『ブラック・クランズマン』(2018)スパイク・リー監督による新作映画『ザ・ファイブ・ブラッズ』の予告編が公開された。
物語の主人公は、かつてベトナム戦争に従軍したアフリカ系アメリカ人の退役軍人たち。ポール(デルロイ・リンドー)、オティス(クラーク・ピータース)、エディ(ノーム・ルイス)、メルヴィン(イザイア・ウィットロック・Jr.)は、終戦から40年以上が経った今、ふたたびベトナムに戻ってきた。目的は、戦死した部隊長ノーマン(チャドウィック・ボーズマン)と、現地のどこかに埋まっている宝を探すこと。ポールを心配する息子(ジョナサン・メジャース)も加わって、ベトナムで人々や自然の猛威にさらされる中、彼らは決して消えないベトナム戦争の爪痕を見つめることになる。
公開された予告編では、ベトナム戦争の苛烈な最前線で戦う、チャドウィック演じるノーマンら兵士たちの姿や、それから年月が流れ、年老いた姿で談笑する“元兵士たち”の様子、戦場で受けた傷や長年にわたる葛藤を吐露する場面などが、さまざまな映像のトーンと色彩をもって描かれている。とりわけ、ベトナム戦争当時のシーンは画面比率4:3、映像の質感も粗い仕上がりとなっているという区別のしかたは明快だろう。現代と過去、現在と歴史のあいだに物語と映像を通じて橋を架ける手法は、『ブラック・クランズマン』などでもリー監督が用いてきたもの。さて、今回はどのような狙いがあるのか。

映像の冒頭から目立つのは、フランシス・フォード・コッポラ監督による傑作戦争映画『地獄の黙示録』(1979)へのオマージュだ。もはやタイトルそのものを映し出すことさえしているが、米Vanity Fairにて、リー監督は「私は自分の映画で、常に愛する映画へのオマージュを捧げてきた」と述べ、『地獄の黙示録』が大好きな映画であること、その事実を明らかにしておきたかったとの意志を語っている。ちなみに、もうひとつ大きな影響を与えているのは、1948年の西部劇映画『黄金』なのだとか。
出演者はチャドウィックのほか、『マルコムX』(1992)や『クルックリン』(1994)『クロッカーズ』(1995)でリー監督とタッグを組んできたデルロイ・リンドー、『レオン』(1994)のジャン・レノ、『リチャード・ジュエル』(2019)のポール・ウォルター・ハウザー、『囚われた国家』のジョナサン・メジャースら。脚本は『トランサーズ/未来警察2300』(1984)のポール・デ・メオ&ダニー・ビルソンによる草稿を基に、リー監督と『ブラック・クランズマン』のケヴィン・ウィルモットらが執筆した。
Netflixオリジナル映画『ザ・ファイブ・ブラッズ』は、2020年6月12日より全世界独占配信。
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Source: Vanity Fair