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ギレルモ・デル・トロ版『ピノキオ』は「家族向けではない」 ― 政治と寓話の関係性を語る

ギレルモ・デル・トロ
Photo by GuillemMedina https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Guillermo_del_Toro,_Festival_de_Sitges_2017.jpg

映画『パシフィック・リム』(2013)や『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)を手がけたギレルモ・デル・トロが、監督を務めるアニメ映画『ピノキオ(邦題未定、原題:Pinocchio)』について語った。米The Hollywood Reporterが報じている。

ギレルモ版『ピノキオ』は政治映画

本作は、ディズニーによるアニメ映画『ピノキオ』(1940)のリメイクではなく、カルロ・コッローディによる児童文学作品「ピノッキオの冒険」を翻案するもの。1930年代、ムッソリーニ政権下でファシズムの台頭するイタリアを舞台とする、ストップモーション・アニメのミュージカル作品になるという。

ギレルモ監督が本作にストップモーションを採用した理由は、俳優よりも「より表情豊か」だからとのこと。政治映画になるのかと問われたギレルモ監督は、「家族向けのピノキオではない」と語った上で「もちろんそうなります。ムッソリーニ台頭期のピノキオですよ、考えてみて。ファシズム台頭期の操り人形なんです。政治映画ですね」とコメント。『シンデレラ』や『白雪姫』といった寓話がジェンダーや社会階級の問題を扱っていること、そして自身の作品『シェイプ・オブ・ウォーター』を引き合いに出しながら以下のように語った。

政治を抜きにした寓話は存在しないんです。今は堅苦しく張り詰めすぎていて、現実に生産性あるディスカッションをすることがほとんどできません。『むかしむかし……』と語り始めたほうが聞いてもらいやすいんですよね。」

またギレルモ監督は、実世界の政治に関してもコメントを残している。メキシコ出身のギレルモ監督は、アメリカとメキシコの国境で移民がガスを浴びている写真を見て「胸が張り裂ける思い」だったと告白。「(現在の分裂を促す政治は)本に書いてある最も古い政治的策略ですよ」と批判した。続けて「憎しみは支配するために非常に有用な道具です。少しでも歴史のことを知っていれば、憎しみが毎世紀ごとにうまく利用されていたことをご存知でしょう」と語っている。そもそも社会の構造がはらんでいる問題を、社会の非主流派グループのせいにする“他者化”は、『シェイプ・オブ・ウォーター』に続いて『ピノキオ』でも主なテーマになっているという。

なお、ピノキオについてフランケンシュタインと比較して、「彼は父親によって自然に反し作られた生き物です。そして、彼は父親と距離を置くようになり、失敗や痛み、孤独について学んでいきます」と述べている。

「作らない方が怖い」

『ピノキオ』でギレルモ監督はNetflixとのコラボレーションに取り組む。その経緯について、監督は「ハリウッドの全スタジオに行きましたが、断られました。なので、誰でも“はい”と言ってくれる人と作るんです」と述べ、その「“はい”と言ってくれた人物」こそがNetflix最高経営責任者のリード・ヘイスティングスだと明かした。ギレルモ監督は、作品が劇場公開されないことよりも「作らない方が怖い」として、現在の映画業界についてこう語っている。

「サメみたいな業界ですよ。50マイルも先から、まるで一滴の血みたいにお金の匂いを嗅ぎつけて『ダンダンダーン』とやってくる。向かう先へと進んでいくんです。私自身はサメではありません。ただ海で良い時間を過ごしている金魚ですね。」

『ピノキオ』でギレルモは脚本・監督・製作を兼任。共同脚本は「アドベンチャー・タイム」(2010-2018)に携わり、「オーバー・ザ・ガーデンウォール」(2014)を手がけたパトリック・マクヘイルが執筆。共同監督は、ウェス・アンダーソン監督作品『ファンタスティック Mr.FOX』(2009)でアニメーション・ディレクターを担当したマーク・グスタフソンが務める。

ストップモーション・アニメーションを製作するのは、「マペット放送局」(1996-1998)などで知られるジム・ヘンソン・カンパニーと、Netflixの人気アニメシリーズ「ボージャック・ホースマン」(2014-)のShadowMachine。パペットの造形は『ティム・バートンのコープスブライド』(2005)の英MacKinnon & Saundersが担当する。

ギレルモ・デル・トロ監督によるアニメ映画『ピノキオ(邦題未定、原題:Pinocchio)』は2018年秋の製作開始

Source: The Hollywood Reporter

Writer

Marika Hiraoka
Marika Hiraoka

THE RIVER編集部。アメリカのあちこちに住んでいました。

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