Menu
(0)

Search

『ブレードランナー2049』ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、デヴィッド・リンチの怪作『デューン/砂の惑星』リブートに挑む

1982年公開、伝説のサイバーパンク映画『ブレードランナー』。その続編『ブレードランナー2049』で、巨匠リドリー・スコット監督の後継者に抜擢されたのがドゥニ・ヴィルヌーヴ監督だ。『複製された男』『ボーダーライン』が高く評価され、新作『メッセージ』(2017年5月公開)はエイリアンが地球にやってくるという(表面上は)直球のSF大作で、すでに前評判は上々という、現在ピカイチの新鋭である。

そんなヴィルヌーヴ監督が、リドリー・スコットにつづき、再び映画史に残る巨匠の作品を手がけることになった。彼が次に挑むのは、数多くの名作と怪作を世に放ってきた鬼才、デヴィッド・リンチ。しかもそのフィルモグラフィーでも“いわく付き”である『デューン/砂の惑星』(1984年)のリブートである。

映画『デューン/砂の惑星』は、もともとフランク・ハーバートの小説『デューン』シリーズを原作としている。すなわちヴィルヌーヴ監督が手がけるのは、リンチが撮った映画のリメイク/リブートではなく、この原作小説の再映画化ということだ。製作を担当するのはレジェンダリー・ピクチャーズで、同社は小説『デューン』の映画化権およびテレビドラマ化権を取得しているという。なお、ヴィルヌーヴがテレビドラマ版にも関与するかどうかは不明だ。

「マンダロリアン シーズン3」「アソーカ」解説

しかしこの『デューン』には、なんとも恐ろしい前例がある。

かつてリンチが『デューン/砂の惑星』を監督する以前、小説『デューン』の映画化に着手していたのは、『エル・トポ』などを手がけた“カルトの帝王”アレハンドロ・ホドロフスキーだった。豪華キャスト・スタッフを結集して1975年に製作が始動したものの、製作は難航し、ホドロフスキーの降板によって企画は頓挫している。その顛末を追ったドキュメンタリー映画が、『ホドロフスキーのDUNE』(2013年)だ。

つまり、ホドロフスキーの挑戦が失敗に終わった約10年後にリンチが監督した作品が『デューン/砂の惑星』なのである。“リンチ節”ともいうべき演出にはファンも多い映画だが、この作品では監督に最終決定権がなかったようで、劇場公開されたものはリンチ本人が納得していない編集だという。のちにテレビ用に再編集されたバージョンでは、劇場公開版でカットされたシーンも復活しているが、やはりリンチは納得しなかったのだろう、監督はアラン・スミシーという架空の名義となっている。

いわば『デューン』の映画化には、ホドロフスキーとリンチという二人の巨匠監督が挑戦しながら、ともに志半ばで仕事を終えているのだ。三人目に選ばれたヴィルヌーヴ監督は、無事に映画を完成に導くことができるのか? 続報を楽しみにしよう。

source: http://variety.com/2016/film/news/denis-villeneuve-dune-reboot-legendary-pictures-1201929280/
Eyecatch Image: http://theredlist.com/wiki-2-20-777-781-view-1980-1990-profile-1984-bdune-b.html

Writer

アバター画像
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

Ranking

Daily

Weekly

Monthly