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ジョニー・デップ、自身を「MeToo運動の衝突実験ダミー人形」と振り返る ─ 泥沼裁判、「たとえガソスタで働くことになってもいい」

ジョニー・デップ
Harald Krichel https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Johnny_Depp-2757.jpg Remixed by THE RIVER

ジョニー・デップは、元妻アンバー・ハードとの約6年にわたる泥沼裁判を経て、ハリウッドで築いたキャリアに傷を負った。現在、映画業界での仕事を再開しているデップは米The Timesにて裁判を振り返り、自身を#MeToo運動における「衝突実験のダミー人形」と呼んだ。

2016年、デップは元妻ハードから家庭内暴力を告発され、翌年には離婚が成立。自身を「Wife Beater(妻を虐待する者)」と表現した英The Sunに対して名誉毀損裁判を起こすが、「実質的に事実」として敗訴。ワーナー・ブラザース『ファンタスティック・ビースト』シリーズや、ディズニー『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズから降板することとなった。

一方、アンバーがデップから性的暴力を受けていたと論じた米Washington Postへの寄稿記事に対する裁判ではデップ側が勝訴。ハードは控訴を取り下げ、和解金と共に決着した。

後者では、裁判の進行がYouTube、TikTok、Twitter(現X)などのSNSを通じて即座に拡散され、“裁判ショー”化した。裁判では、通常では語られることのないデップの極めてプライベートな部分を晒しながら戦うことに。大きなリスクに挑んだことについて、デップはこの度「もう十分、行き過ぎだと思った」ためだと米The Timesに告発。当時の胸の内を、次のように明かした。

「自分を半壊させなければならないと思った。みんなは“そのうち消えるよ!”と言っていたけど、そんなの信用できなかった。消えるって、何が?あのフィクションが世界中にバラ撒かれたままで?そんなわけにはいかない。

真実を伝えなければ、まるで本当に僕がやったみたいになる。子どもたちにも抱えさせてしまう。子どもたちです。僕が病院で出会った子どもたちです。だから、ヴァージニアでの裁判の前夜、緊張なんかしなかった。セリフを覚える必要もなく、本当のことを話すだけなら、サイを投げるだけです。」

誹謗中傷も受け、衆目にさらされながらの裁判について「簡単にはいかないとはわかっていました」とデップ。「でも、とことん最後まで戦ってやると思った。たとえガソリンスタンドで働くことになっても?それでいい。前にもやったことがあるし」との覚悟だった。デップは俳優になる以前、ガソリンスタンドでの勤務のほか、車の整備士や、ペンを売る電話営業の仕事をしていたことがある。

裁判では、業界の人々に裏切られるような場面に直面し、傷つくことがあったという。「嘘をつき、裏では恐ろしいことを言いながら、表では祝福を言って金だけ取っていくフェイクのクソ野郎ども」を見るのは辛かったと語るデップは、「僕を裏切った連中は、思い当たるのが3人いる。そいつらは子どものパーティーにも来て、子どもを持ち上げて遊んでいたような奴らですよ」「僕は吸収して全てを受け入れた。この業界であった何百人もの人たちの中から、誰が安全策を取っていたのかを見極めたかったんです」と暴露した。

さらにデップは、「立ち上がることができなかった人たちのことも理解できる。そういう人たちにとって一番怖いのは、正しい決断をすることです。僕の件は#MeToo運動より前でした。僕は#MeToo運動の衝突実験ダミー人形のようなものでした。ハーヴェイ・ワインスタンよりも前のことでした」とも持論を述べた。

重鎮映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタンに対するセクシャル・ハラスメントを告発する記事が発表されたのは、2017年5月のこと。その後、「#MeToo」運動が加速し、数々の沈黙が破られた。ハードがデップからの家庭内暴力を最初に告発したのは、これに先駆ける2016年の出来事だ。

デップはハードとの裁判決着後、『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』(2023)で映画復帰。2024年の『Modi: Three Days on the Wing of Madness(原題)』では監督・製作を務めた。2026年公開の新作『デイ・ドリンカー(原題)』がハリウッド作品復帰の機会となる。目下、『パイレーツ・オブ・カリビアン』への復帰でディズニーと再び手を組むかどうかが注目されている。

監督作『Modi』主演のリッカルド・スカマルチョは、「ハリウッドはジョニー・デップを必要としていますよ」と称えている。「最終的には今回の物事の裏に、どれだけの苦しみがあったことか、想像できますか?世界中から攻撃されているような心地の時に、どうしてですか?本当は良い人なのに。彼は僕の人生で一緒に仕事をした人たちの中で、イチバン素敵で、イチバン親切で、イチバン優しい人ですよ」。

Source:The Times

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から企画制作・執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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