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ピーター・ディンクレイジ、ディズニーの『白雪姫』リメイクに「理解ができない」と戸惑い ─ ディズニー側、小人の描写に関して声明

ピーター・ディンクレイジ Peter Dinklage
Photo by Gage Skidmore https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Peter_Dinklage_(9350854390).jpg

「白雪姫」の実写映画が新たに米ウォルト・ディズニー・カンパニーで製作されることについて、「ゲーム・オブ・スローンズ」(2011-2019)のティリオン・ラニスター役で知られるピーター・ディンクレイジが疑問を呈した。小人症と共に生きてきたディンクレイジは、「白雪姫」で描かれる小人たちのストーリーについて、「時代と逆行した物語」だと述べている。

ディズニーが製作する「白雪姫」の実写映画『Snow White(原題)』は、『ウエスト・サイド・ストーリー』(2022年2月公開予定)のレイチェル・ゼグラーを白雪姫役、『ワンダーウーマン』シリーズのガル・ガドットを邪悪な女王役に起用して企画が進行中。概ね原作の物語に沿うことが見立てられているものの、これまで何度も映像化されてきた物語がいかにして蘇るのかは定かでない。

この「白雪姫」の現代リメイク企画に米ポッドキャストWTF with Mark Maronを通して否定的な声を上げたのが、ピーター・ディンクレイジだ。本企画に関与していないディンクレイジは、発言の前に「誰かを攻撃しようとするものではない」と慎重になりながら、主に白雪姫と小人たちの物語を映像化することに対して抱いた戸惑いを語っている。

「ラテン系の女優さんが白雪姫を演じることを誇る声が上がったことには、少しばかり驚いてしまいました。僕自身は、“まだ『白雪姫と七人の小人たち』を伝えようとしているのか”って感じで。一歩引いてみて、何をやっているのかを考えてほしい。僕には全く理解ができない。

言わずとしれた名作として知られる『白雪姫』は、グリム童話の1篇として1812年に誕生。邪悪な魔女が支配する城を出て森へと迷い込んだ美しい白雪姫は、森の奥に住んでいた7人の小人たちの小屋に匿われ、生活を共にする。その後に起こる白雪姫の劇的なラブストーリーを描いた本作は、1937年のディズニーアニメをはじめとしてこれまで何度も映像化されてきた。2012年には『白雪姫と鏡の女王』と『スノーホワイト』、2つの実写映画が製作されている。

童話の小人たちには名前や性格の設定は与えられていないが、最も有名なディズニーのアニメーション作品『白雪姫』では「おこりんぼ」や「ごきげん」、「ねぼすけ」というように性格にちなんだ名前がつけられ、昼間に鉱石を掘りに行く仕事の様子も寓話的に描かれた。さらに、小人たちが子ども扱いをされる描写も登場し、このようなストーリーテリングはステレオタイプを助長すると指摘されかねない。こうしたことを踏まえてだろう、ディンクレイジは次のようにも話している。

ある意味では進歩的なのに、7人の小人たちが洞窟に住んでいるみたいな時代と逆行した物語を今も作っているなんて、何をしているんだと思ってしまう。僕がこれまでに上げてきた声は、十分な大きさではなかったのか?もしかするとそうなのかもしれない。どこのスタジオが作っているのか分からないですが、とても誇らしげでしたよね。俳優の方や正しいことをしようとしている全ての人には敬意を払いたい。でも僕自身は、何をしているのやら、と思ってしまうんです。」

発言から察するに、ディンクレイジはディズニーが製作を務めていることを把握していないらしいが、これを受けてディズニー側が米The Hollywood Reporterに声明を発表。ディンクレイジが指摘した七人の小人に対する返答がメインとなっている。

「オリジナルのアニメ映画からのステレオタイプを固めてしまうことを避けるために、我々は小人症コミュニティの方々との相談を重ねながら、7人のキャラクターに対して異なるアプローチを取っております。映画が製作に入った段階で、より多くのことを共有していく所存です。」

ディズニーによる新たな『白雪姫』の物語は謎に包まれており、小人たちがどのように描かれるのかは不明。本企画については、ディンクレイジが言及したように、白雪姫役にラテン系の俳優レイチェル・ゼグラーが起用されたことが多様性を意識した配役として第一報時より関心を集めてきた。ちなみに『白雪姫』に限らず、現在進行中の『リトル・マーメイド』の実写リメイク映画企画でも人魚姫のアリエル役に黒人俳優が起用されており、オリジナルから人種設定を変えたディズニーの配役は注目されてきた。

これを踏まえた上で再度ディンクレイジの主張に目を向けてみると、物語自体の見直しではなく、ポリティカル・コレクトネスが見え隠れする創作活動に積極的なディズニーの痛いところを突いているようにも思える。ともあれ、今回のディンクレイジによる発言は世界各国の大手メディアも報じており、本企画の続報が待たれるところ。

Source: WTF with Mark Maron,THR

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SawadyYOSHINORI SAWADA

THE RIVER編集部。宇宙、アウトドア、ダンスと多趣味ですが、一番はやはり映画。 "Old is New"という言葉の表すような新鮮且つ謙虚な姿勢を心構えに物書きをしています。 宜しくお願い致します。ご連絡はsawada@riverch.jpまで。