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ディズニーの21世紀フォックス事業買収、米司法省が承認 ― コムキャスト劣勢、しかし条件再提示の可能性あり

ディズニー

米ウォルト・ディズニー・カンパニーによる21世紀フォックス社の事業買収が、2018年6月27日(現地時間)、米司法省から反トラスト法に関する承認を得たことがわかった。米国の複数のメディアが報じている。

2017年12月、ディズニーと21世紀フォックスは、映画事業(20世紀フォックス)やテレビ事業(FOX ネットワークス)など複数事業の統合に事業買収額524億ドルで合意したことを発表。しかし2018年6月14日、米国の大手通信会社コムキャストは、ディズニーの買収額を上回る650億ドル、しかも全額現金での事業買収をフォックス側に再提案。これを受けて6月20日、ディズニーは新たに713億ドルを提示してフォックスとの再合意に至っていた。

「札束で殴り合っている」と形容するのがふさわしいディズニーとコムキャストの争いは、司法省による承認を受けたことで、ディズニーが有利な状況となった。ただし承認に際して、ディズニーは買収を予定していた、フォックスの有するローカルのスポーツ・チャンネル22局を手放すことで合意している。すでにディズニーは大手スポーツ・チャンネル「ESPN」を有しているため、ここにローカルのチャンネル22局が加わると、米国におけるスポーツ・チャンネルの競争維持に問題が生ずるとみられたのだ。

しかしながらディズニーの目的は、2019年に開始される自社の映像配信サービスのコンテンツ拡充や、「スター・ウォーズ」「マーベル」ブランドに関する作品やキャラクターの権利獲得が大きい。スポーツ・チャンネル22局を手放すことにはなるが――映像配信サービスのコンテンツが一部減ってしまう可能性も否めないとはいえ――当初の目的は十分に達されるだろう。

なお司法省とディズニーの合意については、これから連邦裁判所による承認を受けなければならない。ただし米Variety誌が「形式上のもの」と記しているように、今回の合意はおおむね問題なく承認される見通しだ。

ところで司法省の承認によって劣勢となったコムキャストだが、フォックス側に条件を再提示するべく動いているともいわれている。専門家によれば、再提示が行われた場合、新たな買収額は900億ドルにも達するそうだ。ひとまずディズニーが歩みを進めたことは間違いないものの、まだまだ形勢がひっくり返る可能性はあるということか……。

Sources: Variety, Deadline

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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