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【ネタバレなしレビュー】MCUの可能性を無限に広げる新路線!IMAX3Dで観た『ドクター・ストレンジ』の魅力

マーベルシネマティックユニバース14作目の最新作『ドクター・ストレンジ』の公開がアメリカを中心に始まりました。日本での公開は1月まで待たなければなりませんが、11月4日に東京と大阪で日本最速試写会が行われ、続々と大絶賛のレビューが届いています。じつは筆者も連休を利用して香港を旅行した際、香港国際空港のUA IMAXで『ドクター・ストレンジ』を鑑賞してきました。

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というわけで日本公開前の『ドクター・ストレンジ』がいかに素晴らしい傑作であるかを、本作のマーベルシネマティックユニバースにおける立ち位置を念頭に、ネタバレ一切なしでご紹介したいと思います!具体的な内容には踏み込みません。この記事を読めば『ドクター・ストレンジ』がますます楽しみになること確実です!

ドクター・ストレンジとは?

http://ciatr.jp/topics/41170
http://ciatr.jp/topics/41170

ドクター・ストレンジはマーベルコミックの世界でも屈指の頭脳と戦闘能力を持つ魔術師です。

ドクター・ストレンジことスティーブン・ストレンジは、元々は天才的な技能を有する、傲慢でプライドの高いカリスマ外科医でした。しかし不幸にも交通事故で両手が不自由になってしまい、外科医としての道を断たれてしまいます。失意のどん底にあった彼は、チベットでどんな怪我でも治せる奇跡が起きるというウワサを聞きつけ、一路ネパールへと旅立ちます。そして、そこで出会った長寿の魔術師エンシェント・ワンに導かれて修行を積み、最強の魔術師へと成長していく…というのがコミックでのオリジンです。

映画『ドクター・ストレンジ』の基本設定も既に公開されている予告編からも推察できる通り、コミックに忠実です。天才ドクターとしての過去、不幸な事故と絶望、転機となるエンシェント・ワンとの出会いなど、重要なポイントは全て抑えてあり、大胆な変更はありません。

『ドクター・ストレンジ』登場キャラクターをちょっとだけ紹介!

魔術の世界を描く『ドクター・ストレンジ』には多彩な特徴を持つキャラクターが登場します。本作の魅力を語る前に、軽く各キャラクターの名前と設定について触れておきたいと思います!

ドクター・ストレンジ/スティーブン・ストレンジ

http://www.cosmicbooknews.com/content/new-doctor-strange-character-posters-bend-reality
http://www.cosmicbooknews.com/content/new-doctor-strange-character-posters-bend-reality

詳しくは先ほど説明した通りです。天才外科医として名を馳せながら、交通事故で手が不自由になったことを機に、最強魔術師への道を歩み始めた後のスーパーヒーロー。傲慢ではありますが、医者=”ドクター”という仕事によって人の命を救うことに強く誇りをもっています。演じるのはベネディクト・カンバーバッチ。

クリスティーヌ・パーマー

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https://www.comicbookmovie.com/doctor_strange/new-doctor-strange-stills-and-character-posters-explore-the-a145473

ストレンジの同僚にして恋人。ストレンジとは音楽の趣味が合うようです。交通事故で手が使えなくなり、失意のどん底に落ちるストレンジを助けようと献身的に寄り添いますが…。演じるのはレイチェル・マクアダムズ。

エンシェント・ワン

http://screenrant.com/doctor-strange-tilda-swinton-interview/
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カトマンズの山奥で魔術集団を率いる謎の女性。多くの弟子を抱え、太古から伝えられる魔法や秘儀を教えるメンター的存在です。未熟なストレンジを熱心に正しい方向へ導こうとします。演じるのはティルダ・スウィントン。原作コミックでは中国人男性だったこのキャラクターにケルト人女性をキャスティングしたことは人種的問題で議論になりました。モーガン・フリーマンや渡辺謙もエンシェント・ワンの候補になっていたようです。

バロン・モルド

http://screenrant.com/doctor-strange-tilda-swinton-interview/
http://screenrant.com/doctor-strange-tilda-swinton-interview/

エンシェント・ワンに師事する魔術師のひとり。師匠と共にストレンジを教え導きます。原作コミックでも重要なキャラクターとして登場しています。演じるのはキウェテル・イジョフォー。

ウォン

http://screenrant.com/doctor-strange-wong-modernized-racism/
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エンシェント・ワンに師事する魔術師のひとり。たくさんの魔術書を蔵する図書館を護っています。演じるのはベネディクト・ウォン。

カエシリウス

http://www.comingsoon.net/movies/news/770937-more-doctor-strange-character-posters-with-mordo-the-ancient-one-and-kaecilius#/slide/1
http://www.comingsoon.net/movies/news/770937-more-doctor-strange-character-posters-with-mordo-the-ancient-one-and-kaecilius#/slide/1

本作のメインヴィラン。かつてはモルドたちと一緒にエンシェント・ワンの教えを受けていましたが、あるときから考えを変えて彼女に反抗、世界の安定を脅かす計画を企んでいます。かなり高い戦闘能力の持ち主です。演じるのはマッツ・ミケルセン。

マーベルシネマティックユニバースにドクター・ストレンジが存在するということ

『ドクター・ストレンジ』の公開が決まった当初から少なからず挙げられてきたのが、「ドクター・ストレンジはマーベルシネマティックユニバースに馴染むのか?」という疑問です。

マーベルシネマティックユニバースにとって「現実と地続きの世界にヒーローがいる」世界観は欠かせない魅力の一つであり、シリーズの根幹にある哲学です。詳しくはマーベル、DC、X-MENのヒーロー像を比較した記事に書きましたが、『アイアンマン』の登場に始まる一連のシリーズ作品はあくまでリアルな設定にこだわってきました。

北欧神話をベースにした一見荒唐無稽なソーでさえ、ファンタジーとSFを融合させて「我々が神様だと信じていたのは高度に発達した技術を持つ宇宙人だった」という設定をベースにすることで難しいバランスを見事に保っています。全編宇宙が舞台の『ガーティアンズ・オブ・ギャラクシー』で風向きは少し変わりましたが、これまた往年のポップミュージックをストーリーに練り込むなどの徹底した工夫で世界観の断絶、矛盾を防いでいます。

実は、こうしたシリーズ13作の蓄積によって「ドクター・ストレンジはマーベルシネマティックユニバースに馴染むのか?」という疑問は驚くほど華麗にクリアされているのです。『アイアンマン』や『インクレディブル・ハルク』で提示された世界は作品を追うごとに、自然な形でファンタジーの許容範囲を広げていると言えます。『ドクター・ストレンジ』はその過程にある、新たなターニングポイントです。

もちろん本作自体にも様々な工夫が散りばめられており、特に冒頭で描かれるストレンジの日常は秀逸です。ストレンジのキャラクターはNY中心街の高級コンドミニアムに住み、上品な光沢のスーツと高級腕時計でオシャレに決め、スポーツカーを乗り回す成金ドクター…といった具合に、ファンタジックなデフォルメが施されています。このあと登場する魔術世界へのスムーズな誘導線として、とても大事な役割を果たしていると言えるでしょう。

新しいアプローチで描くヒーローオリジン

ドクター・ストレンジがいかにしてヒーローになっていくのか、という問題は映画の内容に直接変わってきてしまうので、公開前の本記事では詳しく触れません。しかし、ひとつその素晴らしさを形容する言葉を選ぶとすれば、それは「新しいアプローチ」だということです。

これまでマーベルシネマッティックユニバースはヒーローとしてのオリジンにほぼ必ずといっていいほどヴィランのオリジンを絡めてきました。すなわち、ヒーローの「if」として、その対偶にヴィランを設定していたのです。『マイティ・ソー』のロキは特に顕著な例です。オーディンの愛を素直に受け止めたのがソー、逆にまっすぐ受け取れずグレてしまったのがロキ、といった具合で、父の存在を軸に両者は正反対の描き方をされています。

そして彼らはみんな運命に導かれ、ほとんど使命を受けたようにヒーローになった印象を受けます。なるべくして英雄になるのです。キャプテン・アメリカのシンデレラストーリーはその代表でしょう。

過度な一般化も禁物ですが、このようにしてマーベルシネマティックユニバースのヒーローたちは一定の方に従った誕生の描かれ方をしています。この流れ自体に問題はないのですが、シリーズも14作目にしてそろそろ手を加えたかったのでしょう、これまでとは少し異なるアプローチでドクター・ストレンジのオリジンは描かれています。表面的な印象だけでは判断しづらい程度の差異なのですが、細かく見ていくと大変興味深い構成になっています。ご覧になった際はぜひ検証してみてください。

度肝を抜かれる映像表現と切れ味抜群の魔法アクション

予告編にも挿入されていたように、『ドクター・ストレンジ』の映像表現は極めて斬新です。エンシェント・ワンにどつかれて幽体離脱するストレンジやインセプションのように地面と空が反転したNYの街並みは印象的だったと思います。あの表現が気に入ったという人は大いに期待してください!観客の予想を超える革新的でドラッギーなイマジネーションの波があなたをマヒ状態に陥れることでしょう。細かい解説は先日の日本最速試写会のレビューに任せますが、とにかく素晴らしいアイデアの宝庫だということは断言しておきます。ホラー映画を得意とするスコット・デリクソン監督の起用が見事としか言いようがありません。

また魔術を駆使したアクションシーンも必見です。魔術だからといって棒立ちのまま腕だけで戦ったりはしません。人外の身体能力を発揮して激しく動き回りながら魔法を使います。『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』以降、コミックらしくも現実に即した新感覚の殺陣がマーベルシネマティックユニバースの醍醐味となってしますが、今回もそれは健在です。というよりもさらにパワーアップしています。鑑賞後は魔術ごっこがしたくなること請け合いでしょう。

 

いかがだったでしょうか。具体的な内容には踏み込めないので、あくまでこの作品がマーベルシネマティックユニバースの中でどのような立ち位置にあるのか、ということを念頭に本作の魅力を紹介しました。どれだけお伝えできたかはわかりませんが、ひとりでも多くのファンが映画館に詰め掛けて、日本でもドクター・ストレンジ旋風が起きることを切に願っています!

Eyecatch Image:http://www.joblo.com/movies/database/2016/doctor-strange/images/356474

Writer

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トガワ イッペー

和洋様々なジャンルの映画を鑑賞しています。とくにMCUやDCEUなどアメコミ映画が大好き。ライター名は「ウルトラQ」のキャラクターからとりました。「ウルトラQ」は万城目君だけじゃないんです。

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