グザヴィエ・ドランが監督復帰、1880年代フランス舞台のホラー映画で

『Mommy/マミー』(2014)『たかが世界の終わり』(2016)などでメガホンを取ったカリスマ的な俳優・映画監督グザヴィエ・ドランが、映画製作に復帰するようだ。ドラン本人が映画Podcast番組「Sans Filtre」出演時に、新作を執筆している旨を明かしている。
米Deadlineが伝えるところによるとドランは番組内で「パンデミック前から書いていたもので、もう一度向き合っているんです。ジャンル映画で、ホラー映画で、1880年代のフランスを舞台にしたものです」と語っている。幼少期より母国カナダにて映画やテレビ番組に出演していたドランは、19歳にして『マイ・マザー』(2009)で初監督を務め、主演と脚本家も兼ねた。以降、『胸騒ぎの恋人』(2010)『わたしはロランス』(2012)『トム・アット・ザ・ファーム』(2013)など果敢に映画を製作。同性への恋心、母親との確執など実体験を反映したと思われる繊細かつ濃密な描写で、世界中のファンの心をつかんだ。
自身初のドラマ作品となる「ロリエ・ゴドローと、あの夜のこと」など新たな領域への挑戦も続けていたが、2023年に突如、映画製作から引退の意向を発表したドラン。『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』(2018)『マティアス&マキシム』(2019)の評価が思わしくなく、さらに「ロリエ・ゴドローと、あの夜のこと」製作時に自分の給与をつぎ込み、父親に資金を借りるほど心血を注いだにも関わらず、こちらも振るわず、気力も体力も奪われてしまったと吐露している。
パーソナルな体験を映画製作のベースにしていたドランが、ホラー映画で復帰というのは意外なようにも思えるが、これまでのフィルモグラフィと大きく重なるものとなるようだ。
「自分の人生とはかけ離れているような気がしていたのですが、読み返してみると、失敗への恐怖、拒絶されることへの恐怖、誤解されることへの恐怖、創作の難しさについての映画だと気づきました。自分に訴えかける期間を経て、自分に訴えかける形で、だけど全く異なる計画で、無意識のうちに私は同じテーマに戻ってきたんです。自分にとって大事なテーマだけど、ホラーというジャンルで、自分自身を超えて、学んで、成長できると思います。」
引退表明時には「アートは役に立たないし、映画に自分を捧げることは時間の無駄だ」と絶望をも露わにしていたドランだが、傑出した才能をまた世界に広げてくれるなら喜ばしい限りだ。一度燃え尽きてしまった時の悔しさや悲しみも、新たな創作の糧となるのだろう。
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Source:Deadline