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『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』特別映像、構想30年悲願の完成 ─ 撮影中止の悲劇『ロスト・イン・ラ・マンチャ』と繋がる予告編

テリー・ギリアムのドン・キホーテ
© 2017 Tornasol Films, Carisco Producciones AIE, Kinology, Entre Chien et Loup, Ukbar Filmes, El Hombre Que Mató a Don Quijote A.I.E., Tornasol SLU

構想30年、企画頓挫9回。“映画史上最も呪われた企画”こと、鬼才監督テリー・ギリアム悲願の新作『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』の特別版予告編と、製作中止の裏側を捉えたドキュメンタリー『ロスト・イン・ラ・マンチャ』(2002)の日本版予告編からなる特別映像が公開された。

1989年に構想が開始された本作は、2000年にスペイン・マドリードで撮影が始められるや、現場周辺を戦闘機が飛び交い、あえなく中断。さらに鉄砲水に襲われて撮影機材が流失し、風景が様変わりしてしまう悲劇に見舞われた上、ドン・キホーテ役(当時)のジャン・ロシュフォールが腰痛で歩けなくなったことで企画は頓挫した。その後も資金繰りやキャスティング、権利問題などで完成に至らなかった一連の経緯が、『ロスト・イン・ラ・マンチャ』としてドキュメンタリー映画化されたのである。

映像の前半に収められているのは、『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』公開を記念して、WOWOWにて放送される「テリー・ギリアム監督特集」にまつわる特別版予告映像。映像後半の『ロスト・イン・ラ・マンチャ』予告編にも見られる、想像を絶する苦難やトラブルに苦しむ監督の姿のほか、完成した映画にも登場するモチーフの数々が映し出され、長い時間を費やした“テリー・ギリアムによるドン・キホーテ物語”の歴史を感じることができる。

なお『ロスト・イン・ラ・マンチャ』は、Amazon Prime VideoやRakuten TVなどで順次配信中(2020年1月20日現在)。当時、ヨーロッパ最大の総製作費50億円強を費やした『The Man Who Killed Don Quixote』より、ギリアム監督とジョニー・デップの打ち合わせなど制作風景や、捕虜となるジョニー・デップ&荒野を白馬に乗って進むジャン・ロシュフォールなど、本来の形では日の目を見なかった貴重映像もたっぷりと見ることができる。

ロスト・イン・ラ・マンチャ
© 2001 QUIXOTE FILMS LIMITED ALL RIGHTS RESERVED

『ロスト・イン・ラ・マンチャ』 (2003)

『The Man Who Killed Don Quixote』はテリー・ギリアムが長年温めてきた企画だった。直前に出資者が離脱し、製作費が4,000万ドルから3,200万ドルに減ったものの、ジョニー・デップやジャン・ロシュフォールを出演者に迎えて撮影が始動。ところが撮影初日から、現場の上空をNATOのF16戦闘機が飛び、爆音で中断を余儀なくされ、2日目には集中豪雨でロケセットが流されてしまう。しかもヒロイン役ヴァネッサ・パラディの契約はいつまでも締結できず、挙句の果てにはドン・キホーテ役のジャン・ロシュフォールが椎間板ヘルニアを患い降板。撮影6日目にして製作中断が決定し、保険会社に脚本を差し押さえられてしまう。次々と襲いかかるアクシデントの中、なんとか映画を完成させようとするスタッフとキャストの姿が切なく、また感動的な異色のドキュメンタリー。

ロスト・イン・ラ・マンチャ
© 2001 QUIXOTE FILMS LIMITED ALL RIGHTS RESERVED

放送・配信スケジュール

TV放送 WOWOW(シネマ) 
「映画『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』公開記念!鬼才テリー・ギリアムの世界」
2020年1月24日(金)
22:45~『ロスト・イン・ラ・マンチャ』
24:30~『ブラザーズ・グリム』(出演:マット・デイモン、ヒース・レジャー、モニカ・ベルッチ他/2005 年)
26:35~『Dr.パルナサスの鏡』(出演:ヒース・レジャー、クリストファー・プラマー、ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレル他/2009 年)
配信 Amazon Prime Video、Rakuten TV、U-NEXT、ビデオマーケット、DMM.com、music.jp、GYAO!ストア、ひかりTV:配信中
FOD プレミアム他:順次配信

『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』

テリー・ギリアムのドン・キホーテ
© 2017 Tornasol Films, Carisco Producciones AIE, Kinology, Entre Chien et Loup, Ukbar Filmes, El Hombre Que Mató a Don Quijote A.I.E., Tornasol SLU

主人公のCM監督トビーは、仕事への情熱を失いながらも、スペインの田舎で撮影に取り組んでいた。そんなある日、トビーが謎の男から渡されたDVDは、学生時代にトビーが監督し、賞に輝いた映画『ドン・キホーテを殺した男』。舞台の村が近いと知ったトビーは現地に向かうが、人々は映画のせいで変わり果てていた。ドン・キホーテを演じた老人ハビエルは自分を本物の騎士だと信じ込んでおり、清楚な少女だったアンジェリカは女優を夢見て村を飛び出したのだ。トビーを忠実な従者のサンチョだと思い込んだ老人は、トビーを引き連れて大冒険の旅へと出発するが……。

主人公トビー役は『スター・ウォーズ』や『ブラック・クランズマン』(2018)のアダム・ドライバー、老人ハビエル役には『2人のローマ教皇』(2019)や「ゲーム・オブ・スローンズ」で知られ、テリー・ギリアムとは4度目のタッグとなるジョナサン・プライス。トビーのボス役は『パイレーツ・オブ・カリビアン』『アベンジャーズ』の名優ステラン・スカルスガルド、ボスの妻ジャッキ役は『007/慰めの報酬』(2008)のオルガ・キュリレンコが演じている。

映画『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』は2020年1月24日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

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THE RIVER編集部THE RIVER

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