【レビュー】『ハッピー・デス・デイ』監督新作『Drop』レビュー ─ デート中にエアドロで殺害脅迫?ブラムハウスのリアルスリラー

(カナダ・トロントから現地レポート)Appleユーザーにはおなじみの機能、AirDrop。電話番号を知らなくても、近くにあるAppleデバイスに写真や文書を送信できるこの機能が、スリラー映画の絶好の題材となった。
2025年4月11日に北米で劇場公開を迎えた『Drop(原題)』は、日本でも人気の『ハッピー・デス・デイ』シリーズ(2017/2019)や『ザ・スイッチ』(2020)、『パラノーマル・アクティビティ/呪いの印』(2014)など数多くのホラー作品を生み出してきたクリストファー・ランドン監督の最新作だ。製作はブラムハウス。
マッチングアプリで知り合った男性との初デート中、突如として巻き込まれる恐怖を描いたワンシチュエーション・スリラー。主演は「ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾート」のメーガン・フェイヒー。彼女のデート相手役には、『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』のブランドン・スクレナーが登場する。
物語の主人公は、夫を亡くし、幼い息子トビーを育てるシングルマザーのヴァイオレット(メーガン・フェイヒー)。長く恋愛から遠ざかっていた彼女は、思い切ってマッチングアプリで知り合った写真家のヘンリー(ブランドン・スクレナー)とディナーの約束をする。妹にトビーを預け、夜景の美しい高層レストラン「PALATE」で待ち合わせ。最初は和やかな雰囲気でデートが進むが、突如として「DigiDrop」という機能を通じ、ヴァイオレットのスマホに奇妙な画像が届き始める。
最初は単なるいたずらと思われたミーム画像だったが、次第に彼女の家に侵入者がいること、さらにデート相手のヘンリーを殺さなければ家族の命はないと警告される。家族を守るため、彼女は究極の選択を迫られることになる。
物語の舞台は、高層レストランという“空中の密室”。ヴァイオレットに画像やメッセージを送り続けている人物は、このレストランの中にいるのだ。ヴァイオレットはヘンリーに即興で言い訳を繰り出しながら、この事態を必死にコントロールしようとするが、ヘンリーも勘が鈍いタイプではない。この二人のハラハラドキドキのやりとりに引き込まれていく。ヴァイオレットのスマホに届くテキストが、スクリーンに大きく映し出される演出にも注目してほしい。スリリングな演出が緊張感をさらに高めてくれる。
ちなみにこの作品の原点となったのは、プロデューサー陣の実体験だという。米 The Hollywood Reporter によれば、数年前、彼らがイタリアで休暇を過ごしていた際、満員のレストランでプロデューサーの恋人が不気味なシュレックのミームをAirDropで受け取ったのだという。送り主は不明だったそうだ。エグゼクティブプロデューサーのサム・ラーナーはこの出来事を振り返り「これは映画の素晴らしいアイディアになると思いました」「私たちにAirDropしてくれたことは、最高の出来事でした」と語っている。
身近で便利なはずのテクノロジーが、一転して命を脅かす存在に変わってしまう。『Drop』は、そんな現代ならではの恐怖をリアルに映し出している。また、ヴァイオレットの過去にも注目。過去のトラウマとその葛藤が物語に深みを加え、スリラーだけではなく人間ドラマとしても楽しめる一本だ。
本編は85分。スリラー作品としてちょうどいい長さの本作は、公開初日時点でRotten Tomatoesの批評家スコアが83%、観客スコアが74%となっており、まずまずの高評価を獲得している。
『Drop(原題)』の日本公開情報は未定だ。
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Source: The Hollywood Reporter