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『DUNE/デューン』剣士役のジェイソン・モモア、忍者と侍ならどっちになりたい?【インタビュー】

DUNE/デューン 砂の惑星
©2020 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

世界中の映画ファンから長いこと期待されてきたSF超大作がついにやってくる。その莫大すぎるスケールゆえに、映像化が最も困難なSF小説と言われ続けてきたフランク・ハーバートによる同名の一大叙事詩を現代で映画化した、『DUNE/デューン 砂の惑星』である。21世紀、ヴィジョンにテクノロジーが追いついた今、新たに映像化に挑んだのは、『メッセージ』(2016)や『ブレードランナー 2049』(2017)などで知られるドゥニ・ヴィルヌーヴ監督だ。

公開を直前に控えた今、その魅力を最大限に味わってもらうため、THE RIVERでは封切り前日(10/14)までの4日間で、監督&主要キャストとのインタビュー、そしてIMAX&4DXを体験した筆者による映画体験レビューをお届けしていく。第3回は、DC映画『アクアマン』シリーズでも知られるジェイソン・モモア。本作では、剣士ダンカン・アイダホを演じているモモアは、テンション高めに世界の記者からの様々な質問に応じてくれた。日本が大好きというモモアは、「侍と忍者だったらどっちを選ぶか?」という究極の選択にも挑んでいる。

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    「超サイコー」だった撮影

    ── 原作を最初に読んだのはいつ頃でしたか?また、原作の何がヴィルヌーヴ監督を惹きつけんだと思います?

    原作を読んだのは監督に会ってからでした。(『DUNE/デューン』の)過去作も見ていませんでした。僕は母子家庭だったので、育ちが人とはちょっと違うんです。『コナン・ザ・バーバリアン』の時も「ゲーム・オブ・スローンズ」の時も出演が決まってから原作を読んでいます。『DUNE/デューン』に関しては、(アレハンドロ・)ホドロフスキーのドキュメンタリーも観たし、『スター・ウォーズ』とか、僕が愛するたくさんの作品をインスパイアしてきた物語だということもそこで知りました。

    僕はとにかくドゥニの大ファンで。彼の手がけてきた作品は全部好きだし、彼がまさか僕のことを知ってくれているなんて思ってもみなかったです。「ドゥニが君と連絡を取りたがっている」と知らされた時は「いやいや、何かの間違いだろ!」と思ったくらいです。「ダンカン役をやってほしい」ということだったんですけど、まるで宝くじに当たったかのような気分だったな。

    今回は、とにかく最高の経験になりました。ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン、ティモシー・シャラメ、オスカー・アイザック、レベッカ・ファーガソンといった超一流が集まったわけですけど、彼らから、父として、人として、俳優として、クリエイターとして多くを学ばせていただきました。「撮影は楽しかった」って誰でも言うことだけど、今回はホントにお世辞抜きで超サイコーな経験でした。作品のスケールも半端なかったし、お金をもらいながらヨルダンに行けましたし。気分は惑星アラキスに降り立ったダンカンそのものでした。だからこうやって記者の皆さんにお話しするのも苦じゃない。

     DUNE/デューン 砂の惑星
    ©2020 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

    ── ヴィルヌーヴ監督はダンカンの人物像をどのように説明してくれましたか?役作りで参考にしたものは?

    サンダンス映画祭の時にFaceTimeで監督とお話しさせてもらって、その時に監督は巨大な「バイブル」を僕のところへ送ってきたんです。作品のありとあらゆるイメージ画像を見ることができました。(劇中に登場する修道女)ベネ・ゲセリットのイメージ画像も彼の想像したものがそのまま描かれていたりもして。だいたい僕のような俳優にこんなバイブルを送りつけてくるなんてびっくりでしたよ。(監督にとって)“これは子どもの頃からの夢だったんだ”ということが伝わってきました。この作品が全てだったんでしょうね。そんなドゥニこそが、僕にとっての全てです。

    ダンカンのキャラクターについては、共感できるところがあまりにも多い。冒険好きで社交的で、酒場でいろんな土産話をするような男なんです。男にも女にも愛されるタイプ。戦いがあれば真っ先に敵に立ち向かうタイプでもあります。

    なかでも、ポールとの関係性に惹かれました。自分の息子(との関係を意識させる)みたいで。あと僕の若い頃の話をすると、周りにはいろんな年上の男性がいて、彼らは僕を正しい方向にリードしてくれた。特に思い出に残っている男が2人いるんですけど、音楽やスケートボード、登山について色々教えてくれたんです。冒険から帰ってくるたびに色々な話を聞かせてくれた。

    ダンカンにはポールにとってのそういう存在であってほしいと思いました。教えることだけに長けていて実践が伴わない師匠もいるけれど、ダンカンはしっかりと経験を積んでいる。まるで(『アーサー王物語』などに登場する)ランスロットのように、色々な冒険談をポールに聞かせもする。ポールのためなら命だって惜しくない忠誠心を持ちながら、彼をからかったりもするんですよ。

    撮影中に泣きそうになったこと

    『DUNE/デューン 砂の惑星』
    ©2020 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

    ── 剣や防御シールドを使っての格闘はどうやって学んだのでしょう?

    僕は10年間、ダイアログ(会話)よりもアクションシーンばかりやってきた俳優なので、格闘シーンは他の演技シーンに比べてむしろやりやすかったです。撮影現場では振り付けが緻密に練られています。僕に出来ることもあれば、怪我する可能性があって出来ないこともあります。けれど、体を動かすとその作品の世界に入り込むことができるから楽しいですね。音楽にしても芸術にしても、そういうことが必要とされる役をやるとなったら、一流の人の元でトレーニングを積むことができるから役者はいいですよ。とにかく飛び込むしかない。

    ── 主演のティモシー・シャラメが演じるポールの師匠でもあるダンカンですが、互いへの信頼が感じられます。ティモシーとの共演はいかがでしたか?関係性について、どんな話し合いをされましたか?

    今まで組んできた中でも、ティモシーほどプロ意識を徹底させている俳優は少ないと思う。僕よりもはるかに演技に対する情熱があるし、見ていて楽しいです。それに、“一緒にいて楽しいヤツ”でもある。すごく知的でもあるし。たぶんそれぞれの役が、それぞれの性格に合っているんでしょう。一緒に安心して演じることができました。僕もティモシーも、人生が大好きで情熱ほとばしるタイプだから、それを鬱陶しく思う人もいるかもしれないけど、僕らは楽しんでしまっていた。

    彼の方がシリアスな役ですけど、それでも楽しい瞬間もあったりして。カットされたシーンにそういうのがいっぱいあると思います。こういうことはあまりしないんですけど、ダンカンのポールへの接し方に、自分の父親としての姿勢を意識している部分はあります。守りたくなる感じとか。劇中で(ダンカンはポールに)「息子よ」とでも言いたげな素振りを見せるんですけど、僕の息子にはそういうところを見てほしいと思っています。

    ── 撮影中に泣きそうなくらい感動したことや怖かったことはありますか?

    砂漠の中を駆け回った日は楽しかったな。走るのはおろか、ああいう(密着した)スーツを着ながら延々と走ることは久しぶりで。“ドゥニのためならなんだってやる”ってくらいの意気込みでした。何テイクも重ねたんですけど、目に砂が入るわ、最後はさすがに息を切らすわで、「参りました!」って感じでしたけど。自分の中にある少年が出てきたというか、自然と目から涙が出てきました。

    ── つまり喜びの涙?

    そういうことですね。

    ── ご自身も環境活動家ですが、「地球の環境」をテーマにしてもいる『DUNE/デューン』はより身近なものに感じられるのでしょうか?

    そうですね。そういうテーマが描かれる作品への出演はさらに嬉しくなります。今ロンドンで『アクアマン2』の準備に入っているんですけど(編注:取材日から数日後にモモアは撮影に合流した)、映画を通じて環境問題について語れるのは素晴らしいこと。(ましてや『DUNE/デューン』は)大作であるだけでなく、絵画のような美しさを持つ名作です。そういう作品を通じて環境について伝えられるのはとても嬉しいことで、必要なことでもあります。たくさんの人に伝わると良いな。

    『DUNE/デューン 砂の惑星』
    ©2020 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

    ── 原作ファンも多い作品ですが、本作を期待しているファンにおすすめポイントを教えてください。 

    (デヴィッド・)リンチ版の『デューン/砂の惑星』とは違うところで注目するべきポイントってこと?

    ── というよりは、全般的に見逃して欲しくないところですね。

    まず劇場が再開するというのが嬉しいです!僕は子どもを連れて、サウンド・ミキシングするところを見学させてもらったんですけど、音にはぶっ飛びましたよ!これほどスケールを感じさせてくれる映画は、あまり知らないです。僕はいつも『アクアマン』とかではブルースクリーンの前で演じているんですけど、今回は実際にロケ撮影をしたり、セットも本当に作ったりしたものでした。その分俳優としては楽でしたし、子どものような楽しい気分にもなれる。アクションシーンにもドゥニのビジョンが感じられます。

    監督が人生の目標とするような名作への出演は初めてなんです。これはまさに「シネマ」。僕はそういう作品にキャスティングされるタイプではなかったから、これだけ芸術的で繊細な作品は初めてなんです。こんな素晴らしい体験は初めてだな。「この先何を楽しみにすればいいのさ?」って悲しい気持ちになるほどで。だらだらと喋ってしまってごめんなさいね。僕にとって本当に大切な作品だから。

    忍者か侍か。選ぶならどっち?

     DUNE/デューン 砂の惑星
    ©2020 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

    ── ダンカンの武士道精神をどのように解釈しましたか?現場から持ち帰った思い出のアイテムは?

    僕は生まれながらにしての盗人です。だから、刀とかクリスナイフ(劇中に登場する特製の武器)とかを持ち帰って息子にあげました。僕は何でも持ち帰るんです。「触ったら自分のもの」と思ってるんで。ものすごいオタクだから、小物が大好きなんですよ。

    武士道精神について言えば、少年の頃から侍や日本の文化には夢中でした。俳優の中で断トツ好きなのが三船敏郎。前世が日本人だったんだろうな。幼い頃は何かとお辞儀をしていたみたいで、母親に「なんでお辞儀ばかりするの?」と言われていたみたいです。そういうのを役柄に活かすこともあって。僕は(武士道の)「身を挺する」といった精神が魅力的だと思っています。ダンカンはポールとそういう関係にあるとも言えるんです。この作品では(フィリピン武術の)カリの訓練をしたんですけど、ポールにある合図をするシーンがあって、それは自分の息子への合図でもあるんです。(『DUNE/デューン』では)けっこう悲劇的な場面なんですけどね。

    ── 侍と忍者だったらどっちを選びますか?

    そりゃサムライです!僕はニンジャタイプではない。ドアを押し開けて「オウオウ」って言いながら進攻する!忍者をやるにはデカすぎるし、体重も250ポンドあるからそっと動くことなんてできませんよ。

    ── ファンタジーやSFに欠かせない俳優になるのはどんなお気持ちですか?

    うーん、そういうことはあまり考えないですかね。自分の存在感だとか立ち位置を考えずに、ただ仕事をするだけです。仕事をもらえるのは光栄なことだし、「See 〜暗闇の世界〜」でも着物をもらえたりしました。やりたい役をやらせてもらえて、夢のような人生ですよ。次はロマコメがいいかな?格闘シーンなしでいくのも悪くない。これから『アクアマン』の撮影なんですけどね。

    ── 「恐怖は心を殺すもの(Fear is the mind-killer)」というセリフにもある通り、本作は恐怖の克服も一つのテーマです。あなた自身はどのように恐怖と付き合いますか?恐怖で身動きがとれなくなるタイプですか?それとも原動力になるタイプ?

    原動力になります。怖いことはしょっちゅう起きるけど、僕は物事を区分して考えるのが得意なんだと思う。そうすると「のるかそるか」という状況に身を置くことができるんです。自分の限界に挑戦できるから、怖い状況も楽しいんです。ただ歳を重ねていくと、私生活では用心深くなってきましたね。子どものことが心配だから。「それやっちゃだめ!」なんて言ったりもします。ただ仕事となると、今度の『アクアマン2』だって、いろいろ怖いことはあります。怖くなきゃ怠けてしまう。それでも、恐怖とはちゃんと向き合うから、身動き取れなくなるようなことはないですね。


    10,190年、銀河系は分裂した。人類が地球以外の惑星に移住し、宇宙帝国を築いたあとの世界では、ひとつの惑星をひとつの大領家が統治する身分制度が敷かれている。レト・アトレイデス公爵は、皇帝の命を受け、通称「デューン」と呼ばれる砂漠の惑星アラキスを治めていた。そこは、抗老化作用を持つ香料・メランジの唯一の生産地。一家には莫大な利益がもたらされるはずだったが、レト公爵を待っていたのは、メランジの採掘権を持つハルコンネン家と皇帝の陰謀だった……。

    『DUNE/デューン 砂の惑星』には、ハリウッドを代表する俳優陣が集結した。『君の名前で僕を呼んで』(2017)のティモシー・シャラメ、『スパイダーマン』シリーズのゼンデイヤ、『アクアマン』(2018)のジェイソン・モモア、アカデミー賞俳優ハビエル・バルデム、『アベンジャーズ』シリーズでサノスを演じたジョシュ・ブローリン、そして『スター・ウォーズ』続三部作のオスカー・アイザックと、『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018)のレベッカ・ファーガソンらが名を連ねている。ほか、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのデイヴ・バウティスタや、『マイティ・ソー』『マンマ・ミーア!』シリーズなどの名優ステラン・スカルスガルド、『アントマン』シリーズや『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)などのデヴィッド・ダストマルチャンら、多彩な実力派が参加し、強力な布陣が揃った。

    いよいよ、封切りまであと2日。連載ラストとなる第4回は、2D、IMAX、4DXの3種類で『DUNE/デューン』を体験したTHE RIVERによる映画レビューをお届けする。

    映画『DUNE/デューン 砂の惑星』は、2021年10月15日(金)全国公開。

    ▼ 『DUNE/デューン』鑑賞前はコレ

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      THE RIVER編集部THE RIVER

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