Menu
(0)

Search

『エディントンへようこそ』アリ・アスター監督 単独インタビュー解説 ─ 「ホアキンには危険なところがある、だから面白い」

『エディントンへようこそ』アリ・アスター監督 来日取材

いやー、実現するかはわからないです。でも、もっと今の僕たちのモダン・ライフについての映画を作りたいかな。

──それは『エディントンへようこそ』の世界につながるものですか?

というか、今回の企画、つまり現代社会やインターネットについての企画につながるものかもしれません。

──つまり、必ずしも今作のキャラクターを描くものではないと。

そういうことですね。

──『ミッドサマー』のような過去作の続編製作を考えたことはありますか?

ありますよ。でも、今はノープランです。

──ちなみに、どの作品ですか?

『ヘレディタリー/継承』です。どうなるかな。

──本当ですか!ドラマでも映画でも良さそうですね。

ドラマではないかな。映画がいい。

──どれくらい考えているんですか?何か執筆を始めている?

さて、どうでしょう。僕は迷信深いので、具体的ではないことは話しません。

──本作で社会的な分断を描くにあたって、何かショックを受けた実体験や、「これを映画に取り入れたい」と感じたことはありましたか?

いや、どちらかというと“空気感”です。環境そのもの。あの空気の中で僕が感じたこと、今でも感じていること。かつては考えられなかったようなことが現実になって、とても生々しくなっている。価値観も大きく変化したと思いますし、集合的な意識さえ変わってしまったと思う。私たちが今どこに向かっているのかは分かりませんが、どこかに“向かっている”という感覚はわかる。それが心配なんです。

エディントンへようこそ
(C) 2025 Joe Cross For Mayor Rights LLC. All Rights Reserved.

──あなたの家族の描き方に関心があります。あなたの物語では、家族はしばしば安心できる場所ではなく、痛みとともに対峙しなければならないものとして描かれる。本作でもそうです。ジョーは妻を愛していましたが、でも……。つまり、あなたは家族を「試練」のように描くことがあり、度々その題材を取り扱っている。

家族は単なる素材ですね。誰にでも家族はあるし、家族とは関わり続けないといけないし。それが面白いと思ったんです。家族は安らぎにもなるし、碇にもなるし、罠にもなる。

今作の場合、ホアキン・フェニックスが演じたジョー・クロスは妻を愛しているけど、妻のことを理解していない。妻には、彼が到底理解できない過去があって、彼も、そして本人の母親でさえも向き合えない。

エディントンへようこそ
(C) 2025 Joe Cross For Mayor Rights LLC. All Rights Reserved.

そういう意味で本作は、“否認”についての物語でもある。あの家族は“否認”によって形作られているようなもので、彼女はその環境から逃げ出したいと思っている。でも同時に、彼女は別のものに惹かれてしまう。それもそれで、また毒性のものなのかもしれないのにね。

エディントンへようこそ
(C)2025 Joe Cross For Mayor Rights LLC. All Rights Reserved.

暴力、陰謀論、SNSの暴走がすべてを焼き尽くす“炎上スリラー”『エディントンへようこそ』は2025年12月12日公開。

Writer

アバター画像
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者、運営代表。執筆・編集から企画制作・取材・出演まで。数多くのハリウッドスターに直接インタビューを行なっています。お問い合わせは nakataniアットriverch.jp まで。

Ranking

Daily

Weekly

Monthly