【ネタバレ】『アベンジャーズ/エンドゲーム』◯◯のサノス、CGチームはどう描いたか ─ 『インフィニティ・ウォー』との違いとは

サノスはいかに描き分けられたか
『アベンジャーズ/エンドゲーム』には二人のサノスが登場する。一人は『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で大暴れし、インフィニティ・ストーンを手に入れたサノス。そしてもう一人は、2014年当時、すなわち『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)に登場したサノスだ。本作において、前作のサノスは映画序盤で命を落とすが、代わりに2014年のサノスが大々的に登場。『インフィニティ・ウォー』を上回る戦いぶりを見せることになる。
しかし『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』に登場したサノスは、『インフィニティ・ウォー』と同じくジョシュ・ブローリンが演じているものの、その表現はやや異なる。まだ『アベンジャーズ』にも近いデザインで、異星人としての印象が強めのデザインだったのだ。しかし、『エンドゲーム』に登場する2014年のサノスは『インフィニティ・ウォー』の延長線上になければならない。

米Comicbook.comにて、視覚効果スーパーバイザーを務めたWeta Digitalのマット・アイトキン氏は、『インフィニティ・ウォー』から本作冒頭のサノスと、のちに登場する2014年のサノスについて「ちょっとした別人のような感じ」だと語る。
「どちらの映画もベースは同じです。『インフィニティ・ウォー』の製作中、サノスを作り上げるのには長い時間を要しましたが、『エンドゲーム』では若いサノスが登場しますよね。2014年から来るので、厳密に言えば『インフィニティ・ウォー』のサノスより4歳ほど若い。より機敏で、身体能力のピークを迎えていた頃のサノスです。身につけているものも違って、アーマーを着て戦闘態勢にあります。
『インフィニティ・ウォー』のタイタンでは、サノスはもう少しカジュアルな格好をしていました。(2014年よりも)理性的なんです。そこで(2014年のサノスには)アーマーを着せて、彼の若さやパワーを、主に動きの表現に反映したいと思いました。ベースの部分は大きく変えず、動かし方のアプローチを変えているんです。」

またCGチームがこだわったのは、サノスの“サノスらしさ”だった。CG表現の場合、キャラクターなどの動きは、一連の動作を構成する主なポーズをフレーム単位で指定する形で制作され、ポーズの間にあるフレームの動きはソフトが自動補間する(キーフレームアニメーション)。製作チームは補間された部分に手を加えて、より“サノスらしい”演技を追求していったのだ。
「私たちはジョシュ・ブローリンやスタントパーソンのモーションキャプチャーを基に作業をしていました。ただし、キャプチャーされた動きを捉えつつ、キーフレームアニメーションを通じて、演技の中にサノスを発見することもしなければいけません。しかもサノスの場合、身長が8フィート(約2.4メートル)ある、巨大かつ非常に強力なキャラクター。ですから、人間サイズのモーションキャプチャーから動作を取り出し、その上にサノスを重ねなくてはなりませんでした。“身体力学とモーションキャプチャーの探検”と言っていましたね。」
なおアイトキン氏によれば、『インフィニティ・ウォー』当時とは、モーションキャプチャーやアニメーションの技術も異なったという。前作では製作スケジュールの都合で至らなかった部分などに改良を加え、表情の演技もアップデートされているのだ。「サノスの口角など、演技の細かいニュアンスを付けるために要素を足して、より複雑なものになりました」。ディテールを細かく加えていくこで、より繊細でリアルな演技を実現することができるのだという。
本作について、アイトキン氏は「モーションキャプチャーからサノスを生み出していくとき、作業の中で新たなサノスを探っていたという側面はあったと思います」とも述べている。普通に観ていては気づかないような細部にも、CGチームの工夫と努力が詰まっているのだろう。『エンドゲーム』がブルーレイ化された際には、ぜひ『インフィニティ・ウォー』のサノスとじっくり見比べてみたい…!
映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』は2019年4月26日(金)より全国公開中。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/avengers-endgame.html
Source: Comicbook.com