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『アベンジャーズ/エンドゲーム』予告編の制作意図、監督が明かす ─ 使用映像は「ごくわずか」、キャップとトニーの握手も「本編にないかも」

アベンジャーズ/エンドゲーム
MARVEL/PLANET PHOTOS 写真:ゼータイメージ

映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』のアンソニー&ジョー・ルッソ監督が、謎に包まれた予告編の制作意図を明かした。近年のマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品は、本編に存在しない映像を予告編に盛り込むなど徹底した情報統制で知られる。よく訓練されたファンは、もはや予告編で掴めるのは“映画の雰囲気”だけだと熟知しているだろう。

アンソニー監督は米Cinema Blendの取材にて、『エンドゲーム』の予告編で見られる映像も「本編のごくわずかな部分から使っていますと認めている。たとえ予告編であっても、作品の情報を「しっかり限定しておきたい」という狙いだ。

「ファンの皆さんがすごい目利きであることはわかっていますし、映画を何度も観て、物語の展開を予想してくださる方が非常に多いことに感謝しています。だからこそ、映画館に来てもらう前にヒントを出したり答えを明かしたりしたくない。フレッシュでエキサイティングな、できるかぎり驚ける体験にしたいんです。」

これまでルッソ兄弟は、観客へのサプライズを重要視していることをしばしば明言してきた。かつて『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(1980)に驚かされたというジョー監督は、「あの感覚を再現したい」と述べ、観客には事前の情報をシャットアウトすることを薦めている。なにせ、インターネット禁止令すら発令しようというほどなのだ。

日本よ、これがインターネット禁止令だ

大作映画である以上、事前に予告編が公開されない、プロモーションがまったくなされないことは当然ありえない。しかし秘密主義を徹底する戦略があるゆえに、アンソニー監督は広報について頭を悩ませているようだ。

「(プロモーションには)とても気を遣います。ですがディズニーのマーケティングは非常に効果的で、その方法は極めて洗練されている。僕たちも十分信頼しています。だから、どれくらい見せるべきかというアドバイスをもらうんです。ただし、彼ら(ディズニー)は常に“もっと見せたい側”で、僕らは“あんまり見せたくない側”。ちょうどいい中間をみんなで探すんですよ。」

ルッソ兄弟の巧みな情報操作=演出術

では、ここでルッソ兄弟の凶悪なエピソードをひとつご紹介しよう。

FOX 5 DCのインタビュアーは、予告編第3弾に含まれていた、トニー・スタークとスティーブ・ロジャースの握手シーンに興奮したことを熱く語っている。しかし、その言葉をひとしきり聞いたジョー監督は「その場面、本編にないかもしれませんよ」と答えたのだ。

驚愕したインタビュアーが「ウソでしょ?」と返すと、ジョー監督は「ウソかも」とトボける。「ちょっと待ってくださいよ!」と動揺すると、すかさずアンソニー監督が「トニーとスティーブの関係性はずっと描いてきたものでしてね…」と横入りして話題をずらした。ジョー監督は「ほら、話がグルグル回ってるでしょ?」と笑っている。もはや、インタビュアーは「感情をもてあそぶのが上手すぎますよ!」と抗議するしかなかった。うーん、これは意地悪ッソ…。

ともかくアンソニー監督は、「フィルムメーカーになる前は、僕たち自身がファンの一員でした。積極的にストーリーに関わるのが大好きだったんです」とも述べてもいる。それゆえに「アクティブな観客のみなさんのことが大好き」なのだと。

「僕たちも(作品に)積極的に関わろうとする観客です。だから、インディーズ映画を撮っていた頃も、テレビの世界で作品を作っている時も、いまマーベルで仕事をしている時も、情熱的な観客を巻き込んでいきたいと考えているんですよ。」

マーベル・シネマティック・ユニバースの“エース監督”にして、今後もさまざまな映画やテレビドラマが控える次世代の旗手は、映画の公開以前から観客を喜ばせ、じらし、うまく転がすことも含めて、一本の作品を巧みに演出している。すでに彼らの狙い通り、世界中の観客は『エンドゲーム』に巻き込まれているだろう。予告編を観ている時点で、二人の発言を聞いている時点で、早くも彼らの仕掛けは始まっているのかもしれない。いずれにせよ私たちは、彼らの掌の上で踊らされているのだ…!

映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』は2019年4月26日(金)全国ロードショー

『アベンジャーズ/エンドゲーム』公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/avengers-endgame.html

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Sources: CB, FOX 5 DC 

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。