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【インタビュー】『この世の果て、数多の終焉』ギョーム・ニクルー監督が見た「歴史の闇」 ─ 凄惨な戦場、なぜ静かに描くのか

この世の果て、数多の終焉
© 2017 Les films du Worso-Les Armateurs-Orange Studio-Score Pictures-Rectangle Productions-Arena Films-Arches Films-Cinéfeel 1- Same Player- Pan Européenne- Move Movie- Ce Qui Me Meut

私自身、日本の方々に作品を観ていただいて、この事実があまり知られていなかったり、学校でも教わらなかったりすることを知って驚いています。当時の日本は、インドシナの北部から陸路を使って中国に戦いを仕掛けようとしていたので、ベトナムと直接戦っていたわけではありませんが、そういう事実を学ばないことがあるというのは驚きでしたね。もちろん、自分たちの国がどういうことをしてきたのかを知り、分析することは大切なことです。しかし一方で、知らなかったことを糾弾したり、それが恥だと言ったりすることはあってはならないとも思います。

あの時代については、どういう文脈があり、どんな出来事が起こったのか、ということを細やかに見ていかなければいけません。私自身も(歴史に)何らかのジャッジを下すのではなく、歴史をひとつの事実として表現しています。日本の観客のみなさんがどう反応してくださるかは想像が及ばないことですから、私としては、ご自身に響いたところにそれぞれ反応していただければと思います。私のほうから、こんなことがあったんだぞとか、あんなことはしなかっただろうとか、教訓を垂れるのはあまりにもおこがましいし、傲慢なことだと思う。そういう視点で描いている作品ではないのです。

映画『この世の果て、数多の終焉』は2020年8月15日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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