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『スター・ウォーズ』監督降板劇、恐ろしの内情 ─ トレボロウとルーカスフィルムの「自分主義」限界の瞬間

Director Colin Trevorrow seen at Focus Features "The Book of Henry" Premiere at 2017 Los Angeles Film Festival on Wednesday, June 14, 2017, in Culver City, Calif. (Photo by Steve Cohn/Invision for Focus Features/AP Images)

壮大なるサーガを締めくくる重大作『スター・ウォーズ / エピソード9』から、監督のコリン・トレボロウが降板させられた。ルーカスフィルムとの製作上の意志の相違が修復不可能なレベルに陥っていたためとされる。後任の監督は未だ発表されておらず、その顛末に世界中が「嫌な予感」を抱く中、降板劇の実態がおぼろげながらも見えてきた。

海外メディアVULTUREが解き明かした情報を整理しよう。今回の『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』監督降板の主となる要素を突き詰めると、コリン・トレボロウと、キャスリーン・ケネディ(ルーカスフィルム)両者の「自分主義」が、ただひたすらに噛み合わなかった、ということになる。

コリン・トレボロウ監督に悪評噴出

VULTUREでは、ハリウッドの業界事情に明るい匿名の関係者から内情を引き出している。関係者によると、コリンの業界での評判は芳しくないようなのだ。監督による『ジュラシック・ワールド』(2015)は全世界興行収入16億7千万ドルを超えるシリーズ最大ヒット作となったが、その舞台裏は息苦しかった。

「『ジュラシック・ワールド』(2015)制作時、彼は創造的なエネルギーの大部分を、自分の意見を主張することに充てていました。でも彼はスピルバーグ直々のご指名だったから、誰もクビを宣告できなかったんです。」

『ジュラシック・ワールド』が想像を上回るヒット作となると、コリンはナオミ・ワッツ主演のドラマ映画『ザ・ブック・オブ・ヘンリー(原題:The Book of Henry)』を製作。既に『スター・ウォーズ / エピソード9』監督に就任していたコリンの最新作だけあって、2017年6月に鳴り物入りで全米公開を迎えるも、その評価は散々だった。Rotten Tomatoesの批評家スコアは22%。批評家は「(同作は)駄作どころか、意味をなしていない」と辛辣な意見を下している。米国内興行収入は、1,000万ドルの製作費に対してわずか430万ドルだった。

「もう限界でした」先の関係者は語る。「彼は自己中で、いつも”自分自分”だったんです。」

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の制作段階で、コリン・トレボロウとルーカスフィルムのキャスリーリン・ケネディの関係性は、度重なる脚本草案の書き直しにより「手がつけられないほど」悪化していたという。そこに『ブック・オブ・ヘンリー』の悪評が晒されると、「これでようやくキャスリーンはコリンをクビにするのではないか」との推測が広まった。コリンの実力不足が露呈されるや、残ったのは彼の傲慢さだけだった。先の関係者は「彼は気難しくて、とても、とても、とても強気な男なんです」と語る。

ルーカスフィルムの支配主義

スター・ウォーズ制作内部の不穏な空気を口にする者もいる。かつてルーカスフィルムと仕事を共にしたというベテランの映画プロデューサーは、「スター・ウォーズとキャスリーン・ケネディの仕事では、とある門番のような人間がいるんですよ」と告白する。

もしもキャスリーン・ケネディのご機嫌を損ねたら、事情が何であれ、終了。追い出されます」と、まるで真の暗黒卿はルーカスフィルム内部にあるかのように語る同氏。

「多くの若手監督が現れては、”これをやりたい、あれをやりたい”と言いいます。彼らの多くは、──ロードとミラー(編注:『ハン・ソロ』を同じく制作上の相違から降板させられた監督)とコリント・ボロウは── あっという間に大金持ちになると信じられていました。でも彼らは(ルーカスフィルムの敷く)ルールに従いたくはない。違うことをやりたがるわけです。となると、キャスリーン・ケネディの心象は宜しくありませんよね。

同氏が語るように、別プロジェクト『ハン・ソロ(仮題)』でも、同じく創作上の相違によってフィル・ロードとクリストファー・ミラーの二人が監督から降板している。表立っては「前向きな別れ」と伝えられているが、その内情はやはりキャスリーン・ケネディの「私こそがスター・ウォーズ」とでも言うべき信条に振り回された結果であった。

こうした騒動からは、ルーカスフィルムは創造性溢れる気鋭の監督に扉を開いてはおきながらも、結局は創作上の実権を自身で握ろうとしたい性格が透けて見える。ひとまずの最終作『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』ともなれば、なおさら強烈だろう。

なお、コリン・トレボロウの後任監督には『フォースの覚醒』(2015)J.J.エイブラムスと『最後のジェダイ』(2017)ライアン・ジョンソンも候補に挙がっているとされる。ファンの間では、1977年のジョージ・ルーカスによる「シリーズ最終作を監督したいな。第一作と最終作だけ自分でやって、中間作は他の人達にやらせたい」という発言を掘り起こし、「いっそ創造主ルーカスに委ねてみてはどうか」と希望する声もあるが、果たして…?

Source:http://www.vulture.com/2017/09/star-wars-episode-8-colin-trevorrow-firing-explanation.html
http://www.hollywoodreporter.com/heat-vision/colin-trevorrow-as-director-star-wars-episode-ix-1035463
http://comicbook.com/2017/09/06/star-wars-episode-ix-director-jj-abrams/
http://www.vulture.com/2017/06/the-book-of-henry-movie-review-a-unique-kind-of-terrible.html
http://www.boxofficemojo.com/movies/?id=thebookofhenry.htm
https://filmschoolrejects.com/book-of-henry-hollywoods-sunk-costs/
http://io9.gizmodo.com/in-1977-george-lucas-said-he-wanted-to-direct-the-last-1800663507

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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