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あの「イコライザー」がドラマ化、映画版と一味違う爽快感 ─ 私が復讐させて頂きます

イコライザー(ドラマ版)
© 2021 Universal Television LLC and CBS Studios Inc. ALL RIGHTS RESERVED.

「私が夜眠れない理由は、自分のしたことではなく、救えなかった人を思うから」。

映画版も大ヒットした「イコライザー」シリーズが、ドラマでリブートだ。これが快調で、アメリカではNo.1ヒット※を記録し、既に4シーズンの製作まで決定。元CIAエージェントだった主人公がごく普通の平穏な生活を送りながら、圧倒的な戦闘能力を駆使して悪党たちを成敗していくというコンセプトはそのままに、女性主人公と共に再びドラマ化。本国でたちまち話題作となっていたが、ついに日本でもAXNで独占初放送になるということで注目を集めている。
※第1話初回放送(2021/2/7)の視聴者数が2019〜2021年に放送されたプライムタイムのドラマの中でNo.1。

もともと『イコライザー』は、1980年代にアメリカで放映された同名のテレビドラマ(邦題「ザ・シークレット・ハンター」)が元祖。デンゼル・ワシントン主演の映画シリーズはそのリメイク版でもある。ホームセンターの店員(2作目では運転手)として地味に働くロバート・マッコールがその凄腕で悪党を血祭りにあげるハードボイルドアクションの旨味は、映画ファンがよく知るところだろう。

デンゼルが演じた映画版ロバート・マッコールは、ひたすらに慎ましい男だった。ボストンの街の隅で、身近な人々との交流を愛しながらも、それと同じほどに孤独も愛するロバートは、夜のダイナーの角の席から、静かに走る車窓から、いかにも無害そうな視線で街を観察する。本質的なミニマリストであるその姿は、私刑執行人と言うにはいささか大袈裟かもしれない。しかし、いざ不正と対峙すると一切の容赦無く、一切の無駄のない動きで次々と悪を粛清していく。

「イコライザー(Equalizer)」とは「等しくする/均一化する」という意味である。ロバートは「不正」を「正」にただすのみでなく、報われるべき者に対しては、そうなるように調整を加える。良き報いも、悪しき報いも、両方、等しくである。彼は街に根付く人々の、ささやかな変化を、ささやかに喜ぶ。「読むべき100冊」の読破を目指すロバートは、そのスタッカートのような言葉遣いに慈悲も凄みも自在に織り込められる。

クィーン・ラティファが演じるドラマ版の主人公ロビン・マッコールも、映画版のDNAをそのまま受け継いだ。元CIAの彼女は過酷な現場を退き、やはり今は穏やかな暮らしを営んでいる。大きな変更点としては、彼女がシングルマザーであるということだ。実はアメリカはひとり親家庭の割合が23%で、これは世界平均の7%に比べて突出して高い(2019年調査)。ドラマ版では、こうした家庭描写のレイヤーを加えることで、無骨だった「イコライザー」の世界観により普遍的な共感性が与えられた。年頃の娘を育てるロビンは、「母親」と「イコライザー」としての二足の草鞋を履くこととなる。

イコライザー(ドラマ版)
© 2021 Universal Television LLC and CBS Studios Inc. ALL RIGHTS RESERVED.

カフェで働き、PTAの仕事をこなす。そんな慎ましい暮らしを送りたいと思っていたロビンの元に、例によってCIA時代の元同僚より、かつてのような仕事の話を持ちかけられる。第1話では、殺人の濡れ衣を着せられた少女を救うため、ロビンがCIA時代のスキルをもって立ち上がる。格闘シーンでは映画さながらのスリリングなアクションを披露。「弱きを助け強きを挫く」というコンセプトが貫かれた。

映画版のロバートは基本的に一匹狼だったが、ドラマ版のロビンには作戦を常にサポートしてくれる仲間たちがいる。お供となるのは、バーの店主でスナイパーのメロディと、その夫であり天才ハッカーのハリーだ。彼らはバーの地下に巨大モニターを有する秘密の作戦室を持っている。海外ドラマの良作には、こうした“ホームベース”がよく登場するのがお決まりだ。「イコライザー」では、この地下室をベースにロビンたちが様々なミッションに飛び出していく。

イコライザー(ドラマ版)
© 2021 Universal Television LLC and CBS Studios Inc. ALL RIGHTS RESERVED.

映画版の戦闘シーンはもっとブルータルだったが、ドラマ版ではより爽快感ある仕上がりになるよう工夫されている。基本的な構造はこうだ。悪人たちが悪事を働こうとしているところに、どこからともなくロビン・マッコールが現れる。彼女は誰がどう見ても、ごく普通の中年女性にしか見えない。だから悪党たちは彼女の登場を見くびって、こう尋ねる。「あんた、何者だ?」。ロビンは何でもないように「自警団員よ」と答え、「その子を放しな。そしたら見逃してやる」と最初で最後の慈悲を与える。悪党の反応は?もちろん笑い出す。

イコライザー(ドラマ版)
© 2021 Universal Television LLC and CBS Studios Inc. ALL RIGHTS RESERVED.

次の瞬間、“イコライザー” ロビン・マッコールはパワフルな身のこなしで、悪党たちをあっという間にノックアウト。「ナメてた相手が最強だった」のフォーマットは洋画においてすっかりお馴染みになったが、「イコライザー」の場合、もっと「水戸黄門」とか「ごくせん」といった鉄板ドラマを彷彿とさせるような、とても身近で受け入れやすい安心感がある。アメリカでゴールデンタイムに地上波放送された作品とあって、残酷な暴力描写がないのもその理由のうちだろう。

デンゼル・ワシントンが演じたロバートの「死んだ目」から怒涛の殺人術が繰り出される様も見応えあったが、ドラマ版ロビンの「肝っ玉母ちゃん」ぶりも良い。家庭にいる時や、困っている人の相談に乗っている時の彼女は頼り甲斐ある保護者だが、弱き者を守るために腕っ節を披露する姿は痛快。彼女が悪党たちをギャフンと言わせる展開が、毎エピソードの楽しみになる。

イコライザー(ドラマ版)
© 2021 Universal Television LLC and CBS Studios Inc. ALL RIGHTS RESERVED.

演じているのは、ハル・ベリーやシャーリーズ・セロンのようなアクション俳優ではなく、クィーン・ラティファだ。彼女の佇まいが良い意味でのサプライズをもたらしている。ちなみにクィーン・ラティファといえば、最も成功したフィメール・ラッパーの1人でもある。彼女ならではのリズム感ある台詞回しも、鑑賞感に心地よいメリハリを与えている。

映画『イコライザー』のラストでロバートが人助けのインターネット広告を出稿していたように、ドラマでもロビンは「困ってる?私が助ける」とのネット広告で人助け請負人となり、様々な依頼を受けていく。その内容や題材が毎話バラエティに富んでいて、全く飽きさせない。第1話ではディープフェイク技術を悪用して殺人犯に仕立て上げられた少女の救出や、自動運転技術の危うい側面が描かれ、第2話では陰謀が潜む誘拐事件の解決劇にBLM(ブラック・ライブズ・マター)のメッセージが込められるなど、現代的なセンスも光る。第3話では転調し、無実の男をめぐる法廷ドラマが描かれる。

イコライザー(ドラマ版)
© 2021 Universal Television LLC and CBS Studios Inc. ALL RIGHTS RESERVED.

1話あたり40分程度で、基本的には1話完結型のエピソードだ。ロビンが様々な事件を独力で解決していく一方、ニューヨーク市警の刑事ダンテが謎に包まれた“イコライザー”を追う様も進行していく。シーズン1は全10話で、アメリカではシーズン2まで放送済み。第1話初回放送の視聴者数は2,000万人以上を記録する大ヒット作となり、既にシーズン4までの製作が決定しているから面白さはお墨付きだ。

日本国内でドラマ「イコライザー」が観られるのはAXNだけだ。とにかくお得に「イコライザー」が観たい方は、初月無料を活用するという裏技がある。実はこのキャンペーン、加入した日から当月末日までが無料という仕組みなので、月初に申し込む方がお得なのだ。つまり9月頭に加入すれば、その月は丸ごと無料で「イコライザー」の放送が楽しめるというわけである。もちろんAXNでは他にも「グッド・ドクター 名医の条件」「シカゴ・メッド」「華麗なるペテン師たち」「クローザー」などなど良作ドラマが放送されているので、これを機に思う存分楽しんでみよう。

残暑が続くこの9月、涼しい自宅で「イコライザー」と共にハラハラドキドキの興奮を味わおう。

イコライザー(ドラマ版)
© 2021 Universal Television LLC and CBS Studios Inc. ALL RIGHTS RESERVED.

「イコライザー」字幕版: 2022年9月1日(木)夜11:00スタート 毎週木曜 夜11:00 ≪DRAMAX11≫
二カ国語版: 9月5日(月)夜11:00スタート 毎週月曜 夜11:00≪DRAMAX11≫
9月25日(日)夕方6:00から第1~4話をキャッチアップ放送。

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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