もしホラー映画の悪役たちが日常風景に溶け込んでたら?『Everyday Horrors』が意外とハートウォーミングで素敵

あなたは日常生活の中で、例えば街を歩いていて、モールで買い物をしていて、レストランで食事をしていて、あるいはトイレで用を足していて、そんな時に偶然、映画スターに出会った経験はあるだろうか。
まあ映画スターというと、どうしても日本国内ではなく海外を想像してしまいがちであるが、日本にもハリウッドの映画スターが訪れてプライベートな時間を過ごすことはあるだろうし、まあハリウッドのスターではなくても、日本のタレントや俳優だって、誰かにとってはスターかもしれないから、そういったスターを偶然見かけたり、握手してもらったり、サインをねだったりした経験を持つ人は、案外多いのかもしれない。
ぼくはと言えば、自分のスターには出会ったことはないが、かつて悪役として名を馳せた安岡力也には、偶然出会って握手をしてもらったことがある。当時は別にファンでも何でもなかったのだが・・・、その場の勢いで握手はしてもらった。ただあとから思い返せば、彼はぼくが愛してやまない伊丹十三の映画『たんぽぽ』にもメインキャストとして出演しているし、リドリー・スコットの『ブラック・レイン』(Black Rain)にはヤクザの親分の用心棒役として出演していたこともある。だからあの時、ツーショット写真の一枚でも撮っておけばよかったなあと、少しだけ悔やまれる。
話がそれてしまったので軌道修正をしよう。
まあ一概に映画スターと言っても人によって捉え方は様々で、俳優自身に憧れている人もいれば、その俳優が映画の中で演じている登場人物に憧れを持っているという場合も大いに有り得るだろう。例えばアメコミを実写化した映画の中のスーパーヒーローに恋い焦がれたり、ファンタジー映画の中に登場する騎士に惚れ込んだり、あるいは犯罪ドラマの影を担う異常なサイコパスのダークな側面に惹きつけられるということもあるだろう。
そういう存在で言えば、ぼくは断然ホラー映画に出てくるモンスターや怪人物、つまり悪役のファンだったりする。
だから例えば、『13日の金曜日』(Friday The 13th)のジェイソン・ボーヒーズだったり、『エルム街の悪夢』(A nightmare on Elm Street)のフレディー・クルーガーだったりに偶然街で出会ったりしたら、ちょっとテンションがあがると思う。もちろんあれは映画の中の登場人物なので、彼らが街のどこかに住んで生活していて、カフェでお茶を飲んでいるフレディにばったりで出くわすなんてことは、可能性として完全にゼロに近いのだが・・・。
ところが、そのもしもを再現するというコンセプトで、ホラー映画の悪役スターたちの日常をカメラに捉える『Everyday Horrors』というプロジェクトを始動させたジェイソン・シャルツ(jason shaltz)という人物がいる。
ホラー映画の『アイツ』の日常?
ホラー映画の中のアイコニックな悪役たちが、映画の中で悪の限りを尽くしている以外の時間、つまりプライベートな時間はいったいどんな生活を送っているのか、それをカメラに収めようというわけである。
それでは、ホラーなスターたちの日常を覗いてみよう、あっ、ちなみにシャルツさんがニューヨーク在住ということで、ホラーなスターたちの活動拠点も基本的にはニューヨークということになっているようである・・・。
本屋で立ち読みするレザーフェイス
新聞を熟読するフレディ・クルーガー
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