こんなにも不安に駆られる作品は久しぶりだ。映画『エクス・マキナ』レビュー

『エクス・マキナ』評価・感想

検索エンジンを運営するインターネット会社のプログラマー ケイレブ(ドーナル・グリーソン)は、日頃姿を見せない社長 ネイサン(オスカー・アイザック)が所有する別荘を訪れる機会に 社内でたった一人当選する。
人里離れた山間にあるその別荘で、ケイレブはネイサンから 秘密裏に開発された人工知能搭載の女性型ロボット エヴァ(アリシア・ヴィキャンデル)の知能テストの協力を依頼される。

俗に言うAIモノ
その描き方は大抵の場合2つのパターンに絞られる。

近未来か遠い未来、人間の生活を支える便利なものとして当たり前のように描かれるパターン

若しくは、人間が御することが叶わず AIによる反乱を許してしまうパターン

AIが軸となる作品は、大抵後者に至るか 至った末の物語であることが多い。

スカイネットはもちろん、近年で言えば「her 世界でひとつの彼女」も(描いているモノはまったくの別物であるが)人間の管轄外にAIが至るといった点では後者の部類だと思う。

そして今作も同様。
ただ、その描き方が今まで観てきたどれとも異なっており 非常に新鮮であった。

繊細であり 時に愛おしくもあり 不気味さをも纏っていた。

辿り着く終局がどういったものになるかは大雑把には読めていたが、どういうルートを辿ってそこに至るのかが全くもって読めなかった。

厳重なセキュリティシステムによって管理された山間の別荘という舞台設定
そこで過ごす上で設けられるルール
多くが閉塞感を伴う地下室での出来事
あらゆる事を把握しているネイサンと 何も知らないケイレブという構図があり、ぼくらはケイレブにしか寄り添えない

心理学だとかの詳しいことは分からないが、これらの要素ひとつひとつがぼくらの心を少しずつ 少しずつ蝕んでいく。

ぼくらはケイレブを媒介としてしかストーリーを追っていくことができないため、彼の感じる不安がそのままシンクロして伝わってくる。

気が付けば、回復不可能な領域にまで心が蝕まれていた。

観終えてレビューを書いている今も胸がソワソワしている。
ネタバレだと誤認されると困るので予め言っておきますが、そんなことを想起させるシーンは描かれちゃいない。
描かれちゃいないのに、ぼくは「自分が死ぬんじゃないか」という負の念に心が囚われてしまっている。

何がどうなって どういう原理でそこに思いが至ったのか論理的に説明はできないが、胸のザワつき・不安が消えずにいるのは 劇中で描かれていたことに説得力があり そのリアリティを浴びすぎたためであることは間違いない。

スカイネットなどの類は 物理的で直接的なAIの描き方であったが、今作のAIの描き方はとてもナイーブなものに感じられた。

あー、コワイ
胸のザワつきが早く治まって欲しい。
こんなにも不安に駆られる作品を観たのは久しぶりだ。

2016年6月11日ついに日本公開『エクス・マキナ』レビュー 不気味の谷を超えた最初の”女性”

美しき「機械仕掛けの神」エクスマキナ…人工知能がもたらす未来へのヒント

 

4.8
Awesome

エクスマキナ

原題 EX MACHINA
製作年 2015年
製作国 イギリス
配給 ユニバーサル映画(配給協力:パルコ)
上映時間 108分

青春
4
4
エロ
4
サスペンス
8
ファンタジー
4

About the author

映画アドバイザー 元俳優 ライター 映画イベントMC。Instagramを中心に最新映画から懐かしの映画まで幅広く紹介。「ファイトクラブ」 「GO」「男はつらいよ」がバイブル。好きな監督はウディ・アレン。お仕事のご依頼はa.safety.pin.storm@gmail.comまでお願い致します。

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