【ネタバレなし】今度の魔法は確かにすごかった!『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』レビュー

「おかえりなさい」

あの懐かしいテーマ曲に乗って流れてくる映像を前にして、真っ先に浮かんだ言葉がこれだった。

15年前、まだ少年時代だった時に初めてあのホグワーツ城、動物から人間の姿へと変身するマクゴナガル先生、クィディッチの試合、ヒッポグリフに乗って歓喜するハリー。あの感動や心躍らせた興奮が、開始30分の映像のなかで怒涛のごとく押し寄せてきた。

狭いトランクのなかに悠然と広がる空間。忽然と姿を消しそして現す魔法使い。そして主人公ニュート・スキャマンダーの連れ歩く夢と空想に満ち満ちた魔法動物たち。ああ、また彼らが私たちの前に姿を見せてくれるのかと、それだけで満足感に浸ってしまった。

少年少女の好奇心をくすぐる魔法動物たち

と、これだけじゃあただ齢30の筆者が過去の思い出をひたひたと語るだけになってしまうので、本編にも触れていこう。

今作の目玉は、タイトル通り魔法動物学者であるスキャマンダーがトランクに潜ませている、魅力的な魔法動物の数々だ。異様な姿形と能力を持った変わり者や神々しい姿をたたえた者まで、まさに現実世界ではお目にかかれないような動物たちが、ハリーたちが生まれるはるか過去のNYを大騒ぎへと巻き込むわけだ。

彼らのドタバタ劇は、後述するストーリー展開とは対照的に明るさで満ち満ちている。そのおかげで、愛嬌ある動作を見せてくれる動物たちを心置きなく愛でることができる。

大人を満足させる魅力的な登場人物と影のあるストーリー

前作『ハリー・ポッター』シリーズは、少年から青年へとハリーが年齢を重ねる過程で、ストーリーそのものも、当初の子供がワクワクするようなものから徐々に重苦しいテーマへとシフトしていった。

特に第4作である『炎のゴブレット』において、初めてストーリー内でハリーの友人であるセドリックが殺されるという描写があってから、物語世界の様相はがらりと一変した。この作品を境に、ハリーは青年、そして大人への道を歩み続けているという点で、徐々に物語のテイストもその歩みに沿って変化していったという感じだ。

それに対して、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』は1作品のなかで前述の「子供的な好奇心」と「大人的な渋みと魅力のあるストーリー」を両立させている作品と言える。

例えば物語世界の背景。今作では舞台がイギリスからアメリカのNYへと舞台を移しているが、この世界ではまだハリーの時代のように、魔法使いと非魔法使いの間で明確な線引きやルールが定められていない。そうした緊迫した状況下で、ある事情を抱えているヒロインのティナや部外者であるスキャマンダーは暗い野望に巻き込まれてしまうわけだ。

それと今作の登場人物。これまであくまで魔法使いたちが物語を彩ってきたのに対して、完全な非魔法使いである男、ジェイコブが主要な役割を演じるというのは異例中の異例。そういう意味でも、今作は過去のシリーズとは全く違うストーリー展開を見せてくれる。

しかもだ。はじめは単なる道化を演じると思っていたこの男が、まさかあれだけの感動と笑い(特に笑い)を巻き起こしてくれるとは思わなかった。あの絶妙な存在感は、彼の周りにいる非凡な魔法使いを軒並み食っていた。彼を演じたダン・フォグラーには万雷の拍手を送りたい。

キャッチコピーはまさに本物

“今度の魔法は もっとすごい!”

この言葉は、Facebook広告などで流れる映画予告編で登場するキャッチコピーだ。まあ新たなシリーズを誉めそやす言葉としてはありきたりだが妥当かなと、その程度にしか思っていなかった。

ただ、その認識は間違っていた。夢と空想にあふれた魔法動物たちの姿も、息を呑むような圧倒的な魔法バトルも、観客の心を掴んで離さないストーリー展開と登場人物も、全体の完成度はまさに前作を超える内容だ。

しかも、これだけこの作品の魅力を語ってきたが、クライマックスであんなにくい演出をしてくるなんて!これじゃあ次回作が続編が待ちきれないじゃないか!

今作は原作者であるJ.K.ローリングが全5部作になることをファンイベントで明言している。ぜひその記念すべき第1作であるこの作品を、映画館で楽しんでほしい。

About the author

好きなジャンルはSF、特にファンタジー映画。そのきっかけとなった『ロード・オブ・ザ・リング』は筋金入りのオタクで、大学時代は卒論にするほど。

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