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『ファインディング・ドリー』前作から13年もかかった理由 ― 物語のアイデアはいかに生まれたか、そして続編の可能性は

ファインディング・ドリー
Photo by Mike Mozart https://www.flickr.com/photos/jeepersmedia/27793628895/ Remixed by THE RIVER

ディズニー/ピクサー製作、映画『ファインディング・ドリー』(2016)は、前作『ファインディング・ニモ』(2003)の公開から実に13年もの沈黙を破って発表された続編だった。近年、ピクサーは前作から長い期間を経た続編映画をしばしば制作している。『モンスターズ・ユニバーシティ』(2013)は『モンスターズ・インク』(2001)から12年後、来たる『インクレディブル・ファミリー』(2018)は『Mr.インクレディブル』(2004)から14年後の公開なのである。

続編が数多く作られるハリウッドにしても、これほど長い時間を空けて第2弾が作られるシリーズは決して多くない。「最高のストーリーがなければ映画を作らない」というスタンスで知られるピクサー社だが、そもそも作り手たちは、何をきっかけに沈黙を破ろうと考えるのだろうか? 『ファインディング・ドリー』のアンドリュー・スタントン監督が、物語の生まれた第一歩について米ScreenRantに語っている。


決め手は『ファインディング・ニモ』への不満

『ファインディング・ドリー』には、前作『ファインディング・ニモ』でドリーとマーリンが出会うシーンが登場する。実はこの出会いの場面を描いた時点で、アンドリュー監督にはドリーについて「わかっていたこと」があったそうだ。そして、それこそが『ファインディング・ドリー』へと繋がっているのである。

「前作でドリーがマーリンにぶつかる場面を書いた時に…彼女が、自分がどこにいるのかという記憶を持たないまま何年も海をさまよっていたことはわかっていました。自分は捨てられたんだという感覚があることも。それこそ、彼女があんなにフレンドリーで親切な理由なんです。置いていかれたという恐怖とともに常に泳いでいるんですから。
つまり、ドリーは確実にしておきたかったのかもしれません。自分がすごく親切で、すごくフレンドリーで、すごく前向きならば、みんなは自分と一緒にいてくれるかもしれない。だから、前作の彼女に悲劇的な要素があったことはずっと知っていました。具体的なことがはっきりわかっていたわけではないのですが……。」

まずは監督がドリーのキャラクターをここまでダークな解釈で描いていたことに驚かされるが、こうした要素は、2003年に『ファインディング・ニモ』が公開されてからしばらく眠らされておくことになる。監督自身、そのあとはこの映画を長らく観ていなかったそうだ。しかし2011年、『ファインディング・ニモ』3D版の制作のため、アンドリュー監督は再びドリーの存在に触れたのである。

「続編のアイデアは、映画を見直した時にひらめきました。[中略]2011年に3D版を観たんですよ、(作品の)許可を求められて。そうしたら、ドリーにぜんぜん納得しなかったんです。(ラストで)彼女が置かれた居場所に。落とし穴があったと思いました。
ドリーがマーリンやニモを忘れてしまうことはまだありうるし、それに彼女は、自分がすぐに記憶を失うことを人に謝らなきゃいけないと思っている。それでは良くないんです。彼女はまさにそういう部分を愛されているんだと思いますが、自分自身もそういうところを好きになっていい。脚本家として、フィルムメーカーとして、投げっぱなしにしてはいけない部分を投げっぱなしにしていたと感じました。」

もちろんアンドリュー監督は、『ファインディング・ニモ』で描いたドリーの物語やキャラクター造形には十分納得しているという。しかし、その落とし所に消化不良な部分が残っていたことを発見したのだ。これこそ『ファインディング・ドリー』のアイデアが生まれるきっかけで、それから約4年を費やして映画が作られる、その第一歩となったわけである。

では、いずれ『ファインディング・ドリー』に続くシリーズの第3作が作られることはありうるのだろうか…? プロデューサーのリンゼイ・コリンズは、米CinemaBlendの取材でこのように答えている。

「前作(『ファインディング・ニモ』)からの登場人物は、もう全員身動きがとれない、彼らの物語は終わったと思います。でも(監督が)6年後に映画を観て、“ハンク(編注:ドリーが出会うタコ)のことが心配だよ。あの(なくなっている)脚はどこにあるんだろう?”って言わないとは限りませんよね。だから、わからないんですよ。いつもそういう感じだったらいいなと思ってます。」

映画『ファインディング・ドリー』MovieNEXは現在発売中。

Sources: SR, CB
Eyecatch Image: Photo by Mike Mozart Remixed by THE RIVER

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

THE RIVER編集部。「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。国内舞台作品の執筆・創作にも携わっています。ビリー・アイリッシュのライブに行きたい。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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